ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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─復讐人間─プロローグUP
日時: 2011/06/08 21:13
名前: テントウムシ (ID: BZFXj35Y)

努力すれば必ず叶う──────。


そんなの嘘だ。


僕は努力した。それでも、周りは僕を認めないし、僕より知能もない人間が僕を見下す。

世界とはなんだ?

結局は「力・金・権力」なのか?

その3つを揃えれば、僕は全員に認められるのか?

違うな。それは‘間違った答え’だ。

本当の答えは


─認めさせることができない─


それなら力づくでも……どんな手を使っても………認めさせてやる。

犯罪?禁忌?──僕は見下した人間達に鉄槌を下す。

今ここに誕生する。



復讐人間が──────




□はじめに
 こんにちは。作者のテントウムシです、よろしくお願いします。
 内容は見てのお楽しみ……楽しんで読んでくれたら幸いです。
 愛読されるような小説を作っていきたいと思います。どうか応援とアドバイスをお願いいたします。

■注意事項
 1.喧嘩や荒らしなどの行為はご遠慮下さい。
 2.私だけでなく、他の皆様にもそのような行為はご遠慮ください。
 3.誤字・脱字が多い駄作ですので、読みにくければご自由に左上の戻るボタンへ行くことをお勧めします。


            ではでは、お楽しみに♪





━テントウムシのお知らせ掲示板━
執筆中【】 健在【】 不在【○】





━━━━━━━━━━━━━━━━





Prologue>>004
Epilogue

キャスト─前田一派>>003
    ─横山兄妹
    ─警察関係者
    ─その他

〜第1部〜
01話>>001
02話>>002
03話
04話
05話
06話
07話
08話
09話
10話

Page:1



Re: ─復讐人間─ ( No.1 )
日時: 2011/06/04 23:09
名前: テントウムシ (ID: BZFXj35Y)


「‘認められぬ者’は‘認めさせる者’に変化する。だが、認めさせるにはどうすればよいか。人間は無知で鈍感な生き物だから理解できぬ。しかし我々は、奴らとは違い理解して感じることが出来る。」

目の前に広がる、ネオンで輝く12月初旬の東京。道を蠢く、小さな車の光。豪壮に聳え立つ東京タワー。
高層マンションの屋上で東京を見つめる、1人の男性─────。
成人の日に両親から貰ったスーツとネクタイと靴,誕生日に彼女からプレゼントされた腕時計と靴下,人生で一番大切ともいえる友人が託したツーショットの写真が入ったロケットペンダント。
僕が身に付けている全ての物は‘彼らの欠片’だ。

「前田殿、そろそろ時間です。」

東京を見渡す前田翔太の後ろには、黒いジャージを着て、腰に回転式の拳銃を4丁装備している若い男性がいた。

「………そうか。それでは、同志たちよ。我々の存在と伝説を刻みに行こうじゃないか。」



「最高だな。まさか、こんな日が来るとは。」



「そうっすね〜ぇ。クズどもをが恐怖で逃げ回る光景が目に浮かぶっす。」



「ヒヒヒッ……早く殺したいぜ。痛めつけて痛めつけて、奴らに苦しみを味あわせよう。」



「私は前田様に従いますよ。無駄な行動は、自分の命取りになるからな。」



前田の後ろに現れた総勢5人の人影は、それぞれの思いを口ずさむと、目の前に立つ前田を見る。
同じく前田も5人の顔を見ると、ニヤリと不気味に微笑み、夜空に浮かぶ満月を見上げた。

「まずは‘金’だ。そのあとは‘権力’。そして……‘力’だ。」




 * * * * *


『今日の午前3時ごろ、都内の某銀行4店で銀行強盗の被害を受けていることが判明しました。被害額は4店合わせて総額10億円と見られております。各銀行に設置されていた監視カメラは全て破損しており、警察では犯人によるものと見て捜査をしております。なお、犯人については情報が少なく捜査は困難を極めている模様です。警察は早朝より、都内の約100ヶ所で検問を始めていますが、今のところは新しい情報は入っておりません。では、続いてお天気予報をお伝えします。』


