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ピポップ3世の栄光と苦悩:序章
日時: 2011/09/09 08:01
名前: 夏目隕石 (ID: YHosZCSi)

俺の名前はピポップ3世。
ご覧の通りの冴えない風貌だが、こう見えて裏社会では名の通った殺し屋だ。
俺の『殺し』は一人につき1000000ドルオーバー、カネのない奴ぁ門前払いだ。

今日も一仕事終えた俺は、場末にある愛用のホテル『チェルノブイリ』で、ナンパした女と肉欲を貪っていた。
全く、女という奴は実に単純な生物だ。
金を与え、ちょいと虚栄心を刺激してやれば、すぐに股を開きやがる。

が、その日の女は格別だった。
年は43歳と多少行き遅れ感は漂うが、その完熟して豊満なボディは、俺のワイルドボーイを満足させるに十分なシロモノだったのだ。

俺はすっかりその女—片桐アイミに堕ちていた。
気が付くと、一週間が過ぎていた。
俺たちは一か月もの間、『チェルノブイリ』でただただお互いの愛欲を満たし合っていた。

今夜もアイミとの一戦を終えた俺は、ブランデーを一口含み、テーブルの上にあった葉巻に火を付ける。
大きく煙を吐き出すと、アイミが甘ったるい声で囁く。

「ねぇ、ピポップ…あんた、どこから来たの?」
「…まぁな」

俺は生まれついての風来坊だ。
行きずりの女に、己の正体を明かすことは出来ない。
(コイツとも、今夜だけの関係だ…この世は所詮、一期一会さ)

俺は夜が明ける前、アイミが安らかな寝息を立てているベッドを静かに抜け出すと、『チェルノブイリ』を後にした。
あばよ、マイハニー。
お前は俺が抱いて来た3443人の女の中で、五指の指に入るいい女だったぜ。
また会える日が来たら、アンタには俺の胸の内を聞いて欲しいな。

こうして俺は、再び暗黒の世界に戻った。
帰還した俺を待ち受けていたのは、以前と同じく、血と硝煙の臭いだった…

To Be Continued—

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