ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 切 り 裂 き 歌-死 へ と 続 く 歌-
- 日時: 2012/03/29 00:20
- 名前: 霧月 蓮 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: gG3G93SR)
さて、お前読ませる気ないだろ、なんて言う文章を書いていく馬鹿、霧月蓮でございます。始めましての方は始めまして、どこかで出会ったことのある方はお久しぶりでございます。
今回も過去作品のリメイクとなります。リメイクと言っても大幅に話は変わっているんですけどね。更新スピードは亀より遅いですが、一ヶ月に一度は更新できるようなペースにしていきたいとは思っています。
色々と駄目人間ではありますがよろしくお願いいたします。
また、誤字、脱字、意味の間違った言葉等よく分からない間違いを連発することもあると思われます。気付いた方は教えてくださると助かります。
それではつたない文章ではありますが
†目次†
序章 始まりは一つの悪夢から>>1
第一章 漆黒と白銀>>2-4 >>7
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- Re: 切 り 裂 き 歌 ( No.1 )
- 日時: 2011/08/10 23:45
- 名前: 霧月 蓮 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: 9K3DoDcc)
序章 始まりは一つの悪夢から
「助けて!! 助けてよ」
必死に泣き叫ぶ少年がそこにはいた。少年を脇に抱えるのは真っ黒な翼の大人たち。大して少年は真っ白な翼に鮮やかな金の瞳を持っている。髪は銀色で光を受けるたびにキラキラと輝いている。いくらもがいても、少年が大人たちの手から逃れることは出来ない。それほどに少年は非力で、ちっぽけだから。暴れれば暴れるほどに羽根は抜け落ちて、少年の体力は削がれていくだけ。
悲鳴を枯れ始めた声も無視して少年は叫び声を上げ続ける。黒い翼の大人たちは低く舌打ちをして少年を睨みつけている。それでも殺すことではなく、連れ去ることが目的なのだ。少年の口に布を詰め込んで、黙らせる。突然口に布を詰め込まれて、少年は苦しげに体を捻らせる。
「そいつを放せ!!」
黒髪の少年が凄い速さで銀髪の少年を抱える、黒い翼の大人たちに突進した。冷たい青の瞳は鋭く黒い翼の大人を睨みつける。この少年の背中にも銀髪の少年と同様に真っ白な翼があった。銀髪の少年を抱えていた大人たちが転がるのを見れば黒髪の少年は素早く銀髪の少年を抱きかかえる。叫ぶ黒い翼の大人を無視して素早くその場を飛び去る。
怯えたように自分に抱きついてくる銀髪の少年の頭を撫で、口の中に詰め込まれた布を放り捨て、後ろを確認する。そこには黒い翼の大人なんて一人もいやしない。
「クロス、前!!」
銀髪の少年が悲鳴にも似た声を上げた。黒髪の少年、クロスがハッとして前を向いたときにはもう、黒い翼の大人たちは拳銃の引き金を引いていた。武器にしては軽い音が響く。クロスの肩に激痛が走り、クロスは悲鳴を上げ、銀髪の少年を落っことしてしまう。クロスの肩から流れ出す赤い液体を見て銀髪の少年は悲鳴を上げた。
クロスが銀髪の少年の手を引こうとしているうちに黒い翼の大人たちは少年達の目の前に迫っている。黒い光が走ったかと思えばクロスが力なく倒れてしまって、そこで銀髪の少年はパニックに陥る。その後意識は闇に飲まれるかのように消えていった。
*
「嫌な夢……」
もぞりと、腰の辺りまで伸びた銀髪の少年、春日 優希(カスガ ユウキ)が体を起こした。黒っぽい金色の瞳はどこか不思議な光を宿している。ため息をついて優希はベッドから出て、伸びをする。その表情は不愉快そうな色が見えた。半ば八つ当たり気味に、鳴り始めた目覚ましを止める。
