ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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シスターのお話
日時: 2011/06/05 17:04
名前: シスターA (ID: e4Mlzqwp)

シスターが貴方にお話をします。
本の山から取り出した本の中からお話を一つ選んで話します。
その話の中には人間の醜さや残酷さのある作品が沢山あります。
その話を読んで、何か伝わる物があればいいなと思います。

話が浮かんだら更新しますが浮かばなければ更新はしません。

一つ目のお話>>わがままなおひめさま
二つ目のお話>>わたしのともだち
三つ目のお話>>こわいまじょのはなし

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Re: シスターのお話 ( No.1 )
日時: 2011/06/04 18:11
名前: シスターA (ID: e4Mlzqwp)

迷える子羊よ、もう大丈夫です。
貴方の命は救われました。
さあ、この小屋に入って暖かいスープを飲みましょう。
今日は、なんの話をしましょうか。
それでは、この本の山の中から一つを選びましょう。

『わがままなおひめさま』

お姫様は退屈でした。
とてもとても退屈で、天井の丸いボーロのような柄を数えて一日過ごす程でした。
お姫様は言いました。
「この町の川という川を隅々までの水を抜きなさい。」
召使は一瞬、困惑の表情を浮かべましたが、すぐに了解しました。
召使は、ポンプと一切れのパンを馬車に乗せて、川という川を渡りました。
川には魚や亀、蛙に小さな蟹まで沢山が生活をしていました。
ポンプを川に放りなげて、水を汲み上げます。
勿論、川に住まう者達はそれを止めようと必死に抵抗をしました。
だけど、人間の名使いには叶いませんでした。
魚達は水分をなくして、死にました。
亀も同じように水分をなくして、死にました。
他の者達も同じように逝きました。
しかし、蛙は湿った所でなんとか生き延びました。
しかしこれからどうしたものか・・。
町の川という川の水はなくなって、住処がなくなってしまいます。
これから夏が来て、自分もあの魚達のように干からびて死ぬのではないだろうか。
蛙は考えた結果、こうしました。
“お姫様を殺してしまえばいい。そうすれば召使も水を吸い取るどころではない。”と。
でもその為には自分の力では足りない、人間達の力が必要になってきます。
なんという幸運、ちょうど町一の力持ちの大男が通りかかりました。
「蛙よ、そんな浮かない顔をしてどうしたものか?」
「大男、見ての通りだ。俺達の住み場はなくなってしまった。他の川もなくなってしまう。どうか、助けてはくれないか?」
大男は、少し考えたがすぐに快く了解しました。
さあ、これからお姫様を殺しにお城へ向かいます。
しかし、お城には帯剣を持ち、鉛で出来た鎧に身を包んだ召使達が襲ってきます。
大男と蛙は町の防具屋に行き、鎧と立派な剣と盾を買いました。
さあ、これで準備は完了です。
お城へと歩を進めました。
その頃、お姫様はこう召使共に命令をしていました。
「これだけの川の水を奪えば、村人の怒りを買ったも同然。お城に罠を仕掛けておきなさい。特に、この私の部屋には大きな罠を。」
召使達は拷問道具を買い揃えて、色々な場所に設置をしました。
鎧を着た召使以外が通ると罠が発動する仕掛けになっています。
そんな恐ろしい事を知らぬままに2人はお城へと到着しました。
勿論、2人はすぐに仕掛けに引っかかりました。
蛙は、棘のある棒で一突きにされ、大男は大きな鋭い刃で首を刎ねられました。
それを聞いたお姫様は退屈そうな顔からさぞかし嬉しそうな顔へと変わりました。
お姫様は、そんな蛙と大男の死体が見たいと言い出し、鉄でできた扉を開きました。
するとなんという事でしょうか、空から魚の死体、亀の死体、蟹の死体、蛙の死体が降ってくるではありませんか。
お姫様は叫びました。
声が枯れるまで叫び続けました。
そしてついにお姫様は失神して、そのまま息を引き取りました。
召使はこの死体をどうしようかと迷いましたので、とにかく穴のぽっかりと開いた川へと連れて行きました。
そして、川に放り投げました。
そして再び水を川に放水しました。
死体は川の流れに乗って流されていき、完全に誰の目にも付かない場所まで流されていきました。
我が儘で身勝手なお姫様がいなくなりましたので、町は活気を取り戻し、平和となりました。
誰もお姫様が何処に行っただなんて気にも留めませんでした。

