ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 目撃者
- 日時: 2011/05/27 23:34
- 名前: うそつき狼 (ID: hfVure16)
拝啓日本の皆様、いかがお過ごしでしょうか?
Q国民主化の為私がこの国に渡って16年が過ぎました
ゲリラ村での生活は・・・
隼人は書きかけの手紙をポケットに入れた
遠くで銃声が聞こえる・・・悲劇は16年変わっていない・・・
『見張り交代するよ』
親友のチャンが見張り台の下から声をかけてきた
隼人が住む森林にはゲリラ村が点在している、お互いルールを決め
ギリギリの共同戦線を組んでいた
異変が起きたのは朝方だった、村の近くで何かが爆発する様な音
がした
『チャンと隼人は村に残ってバックアップ体制をとれ』
部隊長はジープの荷台に乗ると黒煙に向かって出発した
『とりあえず女性と子供達を集めて守ろう』
隼人は残った兵隊をまとめると行動に移した
『攻撃かな?』
長老の孫のミーシャが不安そうに言った
『違うだろうな・・・オイルの匂いがする・・・』
1時間位過ぎただろうか、様子見に出ていた連中が戻って来た
『隼人お前中国語は話せるか?』
部隊長でありミーシャの父であるカミルが言った
『話せないよ日本人だもん』
『英語・・・通じるかもよ』
チャンがそう言って俺の肩を叩いた
『連れて来い』
カミルの声で連れて来られたのは煤で少し汚れたまだ若い女性達
だった、銃を突きつけられ怯えきっていた
『何者か調べてくれ』
文盲も多いこの村では「日本人」という理由で俺はインテリ扱いだった
チャンはこの国の大臣の息子で村では俺とチャンがインテリと言われて
いた
「キャンユースピークイングリッシュ?」
「少しなら・・・」
多分恐怖からだろう、キレイな瞳をした女性は答えた
「は?日本語?」
「はい・・・え?日本人ですか?」
女性の顔色が変わった、向こうからしたら地獄に仏の気分なのだろう
『武器を引いてくれ、彼女達は日本人だ』
カミルに言うと兵隊達は銃を引いた
Page:1 2
- Re: 目撃者 ( No.3 )
- 日時: 2011/05/28 01:10
- 名前: うそつき狼 (ID: hfVure16)
「ここってどこなんですか?」
優子は隼人を見ると当然の質問をした
「Q国・・・軍事政権が残る天然記念物みたいな国だよ、言っておく
けど日本と国交ないからな、墜落も当然知ってても救助隊なんか
来ないよ、ここはゲリラの巣窟だぜ?馬鹿な事考えずに大人しく
しとけって」
隼人はバケツで冷やしていたペットボトルを優子達の前に置いた
「冗談じゃないこんな所・・・」
「出て行きたいなら勝手にしろよ、ここは戦場なんだ自分の生き死には
自分で決めろ」
隼人は友美に言った
「私達の気持ちも判ってよ・・・乗ってた飛行機が墜落して周り
銃で囲まれて・・・はいそうですか、って納得できるワケないじゃな
い」
「誰も「納得して下さい」なんて言ってないよ「納得しろ」って言って
いるんだよ」
隼人は面倒そうに優子に言った
「それ・・・本音?」
麻里子が静かに言った
「アナタ本心では私達を早く日本に帰らせようとしてるでしょ?」
「何を根拠に・・・」
「表情と女の勘」
麻里子は自信たっぷりに言った
「確かにこの国は日本と国交はない、でもアナタはここに居る、
ここはゲリラの密集地・・・でもアナタは居る・・・入れるなら
出る方法も知っているでしょ」
「月に1度の街への買出しに密航して街へ出て国境近くの街まで
行くバスに乗せる、賄賂さえ渡せば国境は越えられるし隣国には
大使館もある・・・」
隼人は飲みかけのボトルを置いた
『隼人、女の子達お風呂連れて行っていいかな』
ジャストのタイミングでミーシャが飛び込んで来た
- Re: 目撃者 ( No.4 )
