ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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パルチザンズ〜トーキョー〜
日時: 2011/09/30 22:40
名前: 黒井猫 (ID: HhjtY6GF)

全てを失った哀れな日本国民諸君。


          ━ようこそ━



最後まで生き残った者に与えられるのは“夢”,“未来”,“富”。
少しの間だけ、君たちの生活空間を使わせてもらう。
現実と非現実が交差し合うゲームが、今始まる_____。

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Re: パルチザンズ〜トーキョー〜 ( No.1 )
日時: 2011/09/30 22:57
名前: 黒井猫 (ID: HhjtY6GF)

あの日、俺は全てを失った。

交通事故で家族を失い、腐った強盗野郎に彼女を殺された。

そして、俺が絶望の波に飲み込まれる寸前に‘あの手紙’が届いた。



  「おめでとうございます。パルチザンズの参加対象者に選ばれました。」



今思えば、この手紙こそが本当の絶望だったのかもしれない。

俺はピストル片手に、雨降る東京の街中、空高く聳え立つ東京タワーを見上げながら思う。

周りには一般市民はいない。

‘エリア’にはエントリー済みのメンバー以外の人間は存在しない。

俺はいつも、物事が始まってから思う。








      ─やめときゃよかった─

Re: パルチザンズ〜トーキョー〜 ( No.2 )
日時: 2011/10/01 17:31
名前: 黒井猫 (ID: HhjtY6GF)

FIELD:トーキョー    MEMBER:50人    TIME:168時間
【ルール】
1.エリア内にいる敵(ターゲット)を多く倒したチームが勝ち。敵は1体につき1ポイント。スペシャルは3ポイント。

2.エリア外への侵入又は死亡した場合、その参加者はゲームオーバーとなる。

3.エリア内では法律は無効。

4.エリア内の物は何でも使用してよい。

5.武器や特殊爆薬,乗り物はエリア内のあちこちに隠されてある。見つけて自由に使ってよい。

6.設置されてあるスピーカーから音楽が鳴っている最中は攻撃を中止。攻撃を続けた場合はゲームオーバーとなる。

7.非現実エリア(エリアX)内ではポイントが2倍。

開始時に拳銃1丁(8発),信号花火(1発),トランシーバー,キャンディー5個,水のペットボトル2つ,携帯電話が入ったリュックサックを渡す。チームの顔合わせは当日エリア内。集合場所は郵送