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 *水蓮華*
日時: 2011/07/10 20:14
名前: 水湖 (ID: Nkq2fJCI)


 君の首を絞める遊迷を見た
遙か古の夢を見た 遊迷に溺れた


 あの頃の私はまだ幼くて
触れたら壊れてしまいそうなほどに脆くて
知らない内に消えてしまいそうなほどに危なくて
今にも倒れてしまいそうなほどに揺れていて
抱えきれないほどのものを抱えていて

抱えていたものは何時の間になくしてしまった


* * * * *
主人公:宵彌影 カガミ
性別 :女
輪廻転生して同じ世界に前世の記憶を持って生まれてきた。

* * * * *

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Re:  *水蓮華* ( No.1 )
日時: 2011/07/10 20:44
名前: 水湖 (ID: Nkq2fJCI)

第一話 
* *

あぁ。
たった今。
私の目の前で。
私の手で。
私の、せいで。

世界で一番大切にしていた人間が。
死んでしまった。


「ぃゃ…うあぁあぁぁあああぁああぁぁぁ・・・!!!!」


最期に見えた君の表情が。
まるで、世界を拒絶するような、自嘲するような。
何かを拒んでいる、小さな違和感を感じ取ってしまったような。

そんな微笑を浮かべていたから。
そんな失笑を浮かべていたから。
そんな、そんなにも優しく哀しい笑みを浮かべていたから。

私の中に小さく残っていた僅かな理性が、
ぽたり、と堕ちる涙によって、

壊れた。


狂って。部屋が紅く赤く染まって。
死ぬ間際。

隣の君が。
静かに微笑んで。
私を抱きしめてくれた気がして。

ふっと瞼を閉じて。
せめて、人間らしく。せめて、最期くらいは君と同じく。

微笑って、嘲笑って。
笑って、

死んだ。


(君と一緒に、笑って死ねたんだ。)
(私は世界一の幸せ者で、世界一の不幸者だよ、きっと。)
(だから、さ。そんな世界一からの唯一の願い。)

(来世は、二人で笑い会えますように。)
(これが私、御影の最期。)


* * * * *

「・・・おぎゃああぁぁあぁ!!!うぎゃぁああぁ・・!!」


あれから150年ほどたった。
私、御影は。
前世の記憶と罪を背負って。

宵彌影 鏡という1人の少女として、生まれ変わった。

ものがたりは、はじまった。

(君を忘れる事はできなくて。)
(思い出すのは、君の声と笑いと)
(私を裏切った君を、)
(泣き出しそうな瞳で見つめて)
(君を殺してしまった私。)

Re:  *水蓮華* ( No.2 )
日時: 2011/07/10 21:11
名前: 水湖 (ID: Nkq2fJCI)

第二話
* *

「・・・私の名前は、宵彌影鏡。」


生まれ変わってから、14年たって。
世間で言う子供、から。
所謂大人、と言う存在になってきた。

私が生まれたのは、150年後の日本。
ただし、裏社会という不安定な立場。


毎日夢で見る君は。
私が貴方の裏切りを見て殺してしまった事を知らなくて。
二人で笑い会うことの出来た時間の。
そんな一部を切り取ったような君。

何も知らない君に。
臆病な私は何もいえなくて。
ただ、ただ笑い返すのみ。


「鏡、おはよう。・・・具合が悪そうだね、大丈夫?」
「おはよう、平気。少し寝不足だからあと少し寝る。」
「そう?じゃあ、おやすみ。よい夢を。」


鏡、としての私の父親、柚有。
裏社会の人間らしくも無い、優しさに満ち溢れた・・・人間。

だから正直言ってこの人は、
気持ちが悪いと思ってしまう。

別に、人間が嫌いなわけではない。
ただ。
偽善者ぶっている、その顔が。
気持ち悪いなぁ、と思えてしまう。


君の裏切りで。
生まれ変わった後の人たちの態度や言動で。

所詮は人間なんて。
全員、嘘吐きで。
全てが、偽善で。
欲望の塊でしかなく。

信じてはいけない、信じたら裏切られると言うことがわかったんだよ。


人間は死ぬ時以外は笑ってはいけない。笑っている人間は、偽善者だ。

そんな風に思ってしまう私、御影。
いや、私、鏡は・・・


正しいですか?
間違っていますか?


(答えは見つからなくて)
(探し回って見つかったのは)
(水に浮かぶ睡蓮の様に穏やかで)
(蓮華のように儚く美しい)
(水蓮華の君の笑顔でした。)

(その笑顔がまぶしくて)
(顔をそらしてしまう私)

(哀しく儚い 泡淡の様・・・)


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