ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 母親は、何処?
- 日時: 2011/07/12 20:19
- 名前: 涼 ◆703fA5c/sc (ID: dD19om2o)
初めまして涼と言います、
よろしくお願いしますね!
小説は文章が非常に下手で描写が、
非常に大苦手です(テストに出るよ笑
— 注意事項|目次 —
・シリアス、ダーク、猟奇的、狂気的、死…等の描写が出ます。
・荒らしや宣伝等、一切お断りします。
・事項を見ずの苦情は受け付けません。
・皆さん、マナーを守ってくださいね。
それでは、どうぞ……
.
Page:1
- Re: 母親は、何処? ( No.1 )
- 日時: 2011/07/09 18:53
- 名前: 涼 ◆703fA5c/sc (ID: cX9VSRxU)
#プロローグ
母親は何処にいるの……
母親は何処にいるの……
憎い憎い大人の女性……
子供を産んだ女性……
母親が、大嫌いだ……
あんな奴等、死んでしまえ……
全て全て……
子供たちの為……
大嫌い、許さない、苦しいよ、痛いよ……
母親なんか、この世に要らない……
だから、
母親は何処?
.
- Re: 母親は、何処? ( No.2 )
- 日時: 2011/07/09 19:54
- 名前: 涼 ◆703fA5c/sc (ID: cX9VSRxU)
#登場人物
深山 夕衣 ( みやま ゆい ) ♀
明るく芯の強い心優しい性格でインドア派である、
髪形は横結びで黒い紐で結んでいる。
刑事で新米でもある、先輩で理解者は兄の尚彦。
母親を何者かに殺された過去を持つ。20歳。
深山 尚彦 ( みやま なおひこ ) ♂
夕衣の兄でともに職業が刑事という兄妹刑事。
冷静沈着、しっかり者で無愛想。22歳。
小さいころ、母親を殺された時に左目を失明した為、
隠す為、髪形は左目を隠し、後ろで白い紐で束ねている。
——
春山 美歌 ( はるやま みか ) ♀
この事件の鍵を握る非常に重要な16歳の女の子。
常に白いワンピースを着ており、謎の雰囲気を持つ。
愛用品は鋏。常に二人の目の前でしか現れない。
.
- Re: 母親は、何処? ( No.3 )
- 日時: 2011/07/10 20:00
- 名前: 涼 ◆703fA5c/sc (ID: vzjvor/5)
#01
月がとても明るく輝いている夏の晩だった。
猛暑の所為で昼間は暑く夜もまた暑いところだ。
俺たちはクーラーの利いた部屋でのんびりと過ごしていた。
俺たちの両親は他界しており、今は二人暮らしだった。
理由は今、話したくない。
そして俺たちは職業柄、近所の人たちから好奇な目で見られてる。
誰しもが、一度は憧れるか面白がる職業………刑事だ。
言っておくけど、ドラマみたいな刑事が絶対に有り得ねぇからな。
あんなの庶民の理想の刑事だろ。
俺たち、刑事は実際は地味な仕事なんだよ、うんざりするぜ。
全く馬鹿な市民がいやがる———— それにテレビもそうだ。
とにかく俺たちは共に刑事だった。
刑事をしてる理由は俺たちの両親に関係している。
そして妹の夕衣が今日も上達した料理が完成して振舞う時間だ。
「お兄ちゃん、出来たよ」
「おっ、さんきゅ」
今日の晩御飯はカレーとオニオンスープ、デザートはマドレーヌ。
飲み物は俺らの大好物、抹茶だ。マジ美味そうだ。
スプーンでカレーを掬い、口に押し込む。
スパイスの利いたカレールー、やっぱ〝バーモ○ド〟だよな、ルーは。
黙々と食べ続ける俺に夕衣はテレビを点けた。
—— 何の番組を見るつもりなんだろう?