国内最高被害額の銀行強盗事件で盛り上がる、馬鹿な若者達。
または客観的に見て、防犯対策や警察が無知だとか意味がないとか評価している、クズな大人達。
俺も、そんな人間の1人だった。

「凄いよな。一晩で4店も強盗に遭うなんて。」

「うん…それも10億円って……強盗も強盗で、相当のプロなんだろうね。」

リビングで学生服のまま朝飯を頬張る2人の兄妹。テレビを見て、自分達には関係ないと思っているのが当たり前。
東京都内に住む横山兄妹。兄の真弥は高校2年生で、来月には生徒会長となる。妹の鈴音は中学3年生で、空手黒帯を持つ最強の妹。2人に両親はいない、その理由は3年前にある。
真弥が中学を卒業し、鈴音が中学生になったその年に2人の両親は死んだ。死因は事故死だった。
鈴音の中学入学式に向かう途中の2人は、信号を待っていたところを、居眠り運転で突っ込んできた大型トラックに追撃された。そのまま2人を乗せた車は反対車線に進入し、向かってきた観光バスに衝突。車は鉄の塊に変わり、2人の遺体は残っていないと言っていいほど損傷した状態で発見された。真弥達が両親の死を知ったのは、中学入学式が終わった後であった。その後は祖父母の家に引き取られ、真弥が高校生になりアルバイトを始め、安い賃貸で兄妹と暮らしている。

「んじゃ、私先に行くね。」

「おう。気をつけてな。」

鈴音は真弥より一足先に食器を片づけると、鞄を持って足早に玄関へと駆ける。

「あっ!食器は水につけといてね。行ってきまーす!!」

「はいよ。行ってらっしゃい。」

鈴音が出て行ったと同時に食べ終わった真弥は、時間に余裕があるためテレビを見続ける。
テレビでは天気予報が終わり、再び銀行強盗のニュースが始まっていた。

「それにしても、本当に強盗凄いな。外国の奴らか?」

真弥が独り言を呟いた瞬間だった。画面内のアナウンサーが慌ただしくなり、1枚の紙をスタッフから受け取った。


『今お伝えしました銀行強盗についての新たな情報が入りました。4店の銀行の内、松原銀行のある通り沿いのガソリンスタンドに設置された監視カメラに犯人グループと思われる集団が、銀行方面に歩いていく様子が残っていた模様です。検証の結果、犯人の人数は6名であり、今もカメラの検証が行われており、5時間後には犯人の顔が特定できると警察は、都内某ホテルで行われている記者会見で発表しました。』


真弥はニュースを見ると大きなため息をついた。

「な〜んだ。結構早く解決しそうじゃんか、つまんないの。」

真弥は立ち上がるとテレビの電源を消して玄関へと向かう。
リビングの隣にある部屋に入ると、そこには大きな仏壇があり、笑顔で写る家族4人の写真が飾られている。
真弥は仏壇の前に座ると合掌した。

「父さん、母さん。行ってきます。」

真弥は写真に向かって言うと、鞄を持って家を出て行った。

Re: ─復讐人間─2話UP ( No.2 )
日時: 2011/06/05 17:47
名前: テントウムシ (ID: BZFXj35Y)

「ん〜……お金の香りは、いつ嗅いでも素晴らしい香りだ。そこらの高級アロマよりも、綺麗で清純な花よりも美しい存在であるし、何よりも紙きれに価値があるという部分が魅力的ですね。」


どこかのホテルの一室だろう。ベットの上には、溢れんばかりの札束が広がっていた。赤い絨毯が敷かれた床も、ほとんど札束に埋まっている状態である。
緑色の眼鏡をかけてスーツを着ている男性は、札束を手に取り香りを味わっている。

「相変わらずキモいな、クソ紳士野郎。」

罵声を男性に飛ばしながら現れた黒いコートを着た男性は、鋭い目つきで睨みながら言う。

「おやおや、容姿は貴方の方がエグイと思いますが。司馬狼一郎君。」

キリッとした顔つきに以上に伸びた糸切り歯、鋭い眼光が特徴的な司馬狼一郎は眉間に皺を寄せる。
ポケットに突っこんでいた両手を出すと、鉄爪のついた特注のオープンフィンガーグローブを装備していた。狼一郎はグローブに付いた鋭い鉄爪を男性の首元に向ける。

