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- 偽善者天国
- 日時: 2011/07/02 00:58
- 名前: 水名月 (ID: .057oP6P)
初めまして、水名月と言います。
短編にするか、長編にするか等のプランはもちろん、内容もきちんと決まっておりません(多分長編
しかも気まぐれおっとり野郎なので、「更新何それ美味しいの?」です←
それでも「OKだYO!」「しょうがない、待ってやるZE☆」と言ってくださる優しい方。
どうか気長にみていただけると光栄です。
↓注意事項↓
・荒らし、中傷禁止です
・更新は気まぐれですが、気長にお願いします
・漢字間違い等ありますので、注意をお願いします
では、宜しくお願いします。
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- Re: 偽善者天国 ( No.1 )
- 日時: 2011/07/02 00:58
- 名前: 水名月 (ID: .057oP6P)
*プロローグ*
学校に残っていた僕は、もう外も暗いし帰ることにした。
今日は気まぐれで、いつもと違う方向から家に帰る。
どこをみても景色が墓地というこの帰り道は、正直怖いから通りたくなかった。
「やっぱ向こうから帰れば良かった。
ビルとか多いから人もいるし。此処人通り悪いからな。」
でも、何故か勘でこっちから帰りたくなった。余計な勘だ。
鞄からウォークマンを取り出し、最近流行っているアーティストの曲を聴く。
墓地の前で失礼かと戸惑ったが、逆に静かな方が怖い。
鼻歌を歌いながら道を歩いて行くと、遠くの方に人がいる。
僕は、幽霊か?とかちょっとしたことを考えながらイヤホンを取る。
お墓参りか?・・・午後9時頃に?
もう引き返して全力で走って帰りたかったが、もう少しで家だし・・・。
なるべく早歩きで通り過ぎる。
「あれ・・・?純ちゃん?」
いきなり声をかけられて「はいっ」と声が裏返ってしまった。
・・・というか、今僕の名前・・・。
「あの、純ちゃんだよね・・・?」
「あ、いえ、違います。」
こういう場合、答えてはいけないよな・・・?
だって、相手はフード被ってて顔もみえない。危険でしょ。
「え、でもさっき名前呼んだ時に『はいっ』て・・・。」
「あ・・・・・・。」
そ、そういえば言ってしまった。
もうはぐらかす気はない。こうなりゃ答えてしまおう。
「ま、まあ僕純だけど・・・。」
「だよねっ!僕だよっ!!」
黒いフードの奴が顔を上げる。そこには、見覚えのある顔があった。
「お前、拓也かっ?」
「そうだよ!良かったぁ・・・、純ちゃんに会えて・・・。」
拓也は目に涙を浮かべる。
拓也は小、中学校ずっと同じクラスだった幼馴染だ。
家が隣で親同士も仲が良かったので、僕はいつでも一緒に遊んでいた記憶がある。
でも、高校に入る前に転校してしまったのだ。
「一年ぶりじゃない?何で戻ってきたんだよ?」
「いや・・・、ちょっと。というか、さっき僕のこと避けようとしてたでしょ?」
不意を突かれて「うっ」と声を出す。
言い訳、言い訳っと・・・。
「いや、僕等もう高2じゃん?背とかちょっと伸びたし、声変わりもしたし。
顔もみえなかったから変な人かと・・・。」
僕は「はは」と苦笑する。拓也の顔は綻んだ。
「で、何で帰って来たの?」
「・・・・・・。」
急に拓也は黙り込んでしまった。
何で、戻って来れて嬉しい訳ではないのか?