等と思いつつも、俺はコップを取り抹茶を口に流し込んだ。美味。
テレビが最初に映したのはニュースだった。
なんか、事件でも放送されないかな、なるべく東京ので、よろしく。
………て、願う俺は最悪だな、事件が起きるのは、お断りだ。
世の中は平和が一番ってわけよ。
そうしてるうちに、アナウンサーが無表情で告げた。
「今日、○○路上で殺された主婦の遺体が発見されました……」
さっそく殺人事件がニュースで告げられた。
俺たちは急いでカレーを口の中に押し込んで食べ終えた。
もうすぐ上司から電話が来るだろう。
今すぐ事件現場に来い、という急ぎの事件のことを説明されてね。
—— ピルル
携帯が鳴った。そら見ろ。
夕衣が携帯に出たら、上司だった。良い上司だから文句ねぇけど。
すぐさまスーツに着替えて家を飛び出して車に乗り込んだ。
俺たちは兄妹刑事。二人で協力して一人前……だろうな。
とにかく今は急いで事件現場に向かっていろいろと調べねばならない。
嗚呼、せっかくの休日が台無しになった。と俺は密かに落胆した。
○
殺された被害者は腹部に鋭利な刃物で一突きされたというらしい。
被害者の身元は簡単に割れた、平凡な子供のいる主婦だった。
まだ6歳の男の子を残して死んでしまった。
————— あのころの出来事が脳裏に浮かんだ。
顔を歪める俺に夕衣が傍で耳打ち、大丈夫?と俺は大丈夫と答えた。
事件現場は主婦の近所だった所為で現場に遺族がいた。
子供は大泣き、父親はただ子供を抱きかかえながら、茫然としていた。
近所の人たちの憐れんだ視線が、遺族と被害者に向けられる。
「深山兄妹っ!」
俺たちを呼んだのは、上司……鷹田順三(たかだ じゅんぞう)だった。
あいつは特に今時珍しい部下思いの正義感なおっさんだ。
絶滅危惧種に指定されてる、昔ながらの刑事。
俺はそんな上司を、誇りに思う時もある。
普段はなんというか、昔ながらの刑事すぎて少し敬遠するが。
「被害者は大田美帆子、25歳。今のところ、恨まれる人物はナシだ」
「そうですか、もしかしたら、いるかも知れませんね」
「鷹田警部!鑑識の人が指紋が見当たらないとのこと」
夕衣の言葉に警部は『拭き取ったか、手袋をしたんだろう』と言う。
それにしても、本当に被害者の苦痛に満ちた顔は悲しい。
子供もいて普通の家庭だっただろうに。
突然それが何者かに奪われた。被害者が浮かばれないな。
残された遺族だってこれから苦しむ羽目になるんだ。
そんなの、悲しすぎる。
胸がズキンと痛んだ、遣り切れなさが胸に洞のように響いた。
そこへ、現場から少し離れた電柱から、白いワンピースを着た、
女子高校生くらいの年齢の少女が俺たちのほうをじっと見ている。
夕衣も気付いたらしく、二人で顔を見合わせた。
もう一度、電柱のほうを見たが、そこには誰もいなかった。
○
母親は何処なの……
母親は何処なの……
不気味な歌声にも間違えそうな女の声が聞こえる。
酷く悲しげに響く声に、俺は暗闇のなかでピタリと止まった。
何故ここにいるのか、それよりも声が気になったのだ。
気付けば隣に不安そうな顔をした夕衣もいる。
そうしている内に、声はだんだん大きくなっていく。
怖くなった俺は急いで妹の手を握ったが、……誰もいなかった。
「夕衣っ!?」
辺りを見回すが夕衣は何処にもいなかった。そんなのウソだ。
隣にたしかに夕衣がいたはずなのに………隣にいない。
嘘だ。嘘だ。嘘だ。嘘、嘘、嘘に決まってるっ!
「夕衣っ……!」
暗闇のなか、俺はただ夕衣の名前をずっと、ずっと叫び続けていた。
俺の悲痛に満ちた声は——— 暗闇に静かに消されてゆく。
夕衣にもう一度、逢いたい。
夕衣の肉親は俺だけになったんだから。
お願いだから、お願いだから、こんな悪夢は覚めろっ!
「…………うわああっ!?…………何だ、夢かっ」
そうか、事件現場から警察署に戻った後、運良く早く帰ったんだった。
今日はある程度の事件の後始末をするだけで良かったもんな……
自分の部屋で良かった。夕衣に知られたら面倒になる。
ベットから足を下ろす。
嫌な夢だった。何で俺が暗闇に居なきゃいけねーんだよ。
というか………。
——— あの声はいったい、何だったんだろう?
母親は何処、と繰り返し呟いていた、女の声。
誰なのか、心当たりは全くない。
奇妙な夢だった。とだけしか考えず、俺は再び眠りについた。
.
