ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- まだ考えています、そのうち決まると良いです
- 日時: 2011/05/20 22:49
- 名前: 緒方日和 (ID: 3NNM32wR)
こんにちは(?)緒方日和(ひより)です。
小説は好きです。物語は好きです。
作文は嫌いです。駄文はいつもです。
今回はダーク系にチャレンジです。
突然物語の世界へ引っ張り込んだり、押しだしたり
そんな感じだと思いますけど
少しでも面白みがあると感じていただければ
とっても嬉しいです、と言葉で表してしまうのが
勿体無いくらい嬉しいです。
差し支えなければ感想など天の声(コメント)を
頂戴したい次第であります。
物語の説明を開始しますね。
この物語は不思議な物語です。
不思議なお店の不思議な店主さんの不思議な日常を
淡々と綴っていくお話です。
ここのお店は願いや祈りがある人じゃないと入れないという
なんとも現実離れした設定があるんですけど
大抵の人間さんは願いも祈りも一つや二つあるものですよね?
店に来た人は満足そうに買い物して帰りますけど
私、お客さんが買った物を一度も見たことがないんです。
っていうのも商品が棚に並んでいないからなんですけど
店主さんは並んでますよって言うんですよね……
それから不思議なのが何にもしていないはずの棚に
埃はおろか塵一つ落ちてないんです。
店主さんも私も掃除してないんですよ
私以外に従業員さんもいないですし、
どんな都合の良い設定だよって感じですよね?
え、あ商品が見たいですか
でも生憎店主は今……お、お昼寝中でして、その
もしお時間を拝借しても宜しいのでしたら
1週間くらい前に来た最近のお客さんのお話でも
語らせていただいても宜しいですか?
そそそ、そんなに長くはないですから座ってください、ね!
と、じゃ紅茶でも入れますね?
お菓子はマカロンしかないですけど召し上がります?
えぇっとでは改めまして、祈りと願いを捧げる店
ウクフオコノスへ、ようこそお越しいただきました。
へ?ですから……こうです、愛く譜御子の巣。
由来ですか、店主さんは不思議な人ですから
きっと聞いたって何一つ納得できませんよ。
私だって理解不能です、絶対。
で、では本日二度目の改めまして、
そうあれはいつも通り店内が閑散としていた日のこと。
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- Re: まだ考えています、そのうち決まると良いです ( No.1 )
- 日時: 2011/05/21 17:11
- 名前: 緒方日和 (ID: 3NNM32wR)
*フレーバーティーと店主とネコと私とお客
いつも通り店内が閑散としているおやつ時
お客どころか商品さえ一つもない店内にある、というか
いるのは二人の人間だけ。
「腹減ったな〜水玉〜。」
カウンターの中の従業員用のいすに座った店主さんが
顔をカウンターにのっけ甘えるような猫なで声で頬をふくらまして言う。
なんていうか女の私よりも可愛いんじゃないかってくらい
可愛らしい表情やしぐさがどれだけ見ていても飽きない。
可愛いものが好きな私にとって店主さんとは欠かせない存在なのだ。
バイトしながら、趣味もこなせる(?)とってもいい場所。
なんだけど最近友達は時給安いし人通り悪いしやめなよって
進めてくるんだよね……
「水玉、お茶のみたい……水玉?」
「えっと今日の準備係は店主さんですよね?」
考えなど頭から抜け出て、控えめだが語尾は強めに水玉が主張。
店主さんはガバッと顔をあげ水玉と目線を合わせる。
「そうだった……でも水玉が入れたやつが飲みたい」
なおも甘えてくる店主さん天然たらしみたい、
それにしても顔が至近距離過ぎて……
「しょ、しょうがないです。
今日は私がいれますけど明日は店主さんお願いしますよ。」
狭いカウンター及びレジの裏にあるドアから中へ入る
そこはキッチン、ベッド、シャワールームまで完備の快適空間がある。
その部屋の奥、シャワールームの隣にある
小型キッチンへ向かって一番近くにあった紅茶をいれる。
「今日はアールグレイでいいかな?うぅんいっか。」
お湯が沸騰して良い具合の温度になったので
コポコポと音を立てながら作業していると
お店の入口についている呼び鈴がカラカラと笑うように鳴いている。
