ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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さよならのためのお話を。
日時: 2011/07/28 21:42
名前: 水彩 (ID: 7MCr7M6.)

初めまして、水彩と申すものです。
途中で投げ出さないように頑張ります。

少し感動系になるかもです。
駄文・駄作者です。ご了承できない方は、右向け右を二回どうぞ。
では、お願いします。

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Re: さよならのためのお話を。 ( No.1 )
日時: 2011/07/28 22:07
名前: 水彩 (ID: 7MCr7M6.)

     01

雨の混じった雪を傘で防ぎながら、折れないか心配して歩いていた時。
わたし、誘拐されたらしい。

「——……あ、もしもし」

いきなりワゴン車へ引っ張られて、驚く間もなくどこかに到着した。
降りることもなく、電話している男。そいつが誘拐犯である。
十代に見えるのだが違ってくれ。
あと、犯罪者ってもっと顔とか隠すかと思っていたが……。
……バイト帰りのような感じだ。誰も、誘拐犯とは気づかないだろう。
さっき一瞬見えた顔は、なかなかの好青年だった。

「すいません、こっからどうしたら……? 」

——……は? 多分、貴重なシーンを目撃しているのだろう。
誘拐犯がオロオロしているぞ。少し身を乗り出すと涙目の青年が居た。
そういえば、縄とかで縛られてもなければ、脅されもしなかった。
本当に誘拐犯?

「えっ……と、え、『CAT』? ペットショップですか?……えぇ!? 違うんですか?」

あ、あそこか。『CAT』とは一応花屋である。
なんとも紛らわしいが気にしない。
伯母さんに何回か連れてこさせられ……いや、連れてきていただいたことがある。
そこのお姉さんが無表情なのに優しくて可愛らしかった。
もう一回、会いたいな。

「花屋さんですよ」

あまりにも困り顔が哀れに見えたため、助言してみた。
……あれ? 立場がおかしい。
わたしは、誘拐されたほうで、相手が誘拐犯だった気が……。








一旦きります。
おやすみなさい。

Re: さよならのためのお話を。 ( No.2 )
日時: 2011/07/29 13:36
名前: 水彩 ◆aFRIG6KgHQ (ID: 7MCr7M6.)


「花屋……どこですか?」

知らないのか。真面目な顔で電話の相手に確認している誘拐犯。
あ、怒られた。うなだれながら、頭を掻く姿が情けなさ過ぎる。
ふわり、窓からの風でこげ茶の髪が揺れる。ちょっとだけ空気が和んだ。

「えっと、……お、おい!」

「はい?」

「道案内をしてくれ!」

くるりとこちらを向いて言い放った。気難しい顔をしているが汗が見える。
もしや、常人の量の三倍くらいあるんじゃないか?

”たっのみっかったー!”

電話ごしに聞こえる高めの男……いや、少年の声。誘拐犯の上司?

「案内し、て、くださ、い」

かみかみである。すごく必死に頼まれているから、

「いいですよ?」

引き受けないと罪悪感がひどくなりそうだった。
少し不服そうな表情の誘拐犯。
それでも小さい声で「……ありがと」と聞こえた。
蚊の鳴くような声で、もしかしたら聞き間違いなのかもしれないけれど、
嬉しかった。


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