ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 死への誘い
- 日時: 2011/08/20 19:48
- 名前: 夕海 ◆7ZaptAU4u2 (ID: MDTVtle4)
初めましてこんにちわ、[怖いよね?]の作者、夕海です。
懲りず、二作目を作った馬鹿ですいません。
まあ、私の存在自体が馬鹿ですけどね(笑
というわけでどうぞ、暖かい目で見守ってくだされば、嬉しいです(
じゃあ、頑張りますっ!
目次|注意事項
01 / シリアス、ダーク、グロ、死、猟奇的な描写が出ます、ご注意を
02 / オムニバスストーリー、短編集でございます
03 / 更新度が何度もゆーよーに、亀様並み、亀の方が早いか(
04 / 宣伝は軽ければ良いです、しかし、見るのが遅い(
05 / 荒らしや口論、苦情は受け付けませんで笑
それでは、罪深き人間の業をお楽しみあれ……
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- Re: 死への誘い ( No.2 )
- 日時: 2011/08/28 22:14
- 名前: 夕海 ◆7ZaptAU4u2 (ID: MDTVtle4)
目次|登場人物
■霧島 茉衣 / (mai kirisima) ♀
14歳。足首まである長い黒髪、透明感ある水色の目が特徴な小柄の少女。黒の生地で蝶と花柄の振袖と、黒で無地の袴を纏っている。性格は無口で冷徹。常に無表情で何を考えているか、不明。色々と謎が多い。
■ねこ / (neko) ?
??歳。性別、年齢不明で黒猫の仔猫。小さな鈴がついた赤い首輪をしてる。名前は不明。とても小柄でいつも茉衣の肩に乗っている。
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- Re: 死への誘い ( No.3 )
- 日時: 2011/08/20 20:10
- 名前: 夕海 ◆7ZaptAU4u2 (ID: MDTVtle4)
- Re: 死への誘い ( No.4 )
- 日時: 2011/08/30 16:15
- 名前: 夕海 ◆7ZaptAU4u2 (ID: MDTVtle4)
目次|説話集
■第一章 [壊れたもの]
>>05. >>06. >>07. >>08. >>09. >>10. (完)
■第二章 [信じてたのに]
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- Re: 死への誘い ( No.5 )
- 日時: 2011/08/20 22:41
- 名前: 夕海 ◆7ZaptAU4u2 (ID: MDTVtle4)
■第一章 [壊れたもの]
—— 江戸時代。
ある娘が夜道を歩いていた。真夜中近くで当然にも人通りは全くない。暑い夏を過ぎ、秋が近付くころ。
……ああ、もうすぐで寒くなっちまうねぇ。と娘は小声で呟いた。
大通りは昼なら、活発で人波も声も騒がしく賑やかな雰囲気が今や別の雰囲気を醸し出している。
しんとしており、音とて娘の足音以外は全く聞こえない。いや、あるとすれば風くらいだった。
何故この娘が真夜中近く、外出しているかと言うと深い訳があった。
それは、娘の恋焦がれる愛しい青年と逢う為。
約束場所の橋の出口近くで待つ。
すると、橋の入り口近くから人影が見えた。だんだんと近づいてくる。
娘の顔が明るく輝いた。
青年の顔も優男風の穏やかな顔つき。娘の頬が赤く染まる。
「祥太郎さん…!」
「やあ、お春ちゃん」
挨拶するような所作と掛け声で娘の顔は更に輝き出す。
青年は乱れた着物を合わせを直し、彼女の視線を合わせる。
「お春ちゃん—— こんな時間にごめんね」
「ううん、祥太郎さんの為なら、私。大丈夫よ!」
気丈に振舞った。
祥太郎の顔に優しい笑みを浮かべて言った。
「そうか。——— 実は、もうすぐ結婚するんだ」
春の顔が変わった。明るい眼差しに光が消え失せて顔は強張る。
祥太郎は心配し声をかけると、娘は苦笑いしつつ、何とか誤魔化す。
それで、と言いかけたところ、わざと春が遮る。
「そ、そ、それで……お相手は?」
「ああ、庄屋さんの娘、お桜ちゃんだよ」
「……お桜?」
自分の近くに住んでいる近所の庄屋の一人娘—— やっと思いだす。
それでね、と話を繋ぐ。
けれども。春の耳には、祥太郎の嬉しい言葉が届かない。
しかし、祥太郎の嬉しそうな声が、静寂に包まれた場所に響いた。
■
ずっと好きだったのに、と涙ぐんだ声で独り言を呟く。両親が、仕事上の都合で娘以外、誰一人いない。
蝋燭に照らし出された部屋は僅かしか、燈していない。