本当は鳴いているじゃなくて
鳴っているっていうのが正しいんだろうけど
店主さんが毎回、私が入ってくるとそういうから
なんとなく私もそういうのがしっくりきて、そう言っている。
「いらっしゃいま」
「違うよ水玉。」
いらっしゃいませの、せの部分を遮られ
お盆で持ってきていたティーセットから目線を前に向ける
そこには誰もいなくて店主さんのほうを振り返ると
膝の上に黒ネコさんが丸くなって毛づくろいしている最中だった。
「お客さんじゃなかったんですね……」
「そうじゃなくて、祈りと願いを捧げる店
ウクフオコノスへ、ようこそ。って言ってって言ったでしょ?」
店主さんの可愛らしい顔を見ているとなんだか
恥ずかしい気分になってきてしまうので紅茶の用意をし始める。
「次からは気をつけます、えっと今日の紅茶はアールグレイです。
ベルガモットで柑橘系の香りをつけたものです。
独特の香りがあるフレーバーティーの一種で、アイスティーなどに利用されるんです。」
「ん〜良い香り、やっぱ水玉がいれるとおいしいね!」
「いぃえ、それほどでもないです。」
にゃぁ〜……
結構いい雰囲気だった二人の間で鳴いた黒ネコさんは
自分も何か物欲しそうに私も見つめいたので
椅子から立ち上がりミルクを取りにいった。
ミルクを持って帰ってくると店主さんが
首をちょっと傾けて黒ネコさんをなでていた。
店主さんのカールした天然の髪の毛が後ろへ流れて
片方のピアスのついた耳と首元に目をひかれる。
「あ、お帰り水玉。」
「はぅい?!た、たた、ただいまです!」
「うん?」
変な声をあげたのを気にしているふうもなく
ミルクを受け取ってカウンターの上に置いてやる店主さん。
なんとなく間を一つ空けて座った私。
その直後に珍しく本日二度目呼び鈴が笑うように鳴いた。
- Re: まだ考えています、そのうち決まると良いです ( No.2 )
- 日時: 2011/05/22 15:49
- 名前: 緒方日和 (ID: 1SUNyTaV)
* ”どんな”
綺麗な女の子。
第一印象を語れと言われたら誰しもが口をそろえて
囁くんじゃないかってくらい綺麗な女の子。
マリンブルーのワンピースに
青い造花の薔薇の花がついたカチューシャをしている。
「水玉?紅茶お出しして。」
「あ、はい……。」
店内を見て回るでもなくただカウンターの前で立ち続ける
綺麗な女の子は本日二人目のお客さんだ。
って言っても一人目はネコだけど。
「ど、どうぞ。」
「ありがとう。」
おそらくは年下の彼女に
ほんわか笑いかけられて照れ笑いを返した私。
店主さんは紅茶を見つめつつ
お客さんを見ないで言葉を発する。
「で、本日はどのような用件で?」
店主さんの対応にも気分を害したふうはなくただ
言いにくそうに綺麗な女の子は顔をゆがめた後
優雅な動きで飲もうとしていた
ティーカップを元の位置に戻し話し出した。
「私つい最近愛犬をなくしましたの。
それで、淋しくて話し相手がほしいなと思いました。
でも新しい家族を飼うにもまた同じような末路があるなら
そんな思いはしたくないと思いますの。」
「それで?」
店主さんは珍しく冷たげに聞き返した。
「ですから……その私より先に何処かにいってしまわない
最愛のペットが欲しいんですの。」
「……。」
毎回思うけど、どうしてここに来る人は皆、
願いや祈りを簡単に恥ずかしげもなく
店主さんに話してしまうのだろう?
それだけ追い詰められているという事なんだろうか?
そもそも、祈りや願いがないと入ってこれないっていう
話自体いまだに信じられない私。
「あぁ、あるけど」
ネコを膝からおろして女の子の方へと向き直る店主さん。
実に不機嫌というか無愛想というか
いつもの可愛さが欠片もない。
「お、おいくらです?」
店主さんの気持ちをまったく分かっていない女の子は
安堵したような期待したような
希望に満ちた顔で店主さんへ問いかける。
「そうだね、10万くらいでいいや
あ、でも対価があるから10%値引きで良いよ。」
値段はなんとも高額でしかも
適当につけたような感じだったけど
女の子は分厚く膨らんだ財布から札束を出した。
「ぇっとでも、対価があるんだ
だから、やっぱりもうちょっと考えてから買った方が……」
差し出されたお金を数えずに
机の上でトントンしたあと、また机に戻す。
店主さんせっかくのお客さんなのに
商品のアピールどころか、買わせたくないのだろうか?
