ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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英雄の泣く頃に。
日時: 2011/08/09 15:29
名前: 左倉. ◆Vag2WY00rE (ID: mtlvkoR2)

「大丈夫さ!君は人間なんだろ?」




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!歪みきった人間と大きくて些細な戦争の話。
!色々パラレル
!戦争を賛美・肯定する目的はないです
!何が起きても「なんだこれありえねぇだろ(笑)」と軽く読める人向け。つまり現実としっかり区別できている人向け。
!別作品「毒林檎と〜」とはかなり傾向が違います。
以上のことを大丈夫だ!と言う人はレッツスクロール。
( イメージソング→「カーニバル」by oretsu feat.GUMI )



※題名は仮題なので後々変わる可能性あり。

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「×××××」 ( No.1 )
日時: 2011/08/09 15:44
名前: 左倉. ◆Vag2WY00rE (ID: mtlvkoR2)

××××.8.22.名前も知らないあなたへ

私はきっと、もう駄目なのです。
すぐ近くで銃声が聴こえたし、爆音だってそこら中でしてる。私は多分、明日にでも死ぬのでしょう。
それでもこうして名前も知らないあなたにお手紙を書いているのは、もうする事がこれしかないからです。
お母さんもお父さんもどこかに行ってしまったし、家にあるものだってもうこれを書くための道具と私くらいです。
決して助けを求めている訳ではありません。ただ、私にとってあなたが死の間際に手紙をしたためる程大事な人だと言う事を分かって下されば幸いです。
この五月蝿い音が遠ざかり、この国で人が毎日のように死なない日はきっと私の生きている内には来ないでしょう。
だからせめて、私が死なないうちにあなたと一度でいいからお話したかったのですが、それはもう無理なようなのでせめてここに、最後にひとつだけ言いたいことを書き残してあなたに送ります。

ありがとう。
名前も顔も知らなくても、この手紙があなたに届くことで少しだけの希望を抱かせてくれた事にありがとう。
お返事はいりません。ただ、それだけを伝えておきたかったのです。
それでは、さようなら。





( ××××年7月2日、一人の少年の元に届いた手紙より抜粋。 )

「馬鹿みたいだろ?」 ( No.2 )
日時: 2011/08/10 17:35
名前: 左倉. ◆Vag2WY00rE (ID: mtlvkoR2)

例えば、この国が相手に反撃の隙を与えない程強かったら。
例えば、あの国が敵にただ嬲り殺しにされるだけの軍隊しか持っていなかったら。
そんな身勝手な空想の中で敵国の軍隊を弄びながら、麻原樹は廃ビルの屋上から死体が次々と「生み出される」様子を眺めていた。
最早敵も味方も分からなくなったような凄惨な戦場を完全に傍観できるその場所で、遠距離狙撃用のライフルを片手で抱えて、誰のものかも分からない血と死体にまみれた戦いを文字通り「観て」いるその姿は、彼の表情さえ見なければ人が死んで行くのを楽しんで見ている狂人か、或いは戦場に飛び込んで行くのを怖がってただ見ている臆病者にも見えたかもしれない。
……そう、彼の表情さえ見なければ。
最早恐怖を通り越してそれだけで人を殺せそうな程の冷たい目をして戦場を傍観する彼は、恐怖や歓喜に打ち震えている訳でも呆れている訳でも悲しんでいる訳でもなく、ただ感情も何も全く感じさせない無表情でコンクリートの床に座っていた。
自らに近付く足音が響いた事にも動じる様子を見せずに、ただ静かに、表情を変えないまま口を開く。

「……何しに来た、傘山」

振り返ることもしないままで、確信を持って呼ばれた名前に「傘山」と呼ばれた男は樹とはまた違う意味で感情の見えない笑みを浮かべる。

「俺、殺し合いは好きじゃないんだ」

質問に答えていない「同僚」の態度にほんの僅かに呆れながら、その言葉に彼の異常性を改めて認識する。
……「傘山杏介」という男は、一方的な虐殺が好きなのだ。
サディストという訳ではなく、ただ純粋に、抵抗しない人間をただ殺していくのを見るのも実行するのも好きな、俗に言う「外道」。
それが樹の中での彼の評価であり、それと同時に周囲からの彼の評価でもあった。
要するに、彼は今回の強さが拮抗したもの同士の殺し合いには興味が無いという事なのだろう。

「それなら、さっさと実家にでも帰ってろよこの野郎」

言葉の中に含んださりげない皮肉に気付かなかったのか、それとも敢えて無視したのか、まるで動じない様子で「同僚」狂人は言う。

「生憎、俺は仕事を放棄して家に帰る程無責任でも不真面目でもないからね」

……仕事なんてあってないようなもんじゃねぇか、とは言わなかったが、それでも背後で乾いたが笑い声が聞こえた事から彼もそれはわかっているのだろう。
……それは言うなよ、と、笑い声の裏から言われている気がした。

「で?……本当に、何しに来たんだお前。」
「お前と同じだよ、麻原」

漸く振り返り、改めて訪ねた同僚の態度に何を言う訳でもなく即答した傘山に妙に納得して、麻原樹は無表情のまま同僚への呆れと皮肉を込めて小さく息を吐いた。




(××××年.8月20日/とある廃ビルの屋上にて)





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落ちがないのはいつもの事。
妙に短いのもいつもの事としてスルーしてください←

Re: 英雄の泣く頃に。 ( No.3 )
日時: 2011/08/10 17:37
名前: 左倉. ◆Vag2WY00rE (ID: mtlvkoR2)

あげてみる。
しかし一話更新するまでの時間が……


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