ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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—記憶—
日時: 2011/09/21 16:47
名前:  白亜 (ID: OJjBESOk)

 
 こんにちはー。
 初めましてw 白亜です。

 これから書く小説は、柱なしの思いつきで書きますv

 あったかい目で見守ってやってください♬

 

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Re: —記憶— ( No.1 )
日時: 2011/09/21 18:02
名前:  白亜 (ID: OJjBESOk)

 1−1  【雇われた死神】

 
 ソレはいつも赤い背景と共に夢に現れる。
 スクリーンのような視界に映った投げ出された足は、まだ幼かった頃の少女の足で、目の前にうつぶせの格好で倒れた男女合わせて2人は、体中を赤く染めて静かに息をひそめていた。
 その夢は、何一つ動かない静止画のようで、薄気味悪い。
 動きも音もない夢は、突然消えて、真っ暗闇の中に落ちる。夢はいつもそこで終わる。
 
 でもそれが一体誰の、何の、いつの記憶なのか、わからない。
 
 私はだれだろう。 どこにいるのだろう。 今。 わたしは。

 冷たい。空から何かが降ってきた。 チラチラと白くて小さなものが。 
 そうか、コレが。
 私の目に、大きな足が映った。茶色い革靴を履いた足の先は私のほうを向いている。誰だろう。

 「私と一緒に来てもらおうか。」

 腕が痛い。引っ張られているんだ。嫌だ。どこに行くの?
 私って誰?私のこと?私は私?

 誰か、助けて。誰か━━


 
 
 そこで彼女は目を覚ました。いつもと違う夢を見た。それだけで気分は最悪だった。
 開け放たれた窓からいまいましいほどに眩しい朝日が差し込んでいた。白い光に目を細める。
 彼女は腕時計を見た。どうやら昨日の夜から着けたまま寝ていたらしいソレは、朝の7時を指していた。ため息をついて、ベッドから起き上がる。ベッドのシーツがしわをつくった。
 彼女はゆっくりと部屋を見回した。いつもとは違う部屋だった。子供の一人部屋ほどの大きさのその部屋には、大きな窓とベッド、等身大の鏡以外には何もない、殺風景な部屋だった。
 鏡に映った自分の姿を見て、もう一度ため息をつく。
 まず一番に目に映るのは、炎のように紅く映えた髪だった。夜でも目立つ、真紅の髪は肩まで伸びて、かすかに濡れていた。昨夜に降った雨のせいだろう。昨日は部屋に入るなりそのまま寝た。
 髪と同じ色の瞳は、朝に弱い彼女のせいでまだ眠そうにトロトロしていた。雪のように白い肌は血色を失い、貧血のようにも見える。整った顔立ちが台無しだ。
 服装は昨日の「仕事」から帰って来てそのままの格好だった。赤いロングコートの下に、白く縁どられたボタン付きの黒いトップスに、赤と黒のチェック柄のスカート、黒いソックスに黒いパンプス。
 黒と赤で構成されたその服で、昨夜彼女は赤レンガの家で囲まれた街を歩いていた。「仕事」のためだ。しかし彼女は昨夜のことをあまり覚えていなかった。何故だかはわからない。思い出せない。
 突然、木製のドアが音をたてた。次いで、ゆっくりと開く。
 気の弱そうな、線の細い少年が顔をのぞかせた。

 「おはよう、もう起きてたんだ?体調はどう?」

 少年はにっこり笑いながら部屋に入ってきた。手には木製のお盆が握られていて、花柄のマグカップとパンが置かれていた。
 彼女は眉間にしわを寄せた。威嚇のつもりだったが、少年は気にも止めずに彼女の寝ていたベッドにお盆を乗せた。マグカップから湯気が昇り、パンの香ばしい匂いが彼女の鼻をくすぐった。少年が微笑む。

 「僕はリク。この家に住んでいるんだ。君は?」
 
 彼女はしばらくの間、リクと名乗った少年をまじまじと眺め━━やがてゆっくりと口を開いた。

 「私には なまえが ない。」

 「え?どういうこと?あ、パンとミルクティーを持ってきたんだ。よかったらどうぞ。」
 

 彼女は差し出されたパンを少しかじり、ミルクティーを飲むと、もう一度リクを見つめた。透き通るような紅い瞳に見つめられて、リクの頬はサッと赤く染まった。
 彼女はまた、そっと囁くように言った。

 「私の なまえは きえた。 だから わからない。」

 リクは彼女の前で立ち尽くすしかなかった。


   

              

             (中途半端でごめんなさいw 続きます)


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