- 日時: 2011/05/28 01:27
- 名前: うそつき狼 (ID: hfVure16)
夜、旋回するライトを背に隼人は見張りの塔の上に居た
「差し入れ、ミーシャが持って行けって」
優子が包み片手に上がって来た
「色々驚いたよ、天然の温泉はあるし主食はおコメだし」
優子は隼人の隣に座った
「さっきは言い過ぎたよ・・・ゴメン」
優子が呟いた
「まぁあれが普通の反応だよ」
隼人は差し入れのおにぎりを食べていた
「ミーシャに日本語教えたのはアナタ?」
隼人はミーシャにせがまれ日本語を教えていた
「ゲリラってもっと怖い人達かと思ってた・・・」
「この国じゃさ仲間は宝なんだよ、力を合わせて生きて
いるんだ・・・この国を支配している軍事政権は酷くてさ
力で民主化を弾圧しているんだ・・・本当は皆民主化を
望んでいるのにさ・・・俺達が正義だとは言わないよ
でも悪でもないんだ・・・」
「こんなキレイな星空の下なのにね・・・なんで殺し合い
なんてするんだろうね」
優子は空を見上げて言った
- Re: 目撃者 ( No.5 )
- 日時: 2011/05/28 08:53
- 名前: うそつき狼 (ID: hfVure16)
「どうしてここにいるの?」
優子が至極当たり前な質問をした
「遠藤道夫っていうジャーナリストが居てさ、その人がこの国の
圧政を雑誌に書いていたんだよね、たまたまそれ読んでさ・・・
『正義感』っての?にかられてさ・・・日本でも行動起こしたけど
何も変わらなくてさ・・・気づいたらここに居たよ」
優子は俺の話を楽しそうに聞いていた
「昼間アナタが寝た後ね、窓の外見てたら子供が銃引きずって歩いてた
の・・・銃声も沢山聞こえるし言葉は判らないし、皆不安になっちゃっ
て・・・皆さこういう国があるって知ってはいたんだよね、でも皆それ
はテレビの中だけの世界だと思ってたんだよ・・・怖いよねそう考える
と日本ってさ・・・」
優子は遠くを見ながら言った
- Re: 目撃者 ( No.6 )
- 日時: 2011/05/30 13:49
- 名前: うそつき狼 (ID: ZInHdGro)
「皆で話したんだけど着替えも必要だし墜落現場に行きたいんだけど」
翌朝起きてリビングに行くと優子が言った
「どうせ調査隊が出るだろうから言ってみるよ」
隼人はぬるくなったペットボトルの水を飲んで出て行った
村の外のジャングルには明確な血のルールがある、揺れるジープ
の荷台で隼人は小銃の安全装置を切った
『エンジン音だ』
先行するジープから森に向け銃声がした
「どうしたんですかっ」
隣に座っていた優子が叫んだ
「伏せてろ」
隼人は優子達に言うと小銃を構えた
『逃げ遅れた奴を探せ』
人の肉の焦げる嫌な匂いの中、調査と追っ手に分かれて
隼人達は行動していた
- Re: 目撃者 ( No.7 )
- 日時: 2011/06/02 14:23
- 名前: うそつき狼 (ID: paGZ.mPE)
『あいつら通信機狙っていたのか・・・』
外しかけの通信機を見て仲間が言った
『余程慌ててたみたいだな』
『みつかったら大事だしな』
隼人はキャビンの荷物を引っ張り出している優子達を
みながら答えた
「あんまり時間ないから自分の荷物に拘るなよ」
「そうは言ってもさ・・・」
答えたのは友美だった、どうやらお気に入りの服や
携帯電話が入っている様だった
『居たぞ』
仲間の銃が火を吹いた
『任せろ』
隼人は狙いを定め逃げる少年の足を撃ち抜いた
『向こうの部隊に連絡してくれ、村に連れて帰る』
「何があったんですか?」
優子がバッグに色々詰めて持って来た
「ネズミを撃っただけだよ、それよりもう時間がなくなった
皆を急がしてくれ」
隼人はそう言い残すと少年の所へ走って行った
Page:1 2
この掲示板は過去ログ化されています。