娘の顔が蝋燭で照らされている—— 何処となし、不気味であった。
娘の顔が醜く歪んだ。……怒りで我を忘れた者の顔だった。
ぎりり、と歯軋りしながら、低く唸るような小声で言う。
「…………絶対に、赦さない」
机に飾られてた花の花弁が、一枚、散る。
■
「………ねこ」
右肩に乗る仔猫の頭を撫でる、すると。ねこは、にゃあんと鳴いた。
足首まである黒髪をさらり、と肩に落ちる。
黒生地で蝶と花柄の振袖と無地の袴を着た少女がいた。
少女のいるところは、春の家の隣家。
そこの屋根の上だった。
正確には、長屋の隣部屋、だが。
「ねこ。……どうやら、妬みが、此処にあるみたいね」
—— 月夜のない、曇った晩であった。
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- Re: 死への誘い ( No.6 )
- 日時: 2011/08/25 16:02
- 名前: 夕海 ◆7ZaptAU4u2 (ID: MDTVtle4)
お春は溜息を漏らした。今日は母方の祖母の命日で丁度一周忌だ。色々と可愛がられ、遊んで貰った優しい祖母。
未だ、死んでしまったのを、悲しんで寂しい気分になる。しかし、いつまでも悲しんでいる訳にはいかない。
自分と祖母との日々を楽しく忘れられない思い出へとするべきである。
人はいつか死んで、あの世の閻魔様の元へ裁かれてまた転生するのだ。それに色恋沙汰を命日で持ち出すのも、もってのほか。
けれども、—— 忘れられなかった。
思いを寄せた人の花嫁が、自分と昔良く遊んだ友達だった。
負けたくない。だが、今日は祖母の命日。色々と複雑な思いで恋する乙女の内心を揺らす。
お坊さんのお経を読む声が耳を通り抜ける。聞いてるようで聞いていない。
それどころか、祖母の幸せな来世を願いつつ、早く終われば良いのに、とも思っていた。
不謹慎だ。だから、……天罰が下ったのか。自分があの人と結ばれないのは、とお春は嘆く。
お坊さんのお経を読む声と外から聞こえる、蝉の鳴き声が混ざり合って酷く不愉快になった。
■
一周忌で使う茄子ときゅうりを買い忘れたのを思い出した。母に言われ、お春は八百屋へと向かう。
大通りの端ら辺にある八百屋は最も人混みが激しい場所だ。人混みに紛れるのを嫌うお春にとっては嫌悪する場所だった。
「…………早く帰りたい」
早く茄子ときゅうりを買ってさっさと家に帰ろう、きっと母が美味しい盆の適した夕食を作って待ってるころだ。
それに迎え火をし、茄子ときゅうりの精霊馬を母と父で楽しく作りたい。
——— 足がぐんと早まったころ、見慣れた人影を見た。
それは、祥太郎と仲睦まじく隣で寄り添う、お桜の姿であった。
言葉に出来ない絶望感、唖然とするお春を余所に二人は楽しげに喋りながら、手を繋いで、……鬼灯を買った。
気付いたら、二人の距離を縮めて後を追っていた。そして耳に二人の会話がしっかりと聞こえる。
—— 私達の子供、ちゃんと育てようね
—— ああ、そうだね。僕の可愛いややこを、さ。
お春の腕から、茄子ときゅうりが地面へと落とす。
恋焦がれてずっと思いを寄せた祥太郎の婚約相手のお腹に、赤ん坊がいる。
それを知った瞬間、目の前が真っ暗になった。
視界が眩んで、地面に膝がつく。異変に気付いた人々がお春の周りに集まり出した。
しかし、二人はとっくに距離を離れており、お春が居たことに気付かない。
………最後に見た姿は、腹をさすり、楽しげに笑う二人の姿だった。
■
目が覚めた。最初に映ったのは、心配そうな両親だった。額は濡れた手拭いが置かれている。
程良く冷えてて気持ち良い。けども、お春は二人の会話を思い出し、悲しい気分が抜け切れなかった。
「お春……」
娘の様子を心配した母が声をかける。
「……、なあに?」
「どうしたんだい、今日は朝からずっとこの調子じゃないか」
「………暑い、からね?」
一応母に誤魔化す。勘の良い母が怪しまないよう、作り笑いして。母は心配そうな表情でそうかい、とだけ言った。
父が今日は寝ていろ、と言って長屋の外へ出ていく。お盆にする、迎え火の準備する為だろう。
—— 一人きりになった部屋で先程のことを思い出す。
二人の間に赤ん坊が出来た。
それであの二人は幸せそうで、幸運に満ちた余裕の表情を浮かべていた。
胸が圧迫する。それと内側から、真夏の太陽の光を浴びた時のように熱く気怠くさせるような熱さが湧き出る。
これは怒りなのだろう。否、嫉妬だ。
悔しくて悲しくて恨めしくて仕方ない。女は鬼に変わるとは良く言ったものだ。
お春の顔が歪んだ。
もう、元の顔には戻れないのでは、と思うくらいに。
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