押入れを改造したベッドで眠っていた、肩より二、三cm程度短い黒髪に、僅かにくすんだ青い瞳の少年、冬杜 黒須(フユモリ クロス)が間抜けな欠伸をしながら不思議そうに優希を眺める。それに気づいた優希はより一層顔を不機嫌そうなものに変えた。
「どうしたんだよ、やたら不機嫌みたいだけど?」
「……嫌な夢を見た。悪夢だよ、悪夢」
押入れベッドから出てきて、優希の頭を撫でてやる黒須。優希は僅かに安心したように顔をほころばせた。それを見た黒須もフッと笑って優希から離れて、押入れベッドに座る。
「翼ってことは……天使か」
黒須が本に視線を落とし自分のことを見ていないことを確認した後に、優希は小さな声で呟いた。それは妙に面倒くさそうな、気だるげな声だった。
- Re: 切 り 裂 き 歌 ( No.2 )
- 日時: 2011/08/15 22:35
- 名前: 霧月 蓮 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: 9K3DoDcc)
第一章 漆黒と白銀
本日は日曜日。平日のように学校の準備でどたばたすることもなく、黒須と優希はのんびりと過ごしている。まぁいくら日曜でも部活があるところはあるのだが、元々部活に所属していない黒須と優希には関係ない話であった。と、言うよりこの二人、長期休暇の間に引っ越してきたわけで、まだ新しい学校と言うものには一度も足を踏み入れていない。挨拶に行ったほうがいいんじゃないかとも思ったのだが、どうやら優希たち抜きでそれは終わってしまったらしい。生徒となるほうも挨拶に行ったほうがいいじゃないんだろうか、そう考えて首をかしげる黒須に優希は軽い調子で、気にしない、気にしないなんていう風に言うのだった。
黒須と優希だと明らかに優希の方が真面目なしっかり者に見えるのだが、実際のところは優希の方がわりと軽いノリで行動することが多かった。逆にそんな優希のストッパー役として黒須は動いているためか基本的に冷静なことが多い。……まぁ優希以上に軽いノリになることも少なくはないのだが。黒須が軽いノリになったときは急に優希が真面目なしっかり者になるのだから、結局は持ちつ持たれつの関係なのかもしれない。
「黒須ーお腹すいた。朝ごはん」
床に寝転がって自堕落モードの優希がそういう。それを聞いた黒須は少々呆れたような顔をして「そろそろ文人辺りが呼びに来るだろ。アイツ面倒くさいから嫌いなんだけどな」なんていう風に言う。優希は優希で不満げな表情でごろごろしながら朝ごはんと繰り返す。駄目人間め、そうは思ったが口に出せば、確実に何か危険なものが飛んできそうなので黙っておく。怒ったときの優希ほど怖いものはないからな、と一人で頷く黒須。
お腹空いたと連呼する優希をよそに、黒須は外から聞こえる足音を聞き取ろうとしてみる。それらしき音は聞き取れなかったし、外からの音は一切届いていないようだ。ドアをノックしてもらわないと気づけないよななんていう風に考えた後、まだ皆寝ている可能性もあるか、と一人首をかしげる。その瞬間に勢いよくドアが開かれたのに驚いて優希が飛び上がった。
「白銀のジョーカー、漆黒のキング、朝ごはんの時間ですぅ」
部屋に入ってきたのは肩よりも四cm程度短い赤茶色の髪に、紫色の瞳の少年。真っ黒な執事服にも似た服を身にまとって無邪気な笑みを浮かべるこの少年の名は秋月 文人(シュウゲツ フミト)。文人を見た黒須は露骨に嫌そうな表情をしている。逆に優希は朝ごはんと言う言葉に反応を示してのそのそと動き始めていた。
「文人、その変な呼び名やめろって言ってるだろ」
黒須の言葉を聞いてキョトンと愛らしく首をかしげた後はっきりと「断りますぅ」なんて言葉を残し、優希の手を引いて走っていく文人。それを見て呆れたようにため息をついた後、のんびりと部屋を出て長い廊下を歩いてリビングへと向かう。そんなに間を空けずに部屋から出たはずなのに優希たちの姿は見えない。相変わらず足が速いな何て呟いて、少しだけ歩くスピードを上げた。
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