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タイムトラベル─覚醒─
日時: 2011/09/12 21:25
名前: バブル (ID: HhjtY6GF)

運命を変えるために、僕らは時間を旅する────。


登場人物
用語


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Re: タイムトラベル─覚醒─ ( No.1 )
日時: 2011/09/12 22:09
名前: バブル (ID: HhjtY6GF)

1.タイムトラベラー

「走れ!!ワープホールが閉じるぞ!!」

明かりの消えた廊下。建物は小刻みに揺れ、天井からはパラパラと砂が落ちてくる。
廊下の一番奥の壁には、ポッカリと穴が開いていた。穴の向こうは真っ白で先が見えない。
スーツ姿の年配男性は、廊下の向こうから走ってくる2人組の男女に叫ぶ。2人とも学生服を着ており、まだ子供だ。
「はぁ……はぁ…もう少しだ。結衣、飛び込むぞ!!!」
「分かった!!」
2人は手を繋ぐと、ワープホールに向かってダイブした。年配男性も2人に続けてワープホールに飛び込む。
その瞬間、ワープホールは泡のように弾けて消え、直後に建物も崩壊した。



─────現在 弥生高等学校屋上



屋上の出入り口ドアに、突如ワープホールが現れ、先ほどの3人が飛び出てきた。
弥生高等学校の数学教師である三浦周英は、スーツ姿ながらも華麗に着地した。
が、後ろから派手に飛び出してきた1年生の宙川純太郎と水成杏が三浦の背中に衝突。結局、3人は地面に倒れこんだ。
「ってぇな〜……お前ら、時間ギリギリまで………現在に戻れなかったら、ずっとあの時間を彷徨うことになるんだぞ!!」
三浦が未だに倒れこんでいる2人に言う。
「す、すみません……でも!!僕たちの力で過去を変えれば、多くの命が救えるんですよ!!!」
純太郎は立ち上がりながら三浦に言う。三浦は大きな溜息を吐くと、頭を抱え込んで壁に寄り掛かった。

「お前たち、未来を変えることは可能だが、過去を変えることは不可能だ。絶対に完全に永遠に不可能だ。」

三浦の全否定の言葉に、立ち上がって制服を整える杏が言う。
「先生は実際に行動を起こしたことがあるんですか?大人の口癖じゃないですか。『やればできる。』。」
杏が自慢げに言うと、三浦は一瞬言葉に詰まるがすぐに切り返してきた。
「俺は、そこらのダメな口だけ大人とは違う。とりあえず、次のタイムトラベルまで体を休めろ。」
三浦はそう言うと、崩れたスーツを一通り整えて屋上を後にした。
「…………逃げた。」
ポツリと杏が呟く。純太郎は大の字で屋上に寝転がると、左手の甲を見る。
左手の甲には、刺青のような丸い時計の模様が浮かんでいる。針は全て‘12’を指している。
この時計の模様が赤く光り始めたら、

それは、タイムトラベルの始まりの合図。

そう。僕たちは時間を行き来することができる「タイムトラベラー」。
頭に行きたい時間(年・月・日)を思えば、あっという間に、現在からその時間に飛べる。
僕が知っている限り、タイムトラベラーは幼馴染の杏、担任の先生でありタイムトラベラーの先生でもある三浦。
世界は広いし、他にもタイムトラベラーは存在するのだろうか。
「純君、帰ろう。」
「ん?あぁ分かった。」
純太郎は立ち上がると、杏とともに屋上を出て行った。


     バチバチ…  バチ……    …バチ!!


2人が出て行った瞬間、屋上のど真ん中にワープホールが現れた。
真っ白なワープホールから、黒いマントに時計の模様が彫られた仮面をした何者かが出て来る。
「ここが…2012年10月10日か。ふふふっ……良い空気だ。」
低い声で仮面の男は、仮面の下から深呼吸をする。屋上から夕陽で染まった橙色の東京の街を見渡す。
「うんうん。なるほどね……まだ始まる前か。それなら好都合だ。」
仮面の男は一人で納得すると、ポケットから一枚のトランプを取り出し、ワープホールめがけて飛ばす。
すると、ワープホールはカードに吸い込まれ、無地だったカードにピエロの模様が浮かび上がった。

「さて、新しい時間を動かし始めましょうかね。」



 


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