「拓也・・・」
僕は拓也の顔を覗き込む。
すると、違和感を感じた。拓也の顔に何かついている。
夜のせいでよくみえなかったけど、赤い。
それだけで、大体察した。
「人、殺したんだね?」
「・・・・・・。」
拓也はコクリと頷く。僕は少し困った。
せっかく再会したのに、人を殺しちゃったなんて。
「家、来る?匿ってあげるよ?」
「ほ、本当?」
拓也は僕の顔をみつめる。僕はニコッと笑った。
「当然じゃん。友達だろ僕等。」
「あ、有難う!!」
僕の勘は凄かったな。
幼馴染に会えただけでなく、そいつが人殺しなんて。
誰を殺したのか、どうしてここまで戻ってきたのか。ききたいことは山ほどある。
こんなことを考える時点で他人事に思っているな、と感じる。
でも、自分の家に殺人鬼が来るなんて興奮する。
親には・・・、適当に説明すればいいか。
「じゃ、こっち。この間引っ越したから。」
僕は拓也を引っ張っていく。
いきなりの状況に少しは戸惑ったが、僕は楽しみだ。
親か、高校の教師か。はたまた同級生か。
一体誰を殺したのか。
僕と拓也は、闇の中を静かに歩いた。
- Re: 偽善者天国 ( No.2 )
- 日時: 2011/07/03 20:16
- 名前: 水名月 (ID: .057oP6P)
1*僕は偽善者です*
「ただいまっ」
大きな声を出して家に入る。
靴を脱いで綺麗に揃え、こっち、と拓也に手招きをする。
靴を脱いだ拓也はそのまま靴を持ち、そーっと足音を立てないように歩く。
僕の部屋が一階だから幸い助かったが、油断はできない。
たまに自分の部屋に姉がいることがある。
その姉は一応拓也のことを知っているから、「あれ、拓也君?」で終わると思う。
でも、もしテレビに拓也が出たら・・・。設定的には面白いが、すぐに捕まっちゃつまらない。
こいつは、僕の部屋で「飼う」んだから。
「純ちゃん?入らないの?」
「っあぁ。」
僕は扉の持ち手に手をかける。
静かにガチャリと音が鳴り、キィーと音を立てて開いた。
中には誰もいない。母も姉も上にいるのだろう。
父は確か、出張と言っていたはずだ。
「大丈夫、誰もいないよ。」
「よかったぁー。」
正直、少し残念だった。
ここで姉と拓也が出会ってしまい、ニュースで拓也が殺人犯と知る。
そして、逃走・・・。エンドレス追いかけっこ、
ちょっとみたかった・・・。
「晩御飯持ってくるから、この部屋にいて。
足音がしたらベッドの下に隠れてね。僕は、入る前に3回ノックするから。」
「わ、わかった。」
僕は部屋を出ようとする。
「純ちゃんっ!」
「・・・?何?」
「有難うね。」
僕は笑みを作り、扉を閉めた。
やっぱり面白い、あいつは。
僕がちょっとした計算で連れてきたのに、「有難うね。」なんて。
別に、僕は友達を利用しようとか、そんなんで連れてきた訳じゃないけど。
あの場で置いて来たら、僕が悪い人みたいだし。
「母さーん。晩御飯部屋で食べたいんだけどー。」
「もうできてるから取りに来てー。」
僕は階段を上り、晩御飯を受け取る。
下に下りて、扉を3回ノックしてから入った。
自分で言ったことをいきなり守らないというのはさすがに理不尽だ。
「今日の晩御飯はコロッケと味噌汁でーす。」
「本当っ!僕」
「コロッケ、すきだったよな。」
僕はコロッケを箸で半分に分ける。味噌汁も持ってきたお椀に分けて、ご飯は味噌汁の中に投入する。
「あ、これ結構好きだわ(笑)」
拓也は味噌汁を飲む。僕も「頂きます」と言ってから味噌汁を飲んだ。
「美味しい。やっぱ、純ちゃんのお母さんのご飯は美味しいね。」
「そうかぁ?僕は毎回食べてるからなー。」
そう言いながらテレビを点ける。
まだ、拓也のことは放送されないようだ。どのニュース番組も、明るい内容のものだ。
世の中では人が死んでいるのに、どうして楽しいものしかピックアップしないんだ?
明るいニュースなんて、暗いニュースより断然少ないのに。
「僕のこと、まだ流れないな・・・。」
拓也は安心したような、少し悲しいような声を出す。
「このまま、流れなくていい。拓也は、ここにいればいいよ。
明日くらいに、親にも言うから。」
僕は良い人のフリをする。拓也は目に涙を浮かべた。
でも、誰を殺してしまったんだろう。本当に、それだけが胸につっかえているような。
まあ、関係ないんだけどね。「他人」だから。
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