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神様のいない世界
日時: 2011/06/20 19:28
名前: 狐斗 (ID: KNtP0BV.)

こんにちは、こんばんは、はじめまして

狐斗です、宜しくお願いします

多分“コト”って読みまs((多分ってなに

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Re: 神様のいない世界 ( No.1 )
日時: 2011/06/20 19:59
名前: 狐斗 (ID: KNtP0BV.)

「そうですね、一回死んだら良いと思います」

レイショウ コクノ
冷章  黒乃
饒舌な十六歳。
毒舌で、(あまり)悪気なしに、人を貶す。
常に小型銃を所持している。
人と話すときは普段は敬語で喋る。
スイッチが入るとドSになり、敬語ではなくなる。
容姿は茶色の髪を腰まで垂らし、紅い眼をしている美少女。
服装は着崩したブレザーの制服(をいつも着ている)。

Re: 神様のいない世界 ( No.2 )
日時: 2011/06/20 19:56
名前: 狐斗 (ID: KNtP0BV.)

「え、ちょ。黒乃助けてく……れないですよねぇー」

アサト  イム
浅蓮 依霧
へたれな十六歳。
打たれ弱くて、すぐにネガティブになる。
黒乃と(脅迫されて)行動を共にするようになった。
容姿は金髪に、つりあがった瞳の為、喧嘩をよく売られる。

Re: 神様のいない世界 ( No.3 )
日時: 2011/06/20 20:38
名前: 狐斗 (ID: KNtP0BV.)

序章 この世界は醜いと思いませんか



「ねぇ、そう思いませんか?」
「……そう思いませんか、って言われても」

 彼女の疑問に半ば苦笑しながら返事を返す。
すると彼女は不審そうに眉を顰め、

「まさか貴方の小さい頭脳では理解出来なかったんですか?」
「いや、そういうことじゃないから。それと小さくないから」

 彼女はさらに面白くなさそうに、

「自意識過剰ですね、死ねばいいのに」
「あれ? 今すっごい毒舌が聞こえたなぁ。気のせいだよね、うん」
「現実逃避ですか。うざいですね」

 ですが、と続け、目を伏せた。

「まぁこの世界、現実逃避しないと生きていけないですよ」

 その彼女の言葉やけに寂しげだった。
シィン、という効果音が聞こえそうなぐらい、静かだ。

「……黒乃」
「…………くだらないことだったら殺します」
「怖いよ。別にくだらないことじゃないし」
「貴方のくだらなくないというのは主観です。くだらないかは私が決めますよ」

 妙に真面目な顔でいうので、依霧が「う」と言葉に詰まった。

「ねぇ、さっきの質問の答えなんだけどさ」

 黒乃の反応を横目で見るが、その表情は依然として変わらない。
依霧は話を続けた。

「いつから、この世界は醜くなったと思う?」
「……驚きです。まさか質問に質問で返ってくるとは予想外でした。それに1ナノも質問に答えてないですし」

 コイツ馬鹿じゃないの、と言いたげな視線を送ってくる。
だが依霧はそれに気づかぬふりをし、

「俺はこの世界に神様がいなくなってからじゃないかなって、思う」

 サァ、と木々が揺れる音がした。
———その音は久しぶりに聞く音で、なんとなく新鮮に感じた。
 黒乃は小さく「はぁ」と溜息をつき、呆れた目で此方を見、

「馬鹿なの? ……と、言いたいところですが“思う”ですし、良いですか」

 黒乃は再び、でも今度は凄くわざとらしく溜息をついた。
 そして依霧を真っすぐな紅い眼で見つめた。

「私は違うと思います。私は、」

 静かな、声色で、それでもしっかりとした口調で、



「———この世界が創られた時点で、既に醜いのではないかと思いますよ」

Re: 神様のいない世界 ( No.4 )
日時: 2011/06/21 17:31
名前: 狐斗 (ID: KNtP0BV.)

