ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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僕は今から人生を賭けた八つ当たりをする
日時: 2011/07/05 01:04
名前: 秋名 (ID: 6V.kj4ii)

どこにもぶつけられないうらみってありますよね?

どこにもぶつけられないなら

あなたはそれをどこにぶつけますか?

自分ですか?

他人ですか?

それとも人外?

その消化方法の一つがこのお話しです

自分が正義とおもってることが本当に正義なのか

正義は貫くものだというなら

貫けばすべて正義なのか

正義と正義がぶつかる時、それはそれは残酷なことが起きる

そう思って、書いてみようと思いました

正義って何なのだろう?

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黒猫は銃をもって全てを打ち殺す ( No.2 )
日時: 2011/07/05 21:46
名前: 秋名 (ID: 6V.kj4ii)

「本当に、いいんですね」

「かまわないです」

「後悔は?」



「し て ま せ ん 。 」

                         ・・・・・・
「…そうですか。ではこちらで承りましょう。もうすぐ雨がふりますよ。そろそろお帰りになられては?」

「…?……そうですか。雨、ですか?」

「ええ。うちではこれを雨というんです。すいません、これはあなたがたにはわからない言葉ですよね。うっかりしてましたよ」

「業界用語ってやつですか?」

「かっこよくいえば…そうなりますね。日本の法律では裁かれない者たちを裁き、被害者のために戦う…それが本当にかっこいいかというのは自分でも疑問ですね。私がいってはいけない気がしますが。」

「私もあなたが言ってはいけないと思いますよ。私のように、あなた方を頼ってくる人もいるのですから、そんな弱気なこといってたらいつか
…」

女が言いかけたその時、
雨は降った

「ただいまぁー!!!」「つっかれたぁーっ。なんだよ今回の仕事!いい加減な情報だけでいかすなっての!」「…のど乾いた」「いっいまお茶をっ…」「おーわりぃ、わりぃ!」


男は言う

「ほらほら、早くお帰りにならないから雨が降ってきましたよ」

「あの…雨って…」

男は少し微笑みながら、どこか嬉しそうに爽やかにニィッと嗤いながら
言う

「うちで雇ってるやつらが帰ってくることですよ。

ここでする犯罪者もどきの裁きはすべて彼らがやってくれ
るんです。

でも彼らは決して被害者の前へとあらわれてはいけないんです。

もし、『やっぱりあの時恨んだやつを殺さなければよかった。自首してすべて話してあの時の殺し屋のこともすべてすべて警察に言おう』

なんておもっちゃって
顔がばれてるから、すぐ捕まえられる、なんてことになったら大変ですからね。」

「…では…あなたはいいんですか、顔ばれちゃってますよ?」

「ん?僕ですか?僕はいいんですよ。きっと探しても見つからないでしょうしね。」

「ずいぶんな自信ですね」

「かくれんぼは負けたことないですから

それに

僕はそもそもいろいろやって捕まらないように日々対策してますからね」

「…」

「お帰りになってください。そろそろ本当の雨がふりだしそうですよ」

黒猫は銃をもって全てを打ち殺す ( No.3 )
日時: 2011/07/08 22:08
名前: 秋名 (ID: 6V.kj4ii)

2011年4月

午後4時 県立丘白高校 2−4組

部活のある生徒はそれぞれの部活へ
部活のない生徒はそれぞれの家、またはそれぞれの居場所へ

それぞれがそれぞれのところへ帰るこの時間

秋庭 時雨

また彼もそれぞれの一つであり、帰る支度をしていた
机の上にある本、本、本。

今日中に読んでしまいたいと思う…とはいえ、さすがにこれだけの量を持って帰ることは彼には無理だった

時雨は本を読むことが何よりも好きだ

本が好きといっても

特に好きなジャンルがあるというわけではなく

ただ「本」というものがすきだった

この作者の考えがいかにしてこの300ページほどに収まるのか
この本の紙はどうやってできたのか
この本にどれだけの人が関わったのか

不思議だった

不思議で不思議でしかたなかった

自分の不思議と思う心さえ不思議だった

「これだけの本…持って帰れない…鞄はいらねぇよ…手でもってかえるか…」


手がもげるかと思うぐらいの量である

ていうか、そもそも俺、これだけの量1日でよめるのか?

無理だろうなぁ

だからといっておいて帰れないんだよなぁ

なぜならば

明日から

    ・・・
    夏休みだ



夏休みにはたくさん本読みたいしな

今日ぐらいはがまんして運ばなくちゃだな

どうせ学校から家までは5分

持って帰れる可能性は99パーセントだ!








