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- サイノウ
- 日時: 2011/09/15 18:35
- 名前: 57㍍ (ID: o6.7IlxV)
「ねぇ、キミは、なんでそんなに頭がいいの?」
—プ ロ ロ − グ—
僕は、低脳だ。
低脳?
むしろ、無脳じゃないか。
回りは、頭のいい奴ばかりで。
だから、回りがいなければ。
いなければ。
僕は——『テンサイ』になれるんだ。
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- Re: サイノウ ( No.1 )
- 日時: 2011/09/15 19:15
- 名前: 57㍍ (ID: o6.7IlxV)
#1 『日課』
僕は、親のせいで、私立の学校に入る事になった。
僕は、私立なんてどうでもよかった。
回りみたいに、公立の中学校に入れればよかったのに。
親は、どうしてこうにも勝手なのだろう。
偏差値60の、中高一貫の私立学校。
僕が低脳だってわかってるくせに———。
そんな悲観的な夢をぶち壊してくれたのは、携帯のアラームだった。
「…何度こいつに感謝したか…。」
僕は二ヶ月前、晴れて中学生になった。
いや、全然晴れてない。うん。
そんなことを思いながら、何も着飾っていない真っ黒な携帯を開く。
携帯の画面に映るのは、いつか撮ったアニメのワンシーンと、日本式のデジタル時計。
デジタル時計は、五時十三分と示している。
なんだ、まだ五時か…
再び、真っ黒なベッドに寝転がり、目を瞑ってみる。
よっぽど眠いときは別として、こういうときは大体目が覚めてしまう。
完璧な実例が僕だ。
仕方ない、と身体を起こす。
「今日の授業…なんだっけ」
自分の声が、部屋に響く。
外は、少し明るい。
鳥の鳴き声が聴こえる。
しばらくボーッとしていると、部屋の外からキィ…というドアを開く音が聞こえた。
姉が起きたか…
もう一度携帯を見る。
ちょうど五時半だ。
「そろそろ着替えようかな…」
と呟き、部屋の壁に掛けている制服を取る。
今じゃ見慣れた、うちの制服。
ワイシャツのボタンを閉めるのも、手馴れたものだ。
あっという間に着替え終え、ネクタイを締める。
そして、荷物の確認。
「数学Ⅰ、国語、英語Ⅰ…弁当は…いらねぇや」
大して軽くない荷物を持ち上げ、部屋を出る。
朝ご飯も、食べない。
これが、僕の日課だ。
家のドアに手をかけ、静かな玄関に呟く。
「イッテキマス」
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