ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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嘘つき少女
日時: 2011/06/27 22:32
名前: 沙由 (ID: udZFMs3r)

昔々、それはずっと昔の物語——


登場人物

アール
一応主人公のはず。
とある村の農家の少年。

イー
ヒロイン
Rに拾われた少女。





はじめましての人ははじめまして。
お久しぶりの人はお久しぶり、あ、でももう覚えてませんよね。
沙由です。
ちょっと色々あってここにこれなかった+二次で忙しかったのですが、どうしても書きたいものができてしまい戻ってきました。
他スレ様で色々と古参の方もいらっしゃってなんか色々と安心しました。というか、またリアルタイムで読めると思うと、なんか幸せです。

これの更新は半端なく遅くなってしまいそうですが、それが駄目だと思ったら読むのはやめた方がいいと思います。
私、普通にこれの存在忘れてしまうかもしれませんからね。




始まりの物語

昔々その昔、とある場所に王国がありました。
その王国はかつて栄華を極めましたが、今は少し没落し、あるときついに革命が起こってしまいました。
革命に荒れ狂う民衆は城を占拠し王族、及びそれに仕えた貴族を見つかるかぎり全て殺そうとしました。
そして、民衆とその見方になった兵にあっさりと王家は断絶させられてしまったのでした。

——しかしそれは表の物語。

本当は一人生き残れたのです。
王家といっても今は王と后、そしてその一人娘の姫しかいませんでした。しかしその姫は“とある理由”で秘匿されていたのです。
そこで后はその姫を逃がしました。

とある至極厄介な呪いと共に……

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嘘つき少女 ( No.1 )
日時: 2011/06/28 22:11
名前: 沙由 (ID: udZFMs3r)

第一の物語—1

「あー、どうして僕がこんなことしなくちゃいけないのかな?」

 僕は意味もなくそんなことをつぶやきながら歩く。この言葉には本当に意味がない、言ったところで何もおこらないし、むしろ気分が沈むだけだし、もういっそ絶対に言わないほうがましなんだけど言わずには居られない。どうして、こんなことをしなくちゃいけないのか? 否、それは僕がたまたま農家ってやつに生まれてしまって、そこで手伝ってないと生きていけないからにほかならないんだけどね。ちゃんと手伝わないとあっさりと僕は親に殺されちゃう。子供に選ぶ権利なんてないんだ。親は選ぶ権利があるんだけどね。あ、選定する権利か。
 切り捨てられたらたまったものではないんだ。僕みたいな弱い少年。育ててもらえているだけまぁありがたくって、そこで手伝うのは当たり前で。だけど、やっぱり面倒くさい。愚痴を言いたい。聞いてくれる人なんてとっくに居なくなっちゃったけど。友達だっているけれど、愚痴を理解してくれる友達くらいいるけれど、それじゃぁダメなんだ。その友達にも今はまだ仕事があって、僕と同じで選べない者なんだ。どこで何をしてどう生きていきたいかなんて、望むことはできても決めることは許されない。そんな僕たち。僕じゃなくても、僕が僕じゃなくても誰も困らないような数だけの僕たち。
 だから、僕が愚痴をつぶやくならば答えてくれるのはこの世界中に満ちている何らかの物とか、もしかしたら存在するかもしれない妖精さん、あとは道の脇に生えてる草花とか木とか、そうだ今歩いている地面もちゃんと聞いているはずだ。そう考えれば家だって、ドアだって。あ、ドアは家の一部だ。幽霊がもし漂うならば、僕のおじいさんも、その何代か前のお祖父さんも聞いているはずで。

