ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- アビリティワールド 「壱」始まりと終わりは紙一重
- 日時: 2012/02/10 17:32
- 名前: 遊太 (ID: HhjtY6GF)
現時点で、世界の人口の6割が超能力者、5割が人間である。
超能力者が誕生したのは1990年、世界政府直轄の化学実験組織「PSICHO(サイコ)」の極秘実験がきっかけだった。
極寒の地、南極の実験施設で行われていた人間と宇宙から持ち帰った‘ダークマター’という宇宙物質を使用した実験。政府は当初、法律を幾つも破る違法実験と確認しておきながら、ニートやホームレス、いわゆる世間では使い物にならない人間を材料対象者と選び、実験を繰り返してきた。
実験は繰り返し行われ、約10年の月日が経った頃の2000年。
実験施設内で被験者を隔離している‘エリア6’という建物で、被験者による暴動が発生し、施設の9割が損傷。更に、被験者6名が施設から逃亡するという大事件が発生した。
世界政府は、この事件を公の場で発表することは危険と判断し、世間に知らせることは無かった。
が、この頃から、世界各地で一般市民が「超能力者化」を始めた。
2010年後半では、世界の人口の4割が超能力者になり、更に3年後には6割まで増した。
世間ではこの現象を「神が与えた神秘的な力」と総称し、その力は各面々で活用されるようになっていった。
そして、いつの間にか超能力は、世界の一部となった。
超能力が出現したことで、犯罪率は年々増加。
あの事件から13年後、悪夢が再び起ころうとしていた。
日本 東京で______
Prologue end ・・・ ・・・
【☆作者からぁ☆】
知っている人は知っている、いつも途中で更新が終わってしまう遊太です。
今回は最後まで続けていくつもりなので、どうか暖かい目で見守ってください。
よろしくお願いします。ではでは、お楽しみに〜。
【▽注意事項▽】
1.荒らし・喧嘩などの行為はご遠慮ください。また発展する火に油行為も遠慮下さい。
2.この作品は誤字または脱字が多く含まれる可能性があります。
3.パクリは一切ございません。
4.上記を守れる方、我慢できる方だけ物語をお楽しみください。
『第壱章 始まりと終わりは紙一重』
Cast
Word
>>001 >>002 >>004
Page:1
- Re: アビリティワールド 「壱」始まりと終わりは紙一重 ( No.1 )
- 日時: 2012/02/02 22:58
- 名前: 遊太 (ID: HhjtY6GF)
〜(1)〜
『エマージェンシー!!施設エリア6で暴動発生!!繰り返す!!施設エリアで暴動が・・・わ、わぁぁぁああぁぁ!!!!』
極寒の地、南極。一面に広がる氷の世界に聳え立つ巨大な実験施設が、物語の要諦になろうとしていた。
施設内の廊下を、ショットガンを手にした警備員と研究者が慌ただしく駆けていく。状況は、非常に芳しくない。
つい先ほど、被験者を隔離している施設エリアである通称‘エリア6’で、被験者が暴動を引き起こしたのだ。
“普通”の被験者なら、恐らく、この施設にいる人間全員で取り掛かれば収まる話だ。しかし、現実は違う。
「能力者が混じってる!!すでに3名が施設外に逃げ出しているぞ!!!」
警備員の叫び声と共に、施設のどこからか爆音が聞こえた。と同時に、施設が大きく揺れる。
「早く捕まえろ!!殺しても構わない!!世間に、世間にバレたら我々は一生牢獄生活だぞ!!!!」