1章 とりあえず逝っちゃってください



 どよりとした暗い空気がとてつもなく重い。
枯れた木々に萎れた草花、———白骨死体。
 太陽は上がらず、電灯すらまともに点いていないので、暗い。
 それに加え血で生臭いのだから、仕方が無い。

「……黒乃、ねぇいつまで歩くの?」

 依霧がぐったりとしながら問いかける。
だが“黒乃”———冷章黒乃は無表情で淡々と言葉を紡いだ。

「黙ってください。寧ろ黙りなさい」
「え、どう違うの?」
「丁寧語と命令形の違いも解らないんですか?」
「……それ、食べられるの?」
「一回貴方が死んだら教えてあげますよ」
「酷ぉっ!?」

 こんな調子で、もう既に何時間歩いただろうか。
ある意味、会話だけ聞くと漫才にも思えるが、風景と合わせると、酷く不自然だ。

「ねー黒乃ー疲れた、休まない? つか休も」
「我慢してください」
「いや、もう無理、死にそう」
「そんなんで死んでたら人類は滅亡してますよ」

 正論なので言葉を返せず「うぐ」と唸る。

「だ、だったら。俺だっていんだし、どこ行くかぐらいは教えてよ」
「……そう、ですね。どこ行くかというと、……特に、決まってません」

 ?、と依霧が頭にマークを浮かべる。

「どこ行くかなんて解りません、が。強いていえばこの生臭い空気が消えるまで、ですかね」
「そんなの……もう、どこ行っても無理じゃない?」

 どこ行ったってこの匂いは消えないよ、と続ける。
 黒乃は立ち止まり、暗い空を見上げ、

「そうですね、不可能です。…………この世界にせめて神様がいたなら、少しはなにか、変わっていたでしょうか」

 最後の声は、
とてもか細くて、小さくて、弱くて、寂しくて———、

 依霧は最後の一言は聞き流し、また二人で黙って歩き始めた。

Re: 神様のいない世界 ( No.5 )
日時: 2011/06/22 20:25
名前: 狐斗 (ID: KNtP0BV.)

                                @



「うーん。全然ヒトいないねぇ」
「……当たり前です。ほとんどのヒトは死にましたから」

 最後の語尾だけ黒乃は妙に力を込める。
ついでに「“神様”のせいで」と付け足す。
 依霧は黒乃の顔から目を反らし、

「……やめよ。もういないヒトの話なんてするもんじゃない」

 最初黒乃は驚いたように目を少しだけ見開き、珍しく「そうですね」と依霧に同意した。
 それには依霧も驚いたようで、

「黒乃が俺に賛成するとか、なにこ、」

 れ、という前に黒乃のラリアットが依霧の顔面にめり込んだ。

「いっつ……。ちょ、なに。なんで俺ラリアットくらってんの?」
「訊く前にそのない頭で少しは考えたらどうですか」
「くぅ……、黒乃の愛が痛いよ!」

 と、依霧が冗談でいうと露骨に顔を歪ませ、

「…………その言葉が嬉しすぎて軽く胃酸が逆流しそうです」
「もう素直に『きもいから吐きそう』っていいなよ!」
「きもいから吐き、」
「あ。やっぱもうちょっとオブラートに包んだ言い方でお願い」

 結構直で言われると心が傷つくので、訂正をする。
(黒乃って、ヤンデレなの? いや、ツンドラか。
———は、まさかツンデレですねわかりますフラグではなイカ!?)
 刹那、依霧の今度は腹にグーパンチが刺さる。

「っ……ぐ、あ。なにすんの黒乃っ!?」

 腹を抱えて苦しそうにうずくまる依霧を見て嘲笑し、

「今なんか変なこと考えましたよね。その仕返しだと思ってください」
「えっちょ、黒乃おおおぉっ!? なに、君読心術使えるの!?」
「さっさと立ちあがって下さい見苦しいですね死ねばいいのにつか死んでくださいよ置いてきますよ」
「凄っ!? 今のヒトコトで言いきったよ!?」
「……貴方、やっぱりどこか抜けてますね」

 少し、
ほんの少しだけ、
黒乃が微笑んだように見えたのは気のせいに違いない。


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