「てめぇは気に喰わねえ。前田が了承してなかったら、俺が殺してるところだぜ。」

「ふふふ。貴方達は私がいないと、‘権力’を手に入れることが出来ないでしょう。その爪をポケットに戻すことをお勧めしますよ、狼少年。」


「…………大体、総理を護衛しているSP野郎が、どうして前田と接点を持ってんだよ。」


狼一郎は両手をポケットに戻し、札束の乗ったベットの上に座る。
見た目からは想像できないが、総理のSPという来栖・M・アーチボルト。イギリスの血が混ざった彼はイギリス生まれの日本育ちであり、そのため日本語は達者だった。
来栖は持っていた札束を床に投げ捨てると、スーツを着なおして眼鏡を掛け直し、狼一郎に一礼をする。

「それは内緒です。防衛省の長官と会食の予定が入ってましてね。また後日、会いましょう。」

「っち!さっさと行け、エセ紳士が。」

狼一郎の罵声に来栖はニコリと微笑むと、部屋を後にして出て行った。
と同時に、2人組の男性が部屋の中に入ってきた。

「司馬先輩、次のお仕事の時間っすよ。」

小柄で、恐らく中学生と思われる青年が狼一郎に言う。
黒色の無地のパーカーにジーンズというラフな姿をした黒尾卓志は、輝きを失った生気のない目で狼一郎を見ながら、子供さながらの無邪気な笑顔を見せる。
しかしその笑顔には純粋さが欠け、何か黒いモノを感じるオーラを放っていた。

「仕事の時間って……俺らは見物だろう。動くのはサンウォンだけだろ。」

「見物じゃねえよ。サンウォンが下手な真似をしない様に360度の方向から監視する。」

「……つまらねえ仕事だな。殺しさせろよ。」

卓志の隣立つ、腰に日本刀を6本も付けている花園竜登は、狼一郎の独言を無視すると窓から外を見た。
竜登の目線の先には、東京に建つ警察の中枢と言っても過言ではない建物が建っていた。

「ショータイムだ。警視庁で大きな打ち上げ花火を見ようじゃないか。」

竜登はそう言うと、狼一郎と卓志と共に札束で埋もれた部屋を出て行った。


 * * * * * 



警視庁─────


今週の警視庁の建物全体には、重い空気が延々と漂っていた。
どの課も忙しく動いており、廊下で普通に歩いている捜査官等いない。資料片手に足早に歩く警視庁本部の管理官である次屋重之助。キャリア組出身の彼は、今回の組織全体で捜査している事件の担当を務めていた。
その事件は他でもない、前田一派が起こした事件だった。


 「都内連続銀行強盗10億円強奪事件」


国内最大の被害額。響はそこまでないが、教科書に載るほどの大事件には発展していた。
次屋は資料を見ながら、捜査本部の設置されてある会議室に入る。
会議室の中にはほとんど捜査員はおらず、前の管理官席に数人の人間がいるだけだ。

「管理官、お疲れ様です。」

「あぁ。それで、例のガソリンスタンドのビデオテープの検証は終わったか?」

「もう少しだそうです。1時間以内には終わりますし、会見までには間に合うでしょう。」

「そうか。何か分かったことはあったか?」

次屋が強面の体つきの良い捜査員である芳賀剛史に聞くと、芳賀はホワイトボードに1枚の写真を張り付けた。写真にはどこにでもいる様な、スーツを着た男性が映っている。
次屋は首を傾げながら写真に顔を近づけて芳賀の方を向いた。 

「彼は強盗の被害に遭った4店の内の中央銀行で勤めていた銀行員です。調べた結果、彼は事件の前日に仕事を辞職しております。理由は分かりません。」

「……で、この銀行員の現在地は?」

「問題はそこです。自宅に足を運んだんですが、辞職した日に妻と離婚しているのです。実家にも目星の付く友人の家にも捜査員を派遣したのですが、彼はどこにもいません。」



「この銀行員が、少なくとも事件の鍵を握っているのは間違いなさそうだな。」



次屋は頭を掻き毟りながら、かけていた眼鏡を外すとホワイトボードを見渡す。
色々と事件の詳細や資料が張り巡らされたボードを見渡すと、次屋は一言つぶやいた。





     「今回の事件、何か嫌な匂いがするな。」






この次屋の予想は、すぐに当たることになるのだった──────。

Re: ─復讐人間─2話UP ( No.3 )
日時: 2011/06/07 19:51
名前: テントウムシ (ID: BZFXj35Y)