実験施設の最高責任者であり、化学実験組織「PSICHO」の指導者であるマルコス・ケーミアは懸念した。
「絶対に捕まえろ!!」
「ケーミア先生!!」
警備員の一人がマルコスに叫んだ瞬間、マルコスは見えない何かに吹き飛ばされ、壁に勢い良く叩きつけられた。
「せんせぇ〜い、今宵も素晴らしい月が夜空に浮かんでいますね。」
目の前に立つ、上下赤い縞々の被験者専用ジャージを着た男性が立っていた。しかし、男性の顔は影で見えない。
「あなたが、我々の人生を台無しにした。世界が、我々の人生を台無しにした。先日まで、そう思っていました。」
男性は溜息混じりに言うと、マルコスの目の前でしゃがみこんで、不気味な声のトーンで静かにつぶやいた。
「ですが、それは勘違い。
あなたは、私たちに
禁忌を超えた、神の領域を超えた
素晴らしい力を与えた。感謝しますよ、先生。」
男性がマルコスの方に触れた瞬間、男性の姿がマルコスに変わった。
「お、お前・・・・・・変身能力か・・・・・・・・・」
「これで楽々に、正門ゲートから逃げられる。」
「先生!!大丈夫ですか!?」
警備員の足音と声が、砂煙の中から聞こえてきた。
「白衣とキーは貰います。クリアキラー、後始末を頼みますよ。」
「クリア・・・キラー・・・・・・?・・・・・・うっ!?」
何の前触れもなく、マルコスの首に一筋の赤い血の線が浮かび上がる。そして、マルコスの頭部は地面に落ちた。
首から血の噴水が吹き出し、男性は地面に落ちたマルコスの頭部を拾い上げ、砂煙の中に放り投げた。
「さて、それじゃあ・・・・・・」
「先生、ご怪我は?」
駆けつけた警備部隊が、マルコスに変身した男性に駆け寄る。
「問題無い。君たちは暴動を抑えろ。私は私用で、日本へ向かう。」
「は!?」
呆然とする警備部隊を無視し、男性はそのままエリア6を出ると、一面に広がる氷の世界を見渡した。
少し離れた先に、ヘリコプターや軍用車が停車しているヘリポートがある。
「さらばだ、我が故郷よ。」
男性は一旦施設の方を振り向き、微笑みながらお辞儀をした。そしてそのまま、ヘリポートへと向かった。
それから施設の暴動が収まったのは20時間後、結果。
被験者6名の逃亡が確認された。
時は1990年、モノガタリの幕は、誰も知らないところで、ヒッソリと開いた。
──────そして、13年後
2013年 日本 東京
そんな事件が起こっていたなんて、知る由もない。
東京都内の希望学園高等学校に通う高校2年生の神谷優太は、休日の朝を自宅で満喫していた。
「ちょっとお兄ちゃん、もう10時過ぎだよ。早く起きたら?」
「ん、まだいいよ。」
中学2年生の妹である可南子は、優太のドアをノックしながら呆れ半分で言う。
「じゃあ、私部活だから。朝ごはんちゃんと食べてね。」
「おう。」
可南子は玄関に用意していたテニスラケットの入った大きなカバンを背負い、ウインドブレーカーの姿で自宅を出た。
未だに自室の布団に潜り込んでいる優太は、携帯を操作しながら大あくびをする。
「暇だなー、暇だなー、何しよーかなー。」
センスのないリズムに乗せた歌を歌い、渋々ベッドから出る。
「さてと、今日の調子はどうかな。」
優太は右手を人差し指と親指を立てたピストルの形にし、壁に掛かる自作の的に照準を合わせる。
「・・・・・・・・・ショット。」
優太が呟いた瞬間、人差し指の先から水の魂が的にめがけて発射された。
水の‘弾’は的に当たると、そのまま気体となり蒸発して消えた。
「今日も絶好調。」
水を操る超能力 高校2年生 神谷優太______
彼はこの時、思いもしなかった。
