ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

九十九怪談 第一回【合わせ鏡】
日時: 2011/08/14 14:20
名前: 斑 (ID: Au8SXDcE)

こんにちは。斑です。
更新は遅くなるときもありますが、宜しくお願いします。


——

皆さん、【九十九怪談】を知っているでしょうか。
名前の言う通り九十九の怪談をする、というものです。
ですから、【百物語】とは違うというのはお分かりですね?
最後まで語ってしまったら……一体どうなるのか。
私=先生の役を務めさせていただいているので、生徒達には危険に晒したくないものです。
ですから【九十九怪談】をやることにしたのです。
学校の体育館を借り、蝋燭の灯をともし、貴方も参加しませんか?
なんなら、見ているだけでもいいんですよ。

おっと……生徒達も準備が出来たようです。
生徒が私を呼んでいますね…では、私も行きましょう。



さあ…始めましょう【九十九怪談】を———。


>>1 仲村君
 
第一話【消えた警備員】前編>>2 後編>>3 >>2->>3

>>4大野君

第二話【合わせ鏡】>>5>>6>>7

Page:1 2



Re: 九十九怪談 第一回 ( No.1 )
日時: 2011/08/06 11:21
名前: 斑 (ID: ObYAgmLo)

「皆さん、怪談話を用意してきましたか」

広い体育館に、私の声がよく響きました。蝋燭の灯は暗い中、ゆらゆらと揺れ、雰囲気を醸し出しています。

「もちろん!」

「オーケーだぞ!」

「早く始めよ!」

此処にいる98人の声も一気に響く。どうやら皆やる気がでてきたようで。
私は満足して、話を切り出した。

「分かりました。先生も怖い話を用意してきましたよ。話す順番は時計まわりですので、最初は仲村俊(なかむら しゅん)君ですね」

皆がステージの手前の方を向きました。そこには自分に指を差して「俺か?」と言っている仲村君の姿が見えます。

「お前だよ」

すかさず、次の番の男の子が突っ込みを入れました。こうやって見ていると、私まで楽しくなります。あ、仲村君が気を入れ替えたようです。

「よし!俺はとびっきり怖い話を用意したぞ!友達から聞いた話なんだけどな—————」

Re: 九十九怪談 第一回 ( No.2 )
日時: 2011/08/07 15:07
名前: 斑 (ID: ObYAgmLo)


 第一話 【消えた警備員】前編







「——ったく、なんで俺等がこんなところに」 

「だよなぁ。いつかは回って来るとは思ったけど」

警備員二人の目の前には、今は使われていない工場があった。中には沢

山の機械があるが、もちろんの通り動いてはいない。使われてはいない

が念のために、と毎回警備員が二人送られる。

だが、そこへ行った警備員は何故か戻ってこないという。これには上司

は不満のようだった。「行ったふりしてサボってそのまま会社をやめて

やがるんだ!」と叫ぶ。後輩達は「じゃあ、あんたが行けよ」と心の中

で思うのだが、言う事はできない。

そのうち、会社内に変な噂が流れるようになった。



〝あの工場は呪われていて、入ったものは戻って来ることはない〟



呪われているかどうかは別にして、戻ってこないというのは確かな事

だ。

そんな工場を警備することになったのがこの二人なのだ。

「とりあえず、早く終わらせよう」

男は酷く震えていた。夜の学校を警備する方がまだマシだ、と改めて思

った。

「そうだな。給料もそれなりに上がるし。一周したら早く帰るぞ」

もう一人の男の方は相手を励ますように肩を叩いた。

「あぁ、そうだな……」





 
男二人は門のドアを開け、開けたままにして工場の中に入っていった。

入ってすぐ、鼻をつく匂いがした。

「使われていないってだけもあって、匂うな」

男がクンクンと匂いを嗅いだ。もう一人の男も嗅ぐ。

「ん、どっかで嗅いだ事があるな」

「俺もだ」

「まぁ、とりあえず行くか」

「あぁ」

二人は狭い廊下を歩き続けた。二人は、トイレ、更衣室、準備室のドア

を恐る恐る開け、中に何も異常がないと分かるとすぐにドアを閉める。



その作業が終わり、残すは地下の製造部。いろんな製品を作るところ

だ。

「あと一つだな」

「そう思えば少しは楽になるな」

男二人は少々落ち着いて、顔を合わせた。


その時だった————。


『ガタッ…ウィーン………ゴトッ』

という音が工場内に響いた。それが何回も。まるで二人を待っていたか

のように。

「お、おい!聞いたか、今の音!」

男の顔が青白くなった。さっきより顔が強張っているのがうかがえる。

「聞いたよ!何の音だ——?工場全体が動いてないんだぞ!それに、

工場の周りには何もない……」

そこで、もう一人の男の声が止まった。



男がいない。




——さっきまで、いたんだ。


残った男は頭をきょろきょろと動かし辺りを見回した。


いない


いない


いない



——まさか……俺に黙って出て行ったのか?


——いや、そんなはずはない。それだったらもっと早く出たはずだ。



その時、男の肩を誰かがポンポンと叩いた。




  続


(今回は、前半後半と分けて更新します)














Page:1 2



この掲示板は過去ログ化されています。