 うん、なんか元気でてきたよ。
 むしろさみしい人っぽくなっちゃったけど。

 理屈を適当にこねまわしてもどうにもならないし、やっぱり誰も聞いていないし、そもそも頭の中だけで考えていることを誰かわかるわけないし。うん、やっぱり僕は馬鹿だ。結果的にはなんか落ち込んでしまっているだけ。いつものことだけど、この変な思考のせいでその僕を生かしてくれてる母親のいい付けを忘れてしまって、あとで叱られる。またはこのまま道を進んで入るなと言われてる森に迷い込む。それで結局また叱られる。いいことなんて一つもないのに、あくる日も考えてる僕。やっぱり馬鹿。
 ま、そんな馬鹿な僕でも今日はちゃんと気づけたのだから母親の言いつけを守ろう。今日頼まれたことといえば三つとなりの家の奥さんから鍋を借りてきて、だっけ? まったく自分で行けばいいのに。なんで僕がこんなことやらなくちゃいけないんだろう? あ、最初に戻った。
 で、今は二つ隣の家の前。あと一つ分畑を超えるのか。面倒くさいなぁ。だけど、道がちゃんとあるだけましだね。羊も馬も牛もいきなり出てこないところとか本当にまし。この前なんて鹿が出てきて……ほとほとうんざりだ。

 さてと、歩こう。今度は変な理屈を考えないで。

 と、まぁそう早速歩きだした時だった。それを見つけたのは。いや、それっていうのは失礼かな。だってこの子、一応女の子なんだからね。
 まぁ、仮にいーとでも呼んでみよう。いーは三つとなりの家と、二つ隣の家の間を結ぶ、というか二つ隣の家の畑の中を走る細い道の中央に倒れていた。こう、大の字にうつぶせになって。ということで顔は見えない。見えたところできっと知らない子なんだろうけど。この村の少女はこんな綺麗な金髪も真っ白な病的な肌ももってないし、こんな白い綺麗な布の服も着れるわけないからね。

 ま、僕としてはいーの存在事態が非日常ていうわけですよ。
 純粋に興味もわく。

 問題はその興味をどうやって形にするかっていうところ、だ。とりあえず普通の人間っぽく話しかけてみる? ならなんて呼びかけよう。さっき適当に「いー」という名前は付けてみたけれど、本人はそんなこと知るはずないし、本物のいーさんが出てきてしまったら僕は困ってしまう。じゃぁ、名前を呼ぶのはアウト。普通に挨拶でもしてみる? だけど、言葉が通じなかったらどうしよう? こんな見た目の子はこの辺にいないし、もしかしたらそんな可能性もあるかもしれない。

「ねー、ここって****」
「え、なんて言ったの?」

 くどくど迷っている間にいーは僕の背後に立っていて、後ろから声をかけてきた。一瞬飛び上がりそうになる。しかも、そのいーといえば僕たちの使ってる言葉をさらさらと紡いでる。一部よくわかんなかったけど。

「あ、つまんないの。人形だったんだ」
「まったく意味不明だよ。僕は正真正銘の人だってば」
「そんなことわかるはずないよ」

 上半身だけ振り返っている僕に向かっていーはにーっと笑いかけてきた。とっても可愛らしい。主に純粋で相手の反応をためしているかのようじゃない態度、本当に可愛い。それに僕よりちっちゃいし。僕、この村では小さいほうなんだよね。
 そして、顔もやっぱり綺麗だった。にーっと微笑むその顔にはどこか品格がただよってて、唇はいちごのような赤、頬は桃色、瞳は晴れ間の空のような青。実は少し前髪はウェーブがかかっていて、顔自体が丸っこくて。子供っぽい女の子、そんな感じがした。僕の周りの女の子がおかしかっただけなのかもしれないけど。
 ただ、少し会話がかみ合わない。言葉はこんなあっさり通じたのに、意味がまったく通らない。僕から彼女への言葉はなんとなく通じたような気がするのに、彼女からの言葉はまるでフィルターがかかったようにそれに変換させられて届かない。僕は彼女の何かを知ることはできない。考えすぎだとは思うけどね。

「それで、君は誰?」
「君? それって誰のこと?」
「君は君だよ。あ、ついでに僕はあーるっていうんだ」
「あーる? 変な名前。私はね……適当に呼べばいいよ」

 いーは何が気に触ったか知らないけれどなんかそっぽをむいてしまった。頬が少し膨らんでこりすみたいだ。

「じゃぁ、いーって呼ぶよ」
「勝手にして」

 なんかいきなり女王様みたいになってしまった。やっぱりいーはよくわからない子。


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