物語のコアになっていくなんて・・・・・・
- Re: アビリティワールド 「壱」始まりと終わりは紙一重 ( No.2 )
- 日時: 2012/02/04 19:18
- 名前: 遊太 (ID: HhjtY6GF)
〜(2)〜
「今日の活動は、昨日起こった爆発事故で汚れた道路の整備、並びに建物の復旧活動の支援だ。」
希望学園高等学校の教師、本城礼一郎はボランティア部の部員に言う。
「これからは支援活動の責任者である山本九二郎さんと部長の神谷に従い、私語を慎んで迅速に行動をとること。」
ボランティア部の部長である神谷優太を前に、部員5名が横一列に並び、支援活動の人々に揃って礼をする。
「今日一日、宜しくお願いします」
「「宜しくお願いします!!」」
「こちらこそ、今日は頼むよ。」
第一印象は優しそうで穏やかな性格の持ち主に見える山本は、眠くなるような遅さの喋り方で優太と握手した。
「それじゃあとりあえず、今回君たちにしてもらう仕事の内容とちっとだけ事故の詳細は説明する。」
『事故現場は、渋谷区にあるNHK放送センターの向かいに建つ無人ビル5階。ここじゃな。
昨日の夜8時頃に爆発が起こり、死傷者は出らんかったが、道路や隣接して立つ建物の壁が汚れておる。
警察のお方に頼んで、ここの道路は一時的に封鎖しておるから、その間に片付けるぞ。仕事は2つだけじゃ。
先生の言った通り、道路の掃除。建物5階のお掃除じゃ。なに、崩れる心配はない。しかしまあ、危ない・・・。
なので、建物内は男の子。道路は女の子じゃ。それじゃあ、頼むよ。』
山本の説明が終わり、部内の女子2名が道路整備へ、残りは建物内に掃除道具を持って入った。
「いやぁ、しかしあれだな。学校休めるのは最高だな。」
階段を上がりながら、篠原武道は嬉しそうに笑顔を浮かべながら言う。そんな武道を、後ろから枡川京一が注意する。
「篠原くん、心の声が出てますよ。」
2人は1年生の頃からボランティア部に所属する部員だ。そして、勿論、超能力者だ。
篠原武道は、左の筋肉だけを一時的に強化して怪力を使える。
枡川京一は、人間の五感である味覚、聴覚、視覚、触覚、嗅覚が普通の人間よりも数倍優れている。
2人が喋っている中、先頭を歩く優太は部員内で数少ない1年生の境恵太と話していた。
「先輩は今2年生ですけど、もう大学進学とか考えてるんですか?」
「まだだよ。でも、将来の夢はある。」
「夢?」
恵太が首を傾げながら聞く。すると、先ほどまで喋っていた武道と京一が喋るのを止め、優太の話に耳を向ける。
「俺は将来、人を助ける仕事をしたい。だから、世界政府のWSRAOに勤めたいと思ってる。」
「・・・・・・壮大ですね。応援してますよ。」
「おーい、ここじゃ。」
5階に着くと、山本が4人に指示を出す。
「昼時までに終わらせよう。急いでやるぞ。」
「「はーい。」」
一方、外に残った残りの2人、駒井里奈と鈴木理々花。
2人は他の支援活動の人たちと一緒に、道路に散ったガラスの破片や瓦礫の撤去を手伝っていた。
「おい、あまり無理しなくていいからな。」
「大丈夫ですよ、先生。」
瓦礫の撤去活動に手を貸す里奈を見て、本城が声をかけた。
そんな本城を見て、1年生の理々花が微笑みながら里奈に言う。
「本城先生は見た目が真面目そうで寡黙な感じがしますけど、案外優しいですね。」
「そうだね。皆言ってるよ。本城先生は優しくて格好良いって。」
里奈は制服の袖で額の汗を拭く。
「次はあっちの方を掃除しよう♪」
理々花が箒を持って駆けた、と同時のその瞬間だった。
ガシャァあああァァァアアァぁぁぁン!!!!!!
