ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- たそがれチキン
- 日時: 2011/06/01 19:01
- 名前: はちこ (ID: jk5mSNBu)
●¨●<はじめましてー
なんか なんと言うか
ちょっとシリアスな話でも かきます。
て訳で よろしくお願いしますー
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- Re: たそがれチキン ( No.1 )
- 日時: 2011/06/01 19:11
- 名前: はちこ (ID: jk5mSNBu)
◆count 0.
ひび割れたレンガの向こうに影が躍った。
弾丸を飲み込むより容易な作業。右目を瞑って引き金を引いた。およそ夜の街に似つかわしくない、派手な音が響く。満足感に口を歪めた。
「しゃらくせー」
つう、と地面に広がる血に吐いた。誰も返事をしない。そうだ、それで良い。
思えば思うほど、不細工なツラしてんじゃねーか。髪を掴んで頭を持ち上げたら、口から赤が滴り落ちた。嫌いだ、てめーなんか。俺はそれっきり屍に興味をなくし、愛車のおんぼろバイクへと向かって歩く。さあ、こいつの死は明日のスクープかな?
アクセルを一度空吹かしさせ、眠った町を後にした。変わり映えのしない、薄暗い水槽みたいな風景に嫌気が差す。ここは俺のホームタウンなんかじゃない。
もうオサラバだ、あばよ。
- Re: たそがれチキン ( No.2 )
- 日時: 2011/06/01 21:22
- 名前: はちこ (ID: njy0rZSb)
◆count 1.
ふうう、と紫煙が空へ立ち昇る。ゴーグル越しの空はいつも通りの青さを保っていた。二日前の仕事の気味悪さもいい加減薄れてきた。すべての惨劇(と言うほどでもないが)を見つめていたおんぼろバイクは、今日もひっそりと佇んでいる。
「兄ちゃんッ! メガネのコト、助けに行かなくて良いのかよ!」
「あー? あぁ……、メガネ、な」
ガキのキンキン声が耳に痛い。そのせいで、同じく二日前に隣町に出向いたメガネの姿が頭をよぎった。何処かの安いB級映画のように、背中を向けたまま手を振っていた。黒ぶちメガネの奥の、生ぬるい瞳。
「攫われてたらどうするんだよ!」
「あんなガタイの良い奴が攫われる訳ねーだろ、馬鹿か」
「メガネ、ああ見えて貧弱なんだぞ!」
まだ声変わりもしていない、ガキの声がとうとう鬱陶しくなってきた。手で黙れと制すると、おとなしく従う。口調だけ馬鹿を真似ても、純粋な心は騙せねえぜ。目を伏せた。
「分かった、分かったから。行けば良いんだろ」
その声に、ガキのきらきらした目の返事があった。兄ちゃん、やっぱ優しいのな! ……ガラじゃねーよ。
日当たりの悪いビルの隙間、割れたガラス窓。ゴミが飛び散った街に、娼婦がひとり、ふたり。くだらねー街だと、つくづく思う。薄汚れたシャツでゴーグルを拭いた。ちょっとだけ街が透き通って見えた。
ヘルメットを投げて寄越す。小さな手は上手にそれを受け止めた。要らないだとか、早くバイクに乗っけろだとか、そんな声がした。メガネよりバイク目的か? そんなことは俺にしちゃどうでも良い。愛車に跨り、いつものように嘶かせる。エンジン全開でかっ飛ばしたら、娼婦も売人も驚いた目で俺たちを避ける。気分も爽快で、門をくぐり抜けた。はげ頭のような草原と、蜃気楼の向こうのビル街。仕方ねーな。
待ってろよ、相棒。
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