ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 現実の国の白うさぎ
- 日時: 2011/07/13 15:26
- 名前: 箕椰苧★ (ID: AyMnBqmb)
『次は、あなたが鬼よ』
まるで天使のようなやわらかくて、かわいらしい声が響き渡る
『……』
その声を黙って聞いていた…白うさぎは、
とても悲しそうな目で目の前の少女を見る
『大丈夫よ!でも私を捕まえるかどうかはあなた次第よ?』
『…本当にいいのかぃ?……壊れてしまうかもしれないんだよ?』
『いいわ!きっと大丈夫よ…大丈夫…』
『……わかった、そこまで言うのなら
今度は、僕が鬼だ』
『ありがとうっ!!』
そう言うと少女は、急いで井戸に向かった
それを背後で見ていた白うさぎが最後の言葉を発した
『…………さよなら、アリス』
だけどその言葉は、少女…アリスの耳に届かなかった
アリスは、勢いよく井戸に飛び込み
下へ下へと落ちていった…
Page:1
- Re: 現実の国の白うさぎ ( No.1 )
- 日時: 2011/07/13 16:06
- 名前: 箕椰苧★ (ID: yAL.k7HO)
(・ω⊂|<1話〕
『アリス、早く逃げて』
『白うさぎが君を捕まえにくる』
『さぁ、アリスもっと遠くにお逃げっ!』
「……っ!?」
目を開けるとそこは、私の部屋だった…
またあの夢……最近は、毎日見る私の悪夢
「う…気分…悪…」
あの夢を見た後は、かならず体調を崩す
夢に出てくるのは、深い闇ばかりだ
声は聞こえるんだけれど、誰がしゃべっているのかわからない
でも懸命に私を…逃がそうとしている
白うさぎから……なんか幼稚な夢だよね…
白うさぎから逃げる夢なんて…
この頃テストばっかだったからきっとストレスがたまっていて
こんな夢を見ているんだろう…
「亜里栖、(アリス)起きてる?」
「あっ、…おばさん?起きてるよ!」
急いで布団から出る
[ガチャ]
「おはよう、亜里栖今日も私たち仕事で深夜まで
帰ってこれないけど大丈夫よね?」
「う…ん、心配しないで!それよりおばさん達最近
帰ってくるの遅くなってきてるよね…体調は
大丈夫…?」
「えぇ、大丈夫よ。じゃあ行って来るわね」
「行ってらっしゃい」
精一杯の笑顔で見送る私…
仕方ないよね…
お母さんとお父さんは、5年前自殺してもういない
かわりに私を育ててくれているのが親戚のおばさんとおじさん
この家に居させてくれるだけでも感謝しなくっちゃ!
[ピンポーン]
「…?おばさんかな、忘れ物でも…
自分で開けたらいいのに」
まぁ、おばさん面倒くさがりだしね
開けてあげよ
私は、玄関に向かった
「おばさん、忘れ物でもした…の…って、え?」
玄関のドアの向こうには、おばさんが立っていると思ってたのに
ドアにうつっているシルエットは、あきらかにおばさんじゃない
子供の背丈ぐらいの…でもそれにしてはやけに小さいシルエット…
「猫か何かかな?」
きっとジャンプでもしてインターホンを押しちゃったんだろう
部屋に戻ろ…
[ピンポーン]
「もう、また?」
[コンコン]
「…!?」
いくら猫でもこんな正確なノックは、叩けない…
だとしたら何?犬…?猿…?
そうだ、モニターで確認してみよう
こんな小ささでもなんとかうつるはず!
急いでモニターを見てみると
白い…耳…?動物のだよね?
長くて白い耳といえばうさぎ…だよね
なんでこんな所に…うさぎなんて
誰かのペットとか?
じゃあ、早く届けてあげないとね
私が、ドアに手を伸ばしたとき
一瞬声が聞こえた気がした
『逃げて』
…?どっかで聞いたことのある声…
あぁ、夢で出てきた声のひとつだ
ついに幻聴まで…
『逃げて、殺される』
うるさいよ…いい加減にして…
『逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げてっ!!』
なっ…もうこれ幻聴ってレベルじゃあないっ
私頭おかしくなっちゃったの!?
頭の中がんがんして割れそうっ
[バキッ]
「…え?」
ドアの方向に向き直ると…ってドアが…あれ…
ドアが粉々に砕けて地面に散らばっていた
そしてそこに立っていた白うさぎが
ニィと口を歪ませ笑った
「見ぃつけた…」
- Re: 現実の国の白うさぎ ( No.2 )
- 日時: 2011/07/13 17:48
- 名前: 箕椰苧★ (ID: UxRM.rFT)
(・ω⊂|<2話〕
…白いうさぎ…うさぎって笑うの?うさぎって喋るの?