優太たちが入った建物の4階が、突然爆発した。
「わぁぁぁぁあああぁぁぁぁ!!!!!」
「な、なんだぁぁ!?」
支援活動の人々は大急ぎで建物から離れる。その時、建物の一部の壁が轟音を上げて崩れ落ちてきた。
しかも、落下していく瓦礫の真下には、爆発で腰を抜かした理々花が道路にしゃがみこんでいた。
「理々花ちゃん!!!!」
「きゃぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁ!!!!!!」
理々花は目の前から迫ってくる瓦礫に何もできず、頭を抱え込み目を瞑った。
周囲から悲鳴が上がり、里奈も恐怖で目を瞑った。
その時だった。
「掴まれ。」
紅蓮の炎に包まれた本城が、理々花の腕をつかみ、間一髪の所で瓦礫を避けた。
「大丈夫か?」
「は、はい・・・・・・ありがとうございます・・・・・・・・・」
「支援活動の方々は、危険ですので建物に近寄らないでください。
もし怪我をした方がいれば、私の生徒に治癒能力を持つ生徒がいますので、その生徒に手当を受けて下さい。
私は今から建物内に入った者たちの救助に向いますので、みなさまはここでお待ちください。」
本城は支援活動の人々に叫び言うと、スーツ姿のまま今にも崩れそうな建物内に、躊躇なく入っていった。
「先生・・・カッコイイですね・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・だね。怪我はしてない?」
「わ、私は大丈夫です。それより、なかに入った先輩たちと境が・・・・・・」
心配そうに建物を見つめる理々花に、里奈が笑顔で慰めながら安心させる。
「大丈夫だよ。みんな強いし、先生もいるし。」
「わ、わぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
4階で起きた爆発と同時に、5階の床が獣の雄叫びの様な音を上げて崩れていく。
「ちょ、ちょ、どうする!?」
「下は無理です!!炎が上がって・・・・・・わ、うわぁぁ!!」
京一の立っていた床の部分が、何の前触れもなく崩れる。
「京一!!」
ギリギリのところで、武道が京一の腕をつかみ事なきを得た。
優太はどこか逃げ場がないか周囲を見渡す。すると、山本の姿が見当たらないことに気がついた。
「おい、山本さんはどこ行った!?」
「え!?ま、まさか落ちたんじゃ・・・・・・」
恵太が崩れた床を見る。崩れた床から、4階で燃え上がる炎の火の粉が入ってくる。
「くそっ・・・・・・・・・そうだ、屋上だ!!屋上へ行こう!!」
優太の言葉で、4人は階段を上がり屋上の階段を目指す。
運が良いことに、屋上の入口は今いる5階のすぐ上にあった。
が
「か、鍵開いてません!!」
恵太がドアノブを何度も回すが、ドアは開かない。
「そういえば、山本さんが説明の時言ってましたね。無人ビルだから、危険を避けて屋上のドアは閉められてるんだ。」
「んな、アホンダラなことあってたまっか!!!」
武道は恵太と京一をどかし、左手を拳に変え、思いっきり振りかぶってドアを叩いた。
ガン!!!
ドアは簡単に外れ、武道がガッツポーズを見せる。
「そんなポースいいから、早く出ろ!!」
4人は大急ぎで屋上に出ると、周囲を見渡す。
「で、ここからどうする?」
武道の言葉で、京一が屋上から隣接して立つ建物を確認する。
「飛び移れそうな建物はありません・・・・・・救助を待つしか・・・・・・」
「お、おいおいおい・・・・・・そんなの待ってたら、建物崩れるだろ!?」
武道が疑問形で全員に言う。
「確かにやばいな。一体どうすれば・・・・・・・・・」
「おや、こんなところにいたのか。」
4人が呆然としていると、屋上の出入り口から死んだと思われていた山本が現れた。
「や、山本さん!?どこにいたんだよ!!どうすればいい!?」
「まぁまぁ慌てなさんな。」
山本は今にも崩れそうな建物の屋上にいるのにも関わらず、やけに落ち着いている。年のせいであろうか。
「・・・・・・あんた、本当に山本さんか?」
優太のこの質問で、事態は更に悪化していくのだった。
- Re: アビリティワールド 「壱」始まりと終わりは紙一重 ( No.3 )
- 日時: 2012/02/06 15:26
- 名前: 風猫(元:風 ◆Z1iQc90X/A (ID: UmCNvt4e)
ん?