おしまい

悪い考えが悪い考えを生む。
その連鎖を続けていてはこの大地に花は咲きません。
あら、もうこんな時間ではないですか。
さあ、家の人が心配する前に帰りなさい。


貴方に幸福が舞い降りる事を私は願います。

Re: シスターのお話 ( No.2 )
日時: 2011/06/04 18:46
名前: シスターA (ID: e4Mlzqwp)

そんなに雨に濡れて、寒くはありませんか?
さあ、この小屋に入りなさい。
このココアでも飲んで、体を温めなさい。
まだ雨が上がりそうではないですし、一つお話を聞かせましょう。

『わたしのともだち』

私の友達には、足がありません。
戦争でなくしたそうです。
何時も杖を足の代わりにしています。
可哀相です。
とても可哀想だけど、内心では、ああはなりたくないと思っています。
醜いです。
とても醜いけど、人間ってそんなものです。
足がないって、とっても不便らしいです。
皆、友達を珍しい動物でも見るような目で見ます。
そんなのを見ると、とても心が痛みます。
だって、友達だって人間だから。
もう一人の違う友達は、腕がありません。
戦争でなくしたそうです。
鉛筆が持てないし、握手もできないから可哀想です。
可哀想。
私の周りにはそんな友達が沢山います。
不幸です。
とてもとても不幸です。
皆痩せて細って死にます。
でも私は今、こうして生きています。
私の家は、とてもとても裕福です。
だから、皆にパン頂戴とかお菓子頂戴だとかせがまれます。
でも私、少ししかあげません。
そんなに一杯は無理だからです。
裕福だと、皆に酷い目で見られます。
なんででしょうか。
とても苦しい。
とても苦しいんです。
私に無い物は、心です。
戦争でなくしたんじゃなくて、自分で落としてしまいました。
だから拾いに行かなくちゃいけません。
心がないと、とってもとっても不便です。
悲しいです。
何が悲しいかと言うと、人が死んでも死んでも、悲しいと言う感情が沸かないからです。
悲しい、悲しいって言ってるけど、悲しくなんかないんです。
心がないって事は、悲しいの他にもおもしろいとか楽しいとか可哀想とかの感情もないって事です。
だから私の中、空っぽです。
空洞です。
だから、誰か私の体を見つけてください。

          おしまい

もう雨が止んだみたいね。
体も大分温まったみたいだし、もう行きなさい。
また何かあったらこの小屋に来なさい。
またお話を聞かせてあげます。

貴方に幸運が舞い降りる事を私は願います。

Re: シスターのお話 ( No.3 )
日時: 2011/06/05 17:00
名前: シスターA (ID: e4Mlzqwp)