ようやく、最近になって蝉が鳴き始めた

暑くなってきた証拠である

耳からは夏の訪れがうるさいほどにわかる

そして、

流れる汗がほほをつたう

いや、別に泣いてるわけじゃあないんだけどさ

じっとりとして

背中が気持ち悪い

汗が全身から吹き出ているのは

見てもわかるし

体でもじゅうぶんわかる

夏だ

どうしようもなく、夏である

暑く、逃げ場のない夏である

この夏から逃げられたら幸せだな
逃げたもの勝ちかもしれないが
そんなレースあるなら初めから参加していたよ

だれかレースつくってくれないかなぁ…

そんなことを考えながえら僕は家までのこり2分30秒、折り返し地点であるポストの脇を通過した

ここで僕は人生最大の失敗をする

とりかえしがつかない、失敗である

失敗で失意である

意欲が失われる

拾う意欲さえなかったのだ

暑すぎて。
暑すぎて拾う気にもなれなかった

だから失敗した






ゴロっ






本を両手いっぱいに持って、鞄が肩にくいこんでいくことを感じながら
歩いていた僕の胸のポケットから

ボールペンが落ちたのだ

ゴロっと音を立ててその場に落ちた僕のペンは
そのまま転がり、転がり、転がって

2メートル先の近所の人の家の塀にあたった

「あああああっ  おちちゃったよ…どうすっかなぁ…
このまま取りに行くって言っても、本一回おかなきゃいけないよな」

どうせここ折り返し地点だよな

時間的に。

————だったら一回帰ってもう一回とりにくるか

————どうせだれもこのぺンを取ったりしねぇだろw

そんな安易な考えでよかったのかっていえば怪しいってか
完全に間違えだったのだけれども

だから僕は失敗したのだけれども

僕は走れる限り走った

そしてまた、そこへ、ペンを落としたそこへ帰ってくることができた

しかし

ペンは




————あったのだけれども




ペンは

ちょっと違った形

黒猫に銜えられるという形でそこに存在した

「…くわれちまったかぁ…猫、返せよ。いや、返させてもらうけどな」

その刹那

猫はボールペンを銜えたまま走り出した

というか

飛んだ

本当に

飛んだ

猫って飛ぶんだっけ?あれ?猫は…はねるっていうほうがしっくりきそうなんだけどなぁ

でも

飛んだ

鳥のように

飛んでいた

あまりにシュールすぎて僕の頭はついていかなかった

「…………………とんだああああああああああああ!?」

さけんじゃったよ

とりあえず叫んどこうと思ったんだよ

何かあったって周りもだけど
自分にわかるように

ただ

それだけ

そして

僕は

その猫を追いかけてしまった

それが失敗

いや、成功かもしれないが

失敗だったな

失敗だと思う

追いかけて僕はここからボールペンのように落ちていく

Re: 僕は今から人生を賭けた八つ当たりをする ( No.4 )
日時: 2011/07/09 11:53
名前: 咲☆ (ID: aRobt7JA)

タイトルに惹かれてやってきました!!!
不思議な話ですね・・・

続きも頑張ってください!!!

ありがとうございます ( No.5 )
日時: 2011/07/10 20:11
名前: 秋名 (ID: 6V.kj4ii)

>咲☆様

ありがとうございます。
更新が遅いかも知れませんが
最後まで読んでいただいたら幸いです。

黒猫は銃をもって全てを打ち殺す ( No.6 )
日時: 2011/07/16 13:46
名前: 秋名 (ID: 6V.kj4ii)

夏休み直前の猛暑の中

汗はもうほほをつたうことのなく

僕を流れることも少なく

風に乗って離れていった

とにかく僕は走っていた

追いかけるのに必死だったのである

——————————猫。

黒猫。

このくそ暑い中、
なんでこんなくそ暑そうな猫を追いかけているんだ、僕は?

……理由

そうだ。そうだそうだそうだそうだ

  ・・・・・・・・・・・・
僕はボールペンを返してもらうために走っているのだ

…それだけだったかな

なにか違う気がする
これが運命のような
しなければならんような
そんな気が。

————————考えすぎ?

違うかな

でも

今考えることではないな

今更考えてもしょうがない

とにかく今は

走りに走った


しかし


あっというまであった

あっという間に

僕はその猫を


み う し な う

というか、

蒸発したっていうのが

しっくりきた


そのままだ


飛んでいた猫は

空ですうっと消えた

まるで、蒸発するかのように

白いもやになりながら

消えた

「……?」

蒸発………………?した…………?

あああああああああああっ

なんでなんでなんでぇ………

どうなってどうなってるんだ!?

嘘…だろ…


夢でもみてるのか

それとも・・・

それとも—


わかっていた

これは

もう一方の答えであることなど

その猫が消えた真下には

一軒のラーメン屋。

しかし何年も使われてないようだ

営業ももちろんしてない

ただ

その店のドアが少しばかりあいていた

僕はきになって様子をうかがいながらのぞいてみる

古いくろっぽい、すこし腐っている木の引き戸の向こうには

先ほど見た、あの、
黒い猫が

黄色い目を凛としてこちらにむけ

僕を睨みつけていた


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