女の子はお金を店主さんの方へ押し戻し
自信に満ち満ちた声で頬を紅潮させて言う。
「いぃえ、どんな対価を支払う事になったとしても
私はこの買い物をやめたりしませんもの。」
無言で受け取ったお金を無言で私に預けた店主さん。
私は隣に置いてある、ほとんど活用されないレジへ
お金を入れにいった。
店主さんの気分で(多分)10%引きされたので
お釣りを計算してカウンターへ戻り
女の子へ差し出したけど女の子は首をふるふると
横に振ってニコッとほほ笑んだ。
「……そう。」
一瞬だけ、ほんの一瞬だけ店主さんの顔が
曇った気がしたけど
私と目が合うといつも通り、可愛らしく笑った。
私はいまだにお釣りを握りしめて
これをどうすればいいか聞くタイミングを見計らっている。
「では、明日届けにいかせるね?」
「住所はここです、宜しくお願いしますの。」
女の子は颯爽と出口から帰って行った。
「あ、お釣りっ!!」
女の子が返ってくる様子はない。
お釣りを握りしめたままでいるのもなんなので
紅茶のカップを片づけ始めた時店主さんは
紅茶の中に映った自分を見つめて囁いていた。
「さようなら、もう2度と会う事はないでしょう……」
「え?」
「どういうことですか、店主さん?」
「そのままの意味だよ。」
意地悪く教えてくれない店主さんに
私は早くもしびれを切らし、嘆息する
「教えてくれてもいいじゃないですか」
「分かった分かった、その顔は反則だよ。
対価があるっていったでしょ?」
いつになく真剣な顔をして
何処となく淋しそうな店主さんの話を聞きつつ腰掛ける。
「対価ってお金支払うとかそういうのじゃないんですか?」
「そういう時もあるけど、此処ではちょっと特殊なんだ。
それに彼女はどんな対価を支払う事になったとしても
って言ったよね?
だから”どんな”を支払ってもらうんだよ。
そしてその”どんな”に見合う願いと祈りを具現化したものを
手に入れる。」
全然分からないという顔をする私。
「具現化ですか?」
「そう、捧げられた祈りと願いは忠実に再現されるんだ。
だからね、水玉。
その人の心を写し取って良いことはもちろん
悪いことや負の感情とかまで具現化されちゃうの。」
「つ、つまりどういうことですか?」
なんとなくファンタジーの臭いが漂ってきたような
そんな気がしたので
身を乗り出し話に喰いつく。
「祈りや願いがかなうと最後まで1ミリも
疑う事がなければ、それは完璧に近い状態で再現されるけど
ほんの少しでも疑えば、その疑ったものまで
完璧に再現されるってこと。」
「嘘がつけないってことですか?」
「似てる。でも、ちょっと違う。」
続けて質問をしようとした私へ
店主さんは切ないような愛しいような
そんな変な泣き笑いみたいな表情を浮かべた後に
ニコッと笑ってこういった。
「じゃ、明日ここに商品を届けてごらん。」
トントンと人差し指で叩いたところには
女の子が置いていった、住所を記した手帳の切れ端が。
「え、私が行くんですか……一人でですよね?」
不安そうに店主さんを見つめるが
店主さんは可愛らしく笑って、ウウィンクした後
「頼りにしてるよ、水玉。」
とだけ言った。
その時の私は知らなかった。
どうして店主さんがあの時あんな顔をしたのかも
お店に品物が一つもないのかも
私は何も知らなかった。
- Re: まだ考えています、そのうち決まると良いです ( No.3 )
- 日時: 2011/05/22 16:04
- 名前: 緒方日和 (ID: 1SUNyTaV)
いったん、終わりです。
なんででしょう?
なんとなくでしょう?
えっと終わった方が良い、そんな気がしたからです<m(__)m>
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