ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 愛しているの
- 日時: 2011/09/13 22:47
- 名前: 葵沙 ◆7ZaptAU4u2 (ID: /iUvxDbR)
葵沙と読みます、変な名前ですね;
初めまして、暖かい目で見てくださると嬉しいです。
じゃあ、頑張りますっ!
目次|注意事項
01 / シリアス、ダーク、グロ、死、猟奇的な描写が出ます、ご注意を
02 / 更新度が何度もゆーよーに、亀様並み、亀の方が早いか(
03 / 宣伝は軽ければ良いです、しかし、見るのが遅い(
04 / 荒らしや口論、苦情は受け付けませんので笑
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- Re: 愛しているの ( No.1 )
- 日時: 2011/09/14 20:13
- 名前: 葵沙 ◆7ZaptAU4u2 (ID: /iUvxDbR)
登場人物記
■天城 ルナ / amagi runa ♀
冷徹、常に無感情で無表情な奴。自分以外の人間を極端に嫌う、人間不信。しかし、〝あの人〟だけは、唯一信用しているとか。
■奥村 廉 / okumura ren ♂
優しく明るい性格の奴。ルナと気軽に話しかけられる。意外とイケメンだが、女性に人気はあると言えば少しある程度。
■結城 莉絵 / yuki rie ♀
ルナと気軽に話せられる奴。気が強く少し性悪な性格。
■木下 來 / kinosita rai ♂
故人。生前は面倒見が良く女性にモテていた。廉と何かしらの関係があったらしい。
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- Re: 愛しているの ( No.2 )
- 日時: 2011/10/17 16:14
- 名前: 葵沙 ◆7ZaptAU4u2 (ID: /iUvxDbR)
■説話集/記録伝
■第一章 [愛と言う謎に溺れる愚者]
>>03. >>04. >>05. >>06. >>07. (完)
■第二章 [逃げ続ける卑怯者は誰だろうか]
>>09.
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- Re: 愛しているの ( No.3 )
- 日時: 2011/09/14 20:53
- 名前: 葵沙 ◆7ZaptAU4u2 (ID: /iUvxDbR)
■第一章 [愛と言う謎に溺れる愚者]
——— 九月の上旬。
まだまだ猛暑が過ぎたと言えども暑い気候。近年の地球温暖化の所為で秋らしい涼しさが、夕方と夜ぐらいだ。
余りの暑さに今日の朝の朝礼、アナウンスで体操服で授業を受けても良いという〝放送〟が出たのだ。
あちこちの教室から漏れ出す喜びの声。それらを聞き流し、一人の少女が席から立ち上がる。
制服を脱いで下にあった体操服を現した。制服を鞄に仕舞い込み、また席へ座り直した。
刹那、担任教師が教室を出ていき、暫しの休憩時間が出来る。クラスメイト達はそれぞれの〝群れ〟を成し、人と交流する。
それを見たことかと少女は鼻で笑った。ふと、背後から近づく足音が聞こえ、彼女の席で止まった。彼女は嫌な表情を一瞬浮かべる。
振り返ると明るい笑顔で接する人間—— 整った顔立ちの少年が、無邪気に、彼女に話しかけた。隣に偉そうな顔の少女も。
「天城、次の時間の教科、何だったけ?」
苦笑いして彼女に言った。しかし、答えようとしない彼女に隣の少女が、ふんと偉そうに腕を組み直す。そして言葉を投げた。
「ちゃーんと、答えなさいよね!アタシ、聞くまでアンタの傍、離れるけど聞きまくるから!というか、答えなさいよね。アタシの為に!さあ、早く教えてくれないかしら?休み時間が無くなっちゃうじゃない」
他の人に聞くという選択はないのか。
やや呆れた心情ながら、やっと彼女が口を開いた。
「技術、PC室に行くらしい」
少年はありがとう、と言ったけど隣の少女の顔が眉間に皺を寄った。
「何よ、らしいって。ちょっとアナタ、ふざけてるのかしら?何でこんなに困っているのに、ちゃんと分からない訳?………まあ、良いわよ。間違ってたら、許さないから、覚えておきなさいよね?」
聞いてきた癖に何たる無礼な行為だろう。少年が苦笑いして彼女を宥めている。席に座った少女は、微塵も動かない。
怒った少女と少年が彼女の席を離れる。しばらく体を動かさないで座った後、チャイムが鳴った。
教室に彼女、一人だけだった。
■
技術の先生に注意される。適当に言い訳し、自分の席へ座った。ちなみに両脇の隣同士が先程の二人組だ。
偉そうな態度の少女が、彼女の右脇にいる少年を高圧的に呼ぶ。
少年が明るい笑顔で少女の脇へ来た。二人でパソコンの画面を覗き込んでいる。何やら調べる課題が見つからないらしい。
この二人組と同じ班で同じクラスメイトの彼女も、勿論、含まれてる。しかし、二人みたいに人と関わろうとしないが。
「天城ルナ!アンタも手伝いなさいよ、………もう、調べがついたの?ねぇ、何でアンタはいつもテキパキと指示をこなせる訳?一種の謎ね、うん、謎。ねー、廉も見習いなさいよ!幼馴染の分際で許してやるけど今度また間違えたら、今度は完全犯罪であの世に送り返してやるわ」