うさぎって服を着るの?私の知っているうさぎとは
まったく違う…でもなんか懐かしいような…
白うさぎは、さっきとは正反対の優しい笑顔を浮かべ
私を見た
「…アリス、随分と待たせてしまったね
もう大丈夫だよ」
「え…?」
「アリス、辛い世界から解放してあげよう
そう約束したからね」
「…約…束?」
ってゆうか、辛い世界って…おばさん達の帰りが遅くても
私は、十分幸せなのに…何を言ってるんだろう
「…私は、幸せよ辛くなんかないわ」
「……?」
白うさぎがキョトンとした顔をする
「…嘘だ」
「嘘じゃないわっ、幸せよ」
「……シアワセ?今も?昔も…?」
「…昔?」
私には、昔の記憶がない
4年前に私は行方不明になり
1年後に井戸で見つかった
そう、両親が自殺した1年後の事だ
あるのは井戸で見つかってからの記憶しかない
「…何が言いたいの」
「幸せ?」
「し…幸せよ!」
「…」
白うさぎの顔がどんどん歪んでいく
…なんか変なこと言った?
「アリス、強がりはいけないよ
さぁもう大丈夫だ
心配しないで、今…君を…助けるから
おいで、アリスやっと見つけた
僕の…アリス」
白うさぎの手にはいつの間にか…チェーンソー!?
「あ…何すっ…」
「アリス、大丈夫だ
約束は、ちゃんと守るよ」
白うさぎが、ニコニコしながらこちらに向かってくる
「やだっ、来ないでっ!」
「怖がらなくても大丈夫、すぐ…済むよ」
「だっ、誰かっいやぁっ!」
私は、急いで2階に駆け込んだ
自分の部屋に入ると鍵をかけて
いろんな家具をドアに押し付けた
「アリスゥ、待ってよぉ」
な…なんなのっ!?私が何したっていうのよっ!!
[ガリガリガリ]
チェーンソーがドアを壊す音がする
早くしないと殺されちゃうっ!!
『逃げて』
混乱しているとまたあの声が聞こえてきた
逃げろって言われたって…2階じゃ…っ
『アリス、あそこに入るんだ』
あそこって…声の方向からするとまさか
衣装ダンス!?あんな狭いところ入るわけな…
[バキバキバキッ]
悩んでいる暇なんてないっ
私は、衣装ダンスに無理やり体を…ってあれ?
簡単に入る…こんなに広かったっけな
[ガァァンッ!!]
音からするとドアが壊れたらしい
うぅっ、おばさんごめんなさいっ
「アリスぅ、次はかくれんぼかぃ?」
……はやくどっか行ってっ
「アリス…やっと見つけたのに…」
白うさぎは、悲しい声でそんな言葉を残し部屋を出て行った様子
「…いなくな…ったの?」
『アリス』
「あ、あの助けて(?)くれてありがとうっ」
『いいんだよ、アリス場所を変えなきゃまた
白うさぎが来るよ』
「そうだね…あなたはどこにいるの?」
『ここだよ』
「ここって…いないじゃない」
『ここは、現実の世界だからね
見えないんだよ不思議の国なら見えるんだけどね』
「不思議の国?」
『さぁ、早く逃げよう白うさぎから』
「あ、うん…」
とりあえず移動した後色々聞けばいいよね…
- Re: 現実の国の白うさぎ ( No.3 )
- 日時: 2011/07/13 18:00
- 名前: 箕椰苧★ (ID: UxRM.rFT)
(・ω⊂|<3話〕
「はぁはぁ…」
私は、近くの公園まで全速力で走った
とりあえず白うさぎはいないみたいだね…
まだお昼なのに公園に誰もいないなんて珍しいな…
そういえばさっき家で散々騒いだのに…
普通なら見に来るはず…たまたまよね?
『アリス、ここでお別れみたいだ』
「えっ?お別れってっ!?」
『現実の世界では、姿は愚か声ももうすぐ限界だ
また夢で会えるよ、白うさぎには十分気おつ…け…』
そこまで言って声が途切れてしまった
聞きたい事沢山あったのに…
夢の中って…?あの白うさぎは?あなたは誰?