道に迷ったのですか?
それならばこの小屋に入ってお話でも聞きませんか?
さあさあ、入った。

『こわいまじょのはなし』

昔々、とある北の国に恐ろしい形相をした魔女がいました。
目はつりあがり、鼻は高く伸びて、顔はしわくちゃ。
蛙を取っては皮を剥いでスープに入れます。
バッタもカマキリもダンゴムシもムカデもスープの材料になります。
そんな魔女の近所に住む住民はとてもとても魔女の事を怖がっていました。
でも、魔女は根はとても優しい人でした。
蛙とかを取る時にはちゃんといただきますって言います。
スープを飲んだら、両手を揃えてごちそうさまって言います。
枯れそうなお花には水をあげています。
けど、そんな事誰も知りません。
だから魔女は孤独でずっと独りぼっちでした。
魔女はとてもとても老けている老婆です。
だから、子供が大好きで、勿論、猫や犬なんかの動物も大好きでした。
だけど、魔女が猫や犬や子供に近付くとすぐに逃げてしまいます。
だから、魔女は苦しい日々を送りました。
そんなある日、一人の少女が魔女の家を訪ねました。
「お婆さん、お婆さん。ここで泊めてはくれませんか?」
魔女は驚きました。
まさか自分の家で泊まりたいだなんて言う人間がいるとは思わなかったからです。
勿論、魔女はすぐにその少女を家に入れました。
「お婆さん、この壷には何が入っているの?」
そう言って少女が指差した壷は、大量の蛇を煮ている壷でした。
「それはね、蛇さんをスープで漬けて美味しい出汁を出しているんだよ。」
にこにこと皺を寄せながらそう言う魔女の顔はとてもとても幸せそうなものでした。
「お婆さん、お腹空いちゃった。なにかちょうだいな。」
魔女は、ちょうど出来上がった蛙と虫のスープを器に移しました。
「スープがあるけど、お嬢ちゃんの口にあうかねえ。」
不安気にスープを差し出すと、少女はためらいなくゴクリとそのスープを一飲みしました。
すると、少女はいきなり白目をむいて泡を吹いて倒れました。
魔女は泣きました。
地震が起こるほどの大きな声で少女の亡骸を抱いて、泣きました。
しかし、この亡骸、どうしようか・・。
魔女は涙で視界を汚しながらもそう考えました。
そして、思いつきました。
この子を食べよう、と。
そうしたらこの少女と魔女は一緒になれる。
魔女は急いで大きな人間の子供が入る大きさのお鍋を倉庫から引っ張り出しました。
蛇で出た汁を流し、その中に少女を入れました。
ぶくぶくと泡を吹かせながら少女は出汁となって消えていきました。
そして、出来上がった頃には骨だけの姿となっていました。
そのスープは、とてもいい匂いを放っていて、魔女は思わずヨダレが出てしまいました。
器に入れて、ごくりと飲みました。
なんと旨い!
その味に魅了された魔女は何リットルもあったスープを僅か二分足らずで飲み干してしまいました。
それから魔女はわるい魔女へと変わっていきました。
人を殺してはお鍋に入れてスープで煮ます。
そのスープを飲んでは、少女の事を思い出しました。
そうして最後には、村人は消え、ついに本当に魔女は独りぼっちになってしまいました。
そんなある日、とある少女が家を訪ねてきました。
「すみません。道を迷ったのですが、誰も人がいないので困っていた所です。どうか一晩だけでも泊めてくださいませんか?」
魔女は、溢れたヨダレを拭い、不気味な声で
「さあ、お入り。一晩とは言わん、何日でも泊めてあげよう。」

          おしまい

今日はもう泊まっていきなさい。
え?私が貴方を食べるだって?
ふふ、いくら人間のスープが美味しいと魔女が言っても私はそんな事しませんよ。
それじゃあ、夕飯にしましょうか。

貴方に幸運が舞い降りる事を私は願います。

Re: シスターのお話 ( No.4 )
日時: 2011/06/05 17:44
名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: wnkXBzTQ)

どうも、初めまして。九龍と申します。
全部のお話を聞かせていただきました。


わがままなおひめさまの件は、自業自得ってやつですね。
大男とカエルが死ぬと喜んだり、退屈だったらって全人類を困らせるようなことをしたり。
水は命の源なのに、ですね。
生き物も人も死んでしまうようなことをするなんて、一体どこで間違ったのやら……。

わたしのともだちでは、一応はその人にも感情はありますね。
空っぽって言っても、心が欲しいって言ってるわけだし、負の感情はあるみたいですね。
それだったら、そのほかにも感情はあるはずですし。
負の感情があれば良い感情もあるっていうのが、人間だと思います。はい、生意気言ってすみません。


こわいまじょのお話。これが一番考えましたよ。
いますよね、怖い顔した人が優しい心を持っているって言うの。
背中に刺青いれてるオジサンが、慈善活動に参加してるとか。僕は見たことないです、はい。生意気言ってすみません。
魔女のことを、いろんな人が拒絶したことも、魔女が悪の道へと言ってしまった一つのような。
魔女は人の愛情がなさすぎたから、少女と永遠に一緒にいようと、あんなことをしたんだと思いますから。
まぁ、だからと言って、愛情を注がれすぎると、墓も作ってくれ名そう。両極端ってやつです。


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