物騒な事を言いだす少女に廉と呼ばれた少年が笑った。
二人は幼馴染の間柄だ。少女の性格を知ってる彼にしたら、ただの〝冗談〟だろう。
しかし、他人から見れば——— いかに性悪な性格かを思い知る。
ルナと呼ばれた彼女、ルナはそんな二人を冷ややかな視線で見つめ返し、また画面へ視線を映す。
そこへ、背後の脇で担当教科の先生の注意が入る。
「天城、奥村、結城。お前らは本当に仲が良いな、だけど静かにやれ」
先生とは不可解で意味不明な生き物だな、と遠い視界で思った。
自分達の〝何処〟が、仲が良いと見える。寧ろ二人とルナは普通の間柄。というか、ただのクラスメイト。
自分の右脇にいた結城が一言、呟いた。
「アタシの〝結城莉絵〟という名を気安く呼ぶな、変態教師」
莉絵の悪意ある言葉を聞き流す。彼女の性悪はこれに始まった事ではないからだ。
今日も蒸し暑い。けれどPC室は冷房が利いている。過ごしやすい空間だった。
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- Re: 愛しているの ( No.4 )
- 日時: 2011/09/14 23:02
- 名前: 葵沙 ◆7ZaptAU4u2 (ID: /iUvxDbR)
放課後。研究授業で運良く彼等の教室は部活無し、四限に終わる事に。当然クラスメイトも人知れずルナも内心、喜んだ。
ルナはクラスに馴染んでいない。疎外されている、という言葉がぴったりの云わば人と馴染めない人間だ。良くいる人間である。
しかし、ルナは違う。人間が嫌いなのだ。人間を嫌う余り孤独を愛し、自分しか信じない性でいた。
理由は分からない。とにかく彼女が〝人間嫌い〟なのは、事実だった。そうして早く帰ろうとした矢先。
何故か、莉絵に足止めされた。一気に不機嫌になった。早く帰りたいのは、〝奥村廉〟こと廉も同じらしい、やはり苦笑いだ。
三人だけとなった教室。人気もない。
早く帰りたい、と視線で訴えたら、莉絵の勝ち誇った嫌味な笑顔で、その赤い唇から、言葉を出す。
「ねぇ、今度三人で遊びましょう!」
——— 言葉が出る処だった。
目の前に教室で最悪な性格の同級生と噂される少女が言うものだから。遊びたい相手がいないのだろう。彼女もまた寂しい人間だ。
自分と境遇は似てるけど、思想が全く違う。同類と見られるのが酷く不愉快だと思ったルナが、溜息を零す。
「お前………なんか、可哀想だな」
廉の同情めいた眼差しが送られた。莉絵の顔が赤く染まる。
「違うわよッ!友達ぐらい、ちゃんといるわ!ただ、アタシはアンタ達と遊んだら、どんな休日を過ごし、どんな生活を送ってるか、分かるんですもの!これ程、面白い事はないし!分かったら、早く日程を決めやがれ、ボケカス共………ふん、分かったわね?」
言葉の語尾が暴言に変わっている。
廉がルナの耳元でいつもの事だ、と優しく諭してくれた。
携帯を弄ってる莉絵が、十八日が空いてると言う。ルナは別段これと言った予定がない。
廉も同じ様子だ。莉絵の勝ち誇った笑みが——— 恨めしく見えた。
「まあ、いつでもメールをしなさい。あ、これアドレスだから」
手渡された白い紙を受け取った。アドレスは〝好き好き大好き莉絵〟というアドレス名。自分の事がそこまで好きらしい。
莉絵は満足気な表情をし、そのまま教室を出て行く。
——— 教室に二人、残される。
廉が、引きつって乾いた笑い声を出しながら、ルナに対し同情めいた言葉を続けた。
「莉絵、あいつは一体何を考えてるんだろう。産まれた時から一緒にいたけど意味分からんわ、あ、京都弁が混じっちゃったね。俺、母さんの実家が京都なんだ。だから時々混じるんですわ、不愉快やったら、ごめんね。とにかく、莉絵は素直な性格じゃないし、友達が出来にくいんや。堪忍してね——」
そう言い残し、彼も鞄を背負って出て行った。
時刻は一時五分。
一時半には出ろ、と言われてるのでルナも早々と教室を出て行った。
教室の窓辺から、淡い暖かそうな光が一筋、射し込んでいる。
———— 今日も暑くなりそうだ。
■
とんとん、と軽やかでスキップのような足取りを乾いた地面に歩く。
風で淡い茶髪の綺麗に纏められたポニーテールが揺れる。
不敵で気強い笑みを満面に浮かべた少女、莉絵だ。今日は機嫌が良いらしい。いつも理不尽で身勝手な自己主張を述べている。
なので、彼女に〝友達〟らしい友達は〝廉〟だけだった。
それに、弄りがいのある同級生、天城ルナも今週末遊ぶ予定になっている。今のところは、だが。
だけど、すこぶる機嫌が良い。
「ふふ……。廉とまた遊べる、天城を身近に観察できる、今月はラッキーな事ばっか!アタシは性悪なのは自覚済み。というか、生まれたころから知ってるわよ。人を傷つけるのも観察するのも、大好き。サディストやら、ドSやら、何とでもおっしゃい。だけど変態とか言ったら、今すぐあの世に送り返してやるわ。さあて、今日も観察、観察っ!」
独り言を呟く。横をすれ違う人や周囲の人間の視線が感じる。
それでも、莉絵の独り言は続いた———
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