─登場人物 ver前田一派─

[前田 翔太]
過激派テロ組織集団の若き統率者。壮絶な過去を持つ。

[二門 彩加]
テロ組織集団NO.2の実力を持つ。元女子空手チャンピオン。

[花園 竜登]
指名手配犯。‘兇刃・花園竜登’と恐れられている六刀流の若い男性。

[来栖・M・アーチボルト]
総理大臣についている現役のSP。イギリスの血が混ざっているが育ちは日本。お金好き。

[司馬 狼一郎]
戦闘員。鉄爪のついた特注のオープンフィンガーグローブを常備している。来栖を嫌っている。

[黒尾 卓志]
組織最年少のメンバー。語尾に「〜っすよ。」を付ける。狼一郎と一番仲が良く、いつも隣にいる。

[ヨン・サンウォン]
爆弾魔として恐れられている中国人。彼女を人質に取られたため、渋々組織のメンバーになった。

[佐久間 氷陣]
回転式の4丁拳銃の使い手。前田と一番接しており、組織のメンバーで唯一、前田の全てを知る男性。



後々、詳細に更新していきます。

Re: ─復讐人間─キャストUP ( No.4 )
日時: 2011/06/08 21:13
名前: テントウムシ (ID: BZFXj35Y)

     ━ P R O L O G U E━





復讐の芽が芽生えるきっかけは、どこにでも転がっている。
学校の帰り道に、顔も知らぬ同級生が肩にぶつかってきた。僕は悪くない。ぶつかったのは相手からだ。なぜ睨む?



殺してやりたい──────



家の自室で勉強をしていると、ノックもせずに入ってくる父母に祖父母に兄弟に姉妹。



殺してやりたい──────



すれ違い様に、僕と目が合う人々。



殺してやりたい──────



僕の「名前」を口に出した奴は殺す。
僕を「評価」する奴は殺す。
僕が「嫉妬」する奴は殺す。全て、全て、何もかもが対象だ。
僕よりも頭の良い、僕よりも運動神経が良い、僕よりも容姿が良い、僕よりも何かが上である存在は許さない。
全ては僕が頂点だ。権力だろうが、金だろうが、力だろうが。努力で上に行けないのなら、俺は違う方法で頂点を目指す。俺を変えたのはお前らだ。

「大人」

俺は……全てを捨ててきた。
「彼女」も「親友」も「家族」も捨てた。



   僕こそが────俺こそが──────………………



 * * * * *


「翔太。大丈夫か?」


「うぅ…あ…あぁ、大丈夫だ。計画の進行状況は?」

「そろそろ警視庁で、ドでかい花火が上がる筈だ。一緒に見ようじゃないか。」

ホテルのベットでスーツ姿で横になっていた前田は起き上がる。
前田の脇に立つ黒いコートを着た濃青色の髪の男性は、前田の隣に座ると窓の外の景色を眺める。
前田は大きなため息を吐くと立ち上がり、スーツとネクタイを着なおす。

「どこに行く?花火は見ないのか?」

「俺は遠慮しとく。あとはお前に指揮を任せるよ、氷陣。」

佐久間氷陣は無言で頷くと、前田の生気を失った両目を見ながら口を開く。


「‘俺’なんか使わないで、‘僕’って言えよ。お前らしくないぜ。」


「……じゃあな。」

氷陣の言うことを無視して、前田は部屋から出て行った。氷陣は曇天になりつつある空を見上げるとため息を吐いた。
そして、座った状態でベットの上に後ろから倒れた。
そして目を閉じると、何もない暗闇の中に1つの光がポツリと浮かび上がる。
その白い光は、成人女性の様な姿をしている。



「夕奈…………もうすぐで始まる……………………世界を……変える…………出来事が…………」




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