おぉ、久し振りですね。参照数がすごいことになっていますが期待されている証ですね。
今度は、長く続く事を願っています^^
そういえば、遊太様は幾つなのでしょうか? いえ、別に意味はないのです。
唯、今年受験生だから更新できなかったとかなら今後、沢山あなたの作品を見れるのにななどと……
では、頑張ってください!
- Re: アビリティワールド 「壱」始まりと終わりは紙一重 ( No.4 )
- 日時: 2012/02/10 17:31
- 名前: 遊太 (ID: HhjtY6GF)
〜(3)〜
「・・・わしじゃよ。どうしてだ?」
山本は微笑みながら優太たちに近づいてくる。
優太の様子を見て、武道、京一、恵太も山本の異変に気づいた。
山本の顔がブニョブニョとまるでスライムのように歪み始め、やがて彼の皮膚全体が奇妙に歪んでいく。
「な、なんだよこいつ!?」
武道は戦闘態勢に入り、優太と恵太も目を合わせて構える。唯一、戦闘に不向きな京一は3人の後ろに下がった。
「さァァァてとォぉおぉ、へーんしーん!!!!」
山本らしき人物は両手を拳に変えて空高く掲げ上げ、大きな声で幼稚園児でも叫ばないような言葉を叫んだ。
一瞬、辺りは静寂に包まれるが、山本らしき人物がこちらを向いた瞬間に、全員は声を上げて驚いた。
山本の姿から、道化師の様な格好をした若い男性の姿に変わっていた。
ジーンズに白いシャツ、顔は白化粧で右目と左目はそれぞれ赤いハートとダイヤで飾っている。
「驚いているね、まぁ、そうか。キャハハハ!!!!」
男性はポケットに両手を突っ込み、屋上を囲むフェンスに寄りかかる。
4人は男性の正体が分からず、ただただ呆然としていた。
男性は4人を見てニッコリと笑うと、口笛を吹いた。
ドゴォォォおォおォオォォおおォン!!!!!!!
屋上の一部が突如爆発し、炎と黒煙の中から2つの人影が飛び出てきた。そして、男性の前に着地する。
「やぁ、任務ご苦労。カタピーノ、ビーナス。」
黒い装束に身を包んだカタピーノという男性と白いワンピースをきた銀髪のビーナスという女性が、4人を見て嘲笑う。
「団長。こやつらは始末した方が良いのでは?」
「私がやります。」
「よせ、目的は彼だよ。本城礼一郎、そこに隠れているんだろ?」
男性が言うと、カタピーノとビーナスが出てきた穴から、本城が紅蓮の炎に身を包んでやってきた。
「何十年ぶりだろう・・・またこうして顔を合わせることができるなんて。」
男性は鼻で笑い、三文芝居のセリフを言う。
そんなふざけている男性とは打って変わって、本城は真剣な顔つきで男性を睨む。
この間、優太たちはどうすればいいのかも分からず、状況や男性と本城の関係すら理解不能であった。
「俺の生徒に手を出すな。今更、何のようだ?」
「んふふ・・・・・・ちょっと聞きたいことがあって、ジャパンまでやってきたのですが・・・あなたが、先生ねぇ・・・」
男性は顎を触りながら、その奇妙な顔で舐め回すような視線で本城を見る。
本城は舌打ちをし、両手から紅蓮の炎を出した。
「ベニーワイス、お前はここで死ぬべきだ。」
「あらら、戦いたいのは山々ですが、私たちはこれでお暇させていただきます。」
ベニーワイスと呼ばれた男性は本城にお辞儀をすると、一瞬だが優太を見て微笑し、ビーナスの肩を掴む。
「また逢いましょう。若き戦士たち、そして、同士よ。」
ベニーワイスはそう言うと、カタピーノとビーナスと共に一瞬にしてその場から消えた。
********
「この件は、とりあえず世界政府の日本支部へ通達しておきます。
それと、行方が分からない山本さんについては警察に通報して捜査をしてもらいます。
みなさんは今後、何か不審な点に気づいたらすぐに警察か日本支部に通報してください。では、今日は一旦ここで。」