私は…何?だめだ、頭が痛い…
[チュィィ−−−ン…]
「!!!」
間違いない、チェーンソーの音だ
「アァァァッァアリス…」
白うさぎっ!!どっ、どうしよう!
そうだ、このトンネルに隠れればっ
私は、トンネルに身を潜んだ
「アリスゥゥゥゥ…早く…見つけないと…」
うぅ、怖い…私は、必死でトンネルの奥へ奥へと進んでいると
頭をトンネルにぶつけてしまった
[ガンッ]
「…っ!!しまっ…」
「…アリス?」
- Re: 現実の国の白うさぎ ( No.4 )
- 日時: 2011/07/14 13:59
- 名前: 箕椰苧★ (ID: UxRM.rFT)
(・ω⊂|<4話〕
「…アリス、そこにいるのかぃ?」
や…やばいやばいやばいぃっ!!
早くトンネルの向こう側に行かなきゃっ!!
「今行くからね、アリス」
「…っ」
チェーンソーの音からして白うさぎがだんだんとこっちに
向かってくるのがわかる
早くっ、早く向こう側にっ…ちょっと待って…
トンネルこんなに長かったっけ!?
出口が一向に見えない…
「アァァァアァァアリス、見つけたぁ…」
「こっ、来ないでっ」
ジリジリと距離を縮んでくる白うさぎ
私は、必死に前に進みやっと出口に出れた
白うさぎは、チェーソーがあるせいで
進んでくるのが遅い
今の内にっ…
……ここどこ?トンネルを抜けたら目の前には、ブランコが
あったはず…でも今目の前にあるのは…ログハウス…?
おとぎ話に出てきそうなかわいい家だ
「アァァァアァァァァアァアァ…」
とっ…とりあえずこの家に隠れよう!!
ドアに手をかけた瞬間すごい勢いで何かが私に絡んできた
「なっ…何っ!?痛っ!!離してっ」
私に絡まってきたのは、赤い薔薇だった
ギリギリと音を立て私に絡む
「やめてっ!離してよ!!」
「…誰かそこにいるの?」
しわがれた声が聞こえてきた
「助けてっ!薔薇がっ…!」
「…おやめ」
その声を聴いた瞬間薔薇がするすると離れていった
そして家から可愛らしいドレスを身にまとった
女の人がでてきた、20代くらいかな…髪の毛は真っ白だけど…
「……誰」
「あ、あのっ追われているんです!助けてください!」
「…まぁまぁ…血が出てるじゃない…いらっしゃい
手当てしてあげますわ」
「あ…ありがとうございます!」
家に入ると薔薇のいい香りがしてきた
そこらじゅうにトランプが散らばっている
「…さぁ、そこにお座りなさい」
「可愛らしいお部屋ですね、なんでこんなにトランプが…」
「…お仕置きしたのよ」
「え?」
女の人の顔が歪んでゆく
「私の言うことを聞かないからっ!!私の言うことを聞かないやつは
許さないっ!!それがこの結果よ!あなたも…聞かないの?」
「えっ!?聞きます聞きます!」
「…じゃあ、さっさとお座りなさい」
「はっ、はい!」
私は、近くにあったハートのいすに座った
「…で、誰に追われているの?」
「あ…変な話ですが、白いうさぎに追い…」
「白うさぎっ!?」
「やっぱり変ですよね、でも本当なんです!」
「いいえっ!!信じるわ!手当てが終わったらさっさと
出て行って頂戴!!」
「え?あの…」
次の瞬間女の人の後ろの窓から2つの長い耳とチェーンソーが…
「見ぃつけた」
[ガッシャァァァァンッ!!]
チェーンソーで思い切り割ったガラスが女の人に突き刺さる
「…っ、アァァァァァッ!!!」
「ひっ…!!大丈夫ですか!?」
急いで女の人に駆け寄る
酷い怪我!!
「うぅ…早く出て行って頂戴!!」
「でっでも、怪我…」
「そんなのいいから出て行けっ!!」
その直後女の人が真っ二つに割れた…
「アリスにそんな言葉遣い…誰がしてもいいと言った?
まったく女王様は、自分勝手なんだから」
「しっ…白うさぎっ…来ないでっ」
「なんで?なんで怖がるの?アリス…あぁ覚えてないんだね
君の記憶を消したのは僕なんだから…」
「!?…どういう事?」
「何も知らなくていい…何も知らないまま楽にしてあげる」
白うさぎがジリジリと迫る
「さぁ、アリス…こんな世界捨ててしまおう」
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