- Re: 母親は、何処? ( No.4 )
- 日時: 2011/07/12 21:04
- 名前: 涼 ◆703fA5c/sc (ID: dD19om2o)
#02
篠突く雨の晩だった。
傘を差して早歩きする、わたしは急いでいた。
一人娘の真奈美が寂しい思いをしているだろう。
わたしたちは母子家庭なのだ。
夫の浮気が原因であたしたちは離婚したのだ。
慰謝料は夫はろくに払いもしなかった。
だから、わたしが夜遅く働く羽目になったのだ。
「はあ……」
雨が酷くて前が見え辛い。靴が随分前にずぶ濡れで気持ち悪かった。
仰向けしたら、雨の滴が滴り落ちてきて、わたしの顔を濡らした。
「とにかく、早く帰らなきゃ……」
速めていた足を更に速くする。曲がり角のほうに——人影が見えた。
女子高校生くらいの少女がこんな雨なのに傘を差さず。
じっと……こちらを見つめていた。
怖い。と感じた時にはもう、目の前に少女はいなかった。
何だ、ただの見間違いだった。と安堵した瞬間。
胸に猛烈な激痛が走った。
余りの痛さにその場で屈み込む。
傘が体の一部を濡らそうとも、かまってらない。
痛みの元の、胸に手を当てたら……紅く染まった自分の手があった。
電柱の蛍光灯の青白い光に照らされた、自分の紅い血。
何で、と呟く前に目前の視界が何かに遮られた。
見上げたら、目の前に微笑む、先程の少女。
口を手に当てクスクスと笑っている、同じく手が血で染まっていた。
少女の唇が、わたしの血で染められ、魅力的な口紅だと思えた。
「母親が死んだわ、……次はだあれ?」
少女が呟いた後、電柱の曲がり角から消え去った。
激痛に蹲る、わたし。
「………ッ!!」
——— 何で、わたしが殺されなきゃいけないの?
急に涙が溢れ出てきた。自分にはまだ子供がいるのに。
あの子が夫に……引き取られるだなんて嫌だ。
最悪の場合、引き取っても貰えないかもしれない。
あの子はまだ5歳なのに。
何で何で何で何で?
疑問が頭が消えることはなかった………意識は夜の闇に消えた。
○
今度もまた事件が起こった、これで三度目だ。
遂にマスコミも大騒ぎし始めた。
この事件の呼び名が〝主婦連続無差別殺人事件〟だと。
警察は犯人の目星すら、見つけれなかった。
何しろ指紋が採取できず、何一つ証拠品が出てこないのだ。
難儀な事件になりやがった。
俺は署内の自動販売機に、缶コーヒーを一口、飲んだ。
何故、主婦ばかり殺されるのだろう。
そもそも、……彼女等には何の接点もないのだ。
場所も現場も全てバラバラ、遠かったり、近かったり一定せず、だ。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
隣に夕衣が座った。夕衣は炭酸ジュースを買ったようだ。
いつまでもガキだな、こいつは。
「本当に酷い事件だよっ……何でなんだろう」
「さあな」
俺らがどんなに頑張ろうが、犯人は嘲笑うかのように繰り返す。
先日の悪夢といい、事件現場の謎の少女といい……。
さっぱり理解できない、事件だ。
もしかしたら、お宮入りになるかもしれないな。
つまり、未解決だってこと。
「お宮入りなんか、させないっ」
「ああ、……全くだ」
何故か、俺好みの缶コーヒーが苦く感じた。
「さあ、それじゃ……まずは」
「聞き込みだね」
「正解」
俺たちは署を出て車に乗り込んだ。愛用の黒い車。
刑事ですって感じだよな。まあ、パトカーだと目立つし。
まずは事件現場の近所でも、聞き込みするか。
車を走らせた、給料を貯めて買った新車は乗り心地が最高だった。
○
事件の天気は大雨だった為、証拠品は洗い流されてるだろう。
実際に現場は血痕の後はほとんどなかった。
この事件は難航する。
遺族は浮かばれないだろうが、難航するに違いない。
俺たちは近所の人に聞き込みをしたが、……無駄だった。
雨の為、窓を閉め切った人が大勢で目撃者が一人もなかったのだ。
俺たちが近所の公園のベンチで腰掛けていると。
木の陰に—— 人影を見つけた。
それは、最初の事件の現場にいた、あの少女だった。
じっと俺たちを見つめている。
その顔は無表情で何の温度も感じなかった。
「おい……」
と立ち上がった。夕衣も立ち上がる。
少女は一瞥した後、何処かへ消え去ってしまった。
後を追って木のところまで来たが………誰もいなかった。
人影すらない。俺たちは、唖然とその場を立ち竦んだ。
さわさわ。と葉が風で揺れる。
あの少女はいったい、誰なんだ?
最初の疑問が—— 脳裏に浮かび上がった。
.