未だに納得できていないボランティアに参加している人たちを、本城は必死に説得している。
そんな中、ボランティア部のメンバーは目の前にある放送センターの階段に座って休みを取っていた。
「・・・なんだったんだろうな、あのピエロ野郎。」
武道が浮かない表情で言う。現場にいなかった里奈と理々花は、余計に男子4人を心配していた。
「怪我はないの?本当に大丈夫?」
「大丈夫。里奈と鈴木は大丈夫だった?」
「私は大丈夫です。先生に助けてもらいましたから。」
理々花は振り向き、まだボランティアの人々に説明をしている本城の方を見て言う。なぜか、目が輝いている。
「みんな無事なら、まぁ良いか。」
優太はため息を吐くと、空を見上げた。
「しっかし、なんか納得いかねぇ・・・・・・・・・」
武道が呟いた。
「先生とピエロ野郎、知り合いだったのか?」
「ま・・・ぁ、そんな感じの会話でしたけど?どうしてですか?」
「んにゃ・・・やっぱりなんでもねぇや。さっさと家に帰ってシャワー浴びたいわ。」
同時刻・・・・・・────
「今がチャンスだ。作真、奴は学園の外。今学園内に猛者はいない。」
腰に日本刀を持ち、桃髪の青年が双眼鏡を覗き込みながら言う。
「しかし、今実行しなくてもいいんじゃないのか?」
「あぁ?いつ実行しても同じだよ!!あぁ・・・早く戦いてぇ!!!」
「六田、花園、準備しろ。もうすぐ行くぞ。」
六田桜太と花園狼一郎の後ろから、大きなヘッドホンにジャージ姿の志村彪冴が現れる。
桜太は双眼鏡を直し、若干ダルそうな雰囲気を出して志村の前を横切った。
それに比べ、狼一郎はハイテンションで桜太を追い抜く。
「さぁ、ショーの時間だ。」
- Re: アビリティワールド 「壱」始まりと終わりは紙一重 ( No.5 )
- 日時: 2012/02/11 10:35
- 名前: 遊太 (ID: HhjtY6GF)
─ regular ─
@神谷優太/yuta kamiya :男性 :17歳 :高校生
[能力:水質操作]
水の状態を操ることが可能であり、また応用として水弾という技を使用できる。
[詳細]
能力者専門学校である希望学園に通う超能力者。2年生。ボランティア部の部長。仲間想いの性格。
中学2年生の妹である可南子が唯一の家族であり、両親とは疎遠の仲。両親共々でアメリカの世界政府本部に勤めており、息子娘に対してほぼネグレクトしている。父は神谷蛍,母は神谷花澄。
@本城礼一郎/reitiro honzyo :男性 :40歳 :教師
[能力:紅蓮の炎]
身体を紅蓮の炎に変えるが可能。身体の部分だけを変える繊細な操作も可能であり、彼に物理的攻撃はほぼ無効。
[詳細]
能力者専門学校である希望学園の教師。担当は数学科。常に無表情で寡黙であり、一部の女子からは人気がある。
戦闘技術においては未知数。過去にベニーワイス・ジェスターと接点がある。
@ベニーワイス・ジェスター/ - :男性 :37歳 :ベニーワイスカーニバル団団長
[能力:変身]
触れた人物に姿を変えることが可能。変身の際は皮膚がスライム状になる。
[詳細]
世界的に有名な曲芸団・ベニーワイスカーニバル団長。常に冷静さを崩さず、年齢に似合わない幼稚な態度を見せる。
超能力者で結成された曲芸団の団長であり、それなりの戦闘技術を身につけている。過去に本城礼一郎と接点がある。
@谷本作真/sakuma tanimoto :男性 :17歳 :終極隊統率者
[能力:?]
現在不明。
[詳細]
超能力者テロリスト集団“終極隊”の若き統率者。
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