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- 飴色怪談
- 日時: 2011/09/21 22:31
- 名前: sakura (ID: ar61Jzkp)
都市伝説と怪談。
それらが二人を結びつけた。和泉一族の周りを取り巻く怪奇な事件。山木博孝は否応なしに、そんな事件に巻き込まれていくのだった……。そして、山木が知る事になる真実とは……?
ホラー系のお話です。
よろしければ、感想などいただければと思います。よろしくお願いします。
不定期のんびり更新です。
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- Re: 飴色怪談 —僕と君と逢魔が時と— ( No.1 )
- 日時: 2011/09/11 21:19
- 名前: sakura (ID: ar61Jzkp)
第一話 少年と不思議なクラスメイト 1
「どうして、見えもしないのに怖いの?」
白い髪の少女は同い年の少年にそう尋ねた。
彼女の名前は弥生と言う。
いつも日傘を携えている不思議な少女だ。
整った容姿と明るい性格からクラスでも男子女子に関係なく人気が高い。
「だって、霊がいたら怖いだろ、普通」
相変わらず彼女の周りは人だかりができている。
女子児童も男子児童も半分ずつくらいだ。
「……っていうか、なんでわたしの周りにみんな集まってくるのよ」
どこかうんざりとした表情に、一番仲の良い彼女の従姉妹でもある少女が口元だけでにんまりと笑う。
「女子はとにかく、男子は下心の一つでもあるんじゃないですかねぇ?」
人の悪い笑みを浮かべて弥生の従姉妹は身を乗り出すようにして彼女を見下ろしている男子児童らを見渡してみせた。
どこかわざとらしい彼女の動作に数人の男子児童達はかっと顔を赤らめる。
「べ、べつにそんなつもりじゃねーよ」
「赤くなってるところが怪しいわよね! そういえばあんたたち、こないだ弥生にボールぶつけたでしょ! 弥生、たんこぶできてたんだから!」
「……こぶくらい大したことじゃないわよ、そんなにきりきりしなくたって大丈夫よ」
ぽんぽんとものを言う同い年の従姉妹をなだめながら、弥生は白いショートカットの頭髪をかき回す。
彼女は幼いがひとり暮らしである。
時折、休校することもあるが、それに対して従姉妹の少女は一切コメントしない。
小学校サイドもなにも聞いていないのか、それとも理由を話すことを禁じられているのかクラスメイトの児童たちに説明をすることはなかった。
「大したことないって、だいたいいつまでも女の子が男の子に混じって野球やっているのもどうかと思うわよ?」
「……女の子が男子と一緒に野球やっちゃいけない理由なんてないでしょ」
あきれたような従姉妹の少女に、弥生は肩をすくめる。
どこか達観したような彼女の瞳はきれいなクリーム色だった。
「なんだ、一緒に野球やりたいなら言えばいいじゃねーか」
不意に飛んだのは小学校四年生にしては長身の少年だ。
「そんなもんやりたくないわよ!」
自分の周りで喧々囂々と喧嘩をしはじめたクラスメイトたちに、弥生は大概うんざりした様子で机に肘をついてその手のひらに顔をよせる。
そうよそうよと、同調する別の女子児童たちの声と、言い合いをする男子児童たちの声に弥生は白い睫毛を瞬かせた。
従姉妹の少女は弥生のたんこぶについて心配するが、たまたま野球をしていてボールがあたっただけのことだ。大して心配するようなことでもない。
「盛り上がってるところ悪いんだけど、わたしそろそろ帰りたいんだけどさ」
自分の周りで喧嘩を続けているクラスメイト達に弥生が断りをいれれば、その場にいた全員が時計を見やった。
確かに「帰りの会」が終わってから、三十分が経過していた。
「それもそうか、なんか雨も降ってきそうだし早く帰ろう」
窓の外には黒い雲がぽつりと浮かんでいた。
全員がランドセルを抱えて帰り支度をはじめる。
また明日ね、と挨拶を交わしながらめいめいが帰宅の途についた。
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