- Re: 母親は、何処? ( No.5 )
- 日時: 2011/07/14 16:37
- 名前: 涼 ◆703fA5c/sc (ID: 5kx3QSMp)
#03
謎の少女のことが頭から離れられなかった、夕衣もそのようだ。
あの後も、現場近くの近所でいろいろと聞き込みをし続けた。
成果はナシ。あるとすれば半日歩いた為、へとへとに疲れただけだ。
疲れた体を引きずりながらマンションに帰宅した。
すぐさま自室のベットにダイブ。
疲れで起き上がる気力はない、風呂に入らず、このまま寝てしまおう。
昼間の怪奇も、数日前の悪夢も、今回の事件も全て忘れよう。
今は。というところで眠りに身を沈めようとしたころ。
——— リビングから妹の悲鳴が聞こえた。
「夕衣っ!」
俺はすぐさま、妹のいるリビングに飛び込んだ。床に座り込んだ夕衣。
指を差す方向に視線を遣ると—— 昼間の少女が、そこにいた。
白いワンピースが良く似合う美少女だったことが今、分かった。
今は……関係ないことだ。
少女の手には、………赤黒く染まった鋏を持っていた。
異常な光景で立ち竦んだ俺を見て、少女は突然クスクスと笑い出した。
一人だけ笑う空間は、重苦しく息がまともに出来ないくらいに苦しい。
「…………誰だ」
やっと言葉に出来た言葉が、これだけだった。
少女は鋏の刃を己の色白く細い指先で何度も撫でる。
そして俺のたちのほうを、じっと一瞥して。
「さあ、誰なのかしらね?」
「あ…あんたなんか、すぐに調べれるっ!今すぐ出て行って!不法侵入罪に捕らわれるわよっ!………今すぐ出て行ていきなさい!」
夕衣がヒステリックに叫んだ。床を這いずる姿で説得力が全く皆無。
少女は冷たく夕衣を一瞥して、再び俺に視線を戻した。
「———お前が今回一連の事件の犯人か」
「ご名答。妹さんとは出来が違うようね」
「黙れ」
「まあ、酷い。……女の子は優しくしないとダメなのよ?」
少女の言った言葉、それは—— 昔、母さんが言った言葉だった。
不意なのか偶然かは分からないが、たしかに母さんの言葉だ。
小さいころ、まだ母さんが生きていて俺が良く夕衣を苛めてたころ。
ずっと幼くてガキだった俺に母さんが諭した言葉。
「——あなたのお母様が良く言ってた言葉でしょう?すっかり成長したようね」
くすっと笑った少女。赤黒い刃を無意識に撫でていたのだろう。
初めて、ぴたりと刃を撫でることを止めた。
そして少女は掌に、片方の刃を握り締めて叫んだ。
「何であんたたちは何にも分からないのかしら!この鋏を見て何とも思わないわけ!?………そうよ、今回の一連の犯人は全てこのあたしよっ!名前は良く考えて調べることね!ちなみにあんたたちの母親を殺したのも、—— あたしよっ!まだ高校生のころにあたしが殺してやったのよ!殺したとき。あんなマヌケな死に方をした——あんたらのお母様はね」
急に平生な口調に戻る。乱暴な言葉遣いは——多少あるが。
さらり、と腰まである長いストレートの黒髪を振り払った。
鋏をシャキンッと刃を閉める。
白いワンピースに良く似合う黒髪が、ゆらり、と風もなく揺れた。
「本当にマヌケな死に様だったわ。……思わず笑っちゃうくらいにね」
ぐらり、と少女の姿が霞みに歪んでおぼろげに揺らめいた。
………辺りに白い霧が立ち込めるような。
どんどんと少女の体に巻きつく、霧で少女の姿が見え辛くなる。
辺りは完全に白い霧で少女の姿が見えなくなったころ、こう言った。
「あんたらの母親が死んだのは——— 自業自得よ」
それっきり、少女の姿と声は聞こえなく見えなくいつもの部屋だった。
俺たちは余りの出来事にただ、立ち竦んだ—— 夕衣は目に涙を溜めて。
○
気付いたころ、俺は目覚めた。すぐさま飛び起きれば——部屋だった。
たしか、リビングに俺たちは、いたはずだ……あれは夢だったのか?
妙に気だるい気分のまま、俺は部屋を出た。
ふらふら、としてて何だが気持ち悪い、可笑しいな。
リビングに入ったら、ソファーでぐったりとしている夕衣と目線が合った。
夕衣はみるみる、見つめてる内に目が涙で溢れて零れ出した。
顔はくしゃんと歪んで。鼻をすすった後。
「お……お兄ちゃんっ!」
悲痛な声が尖った刃のように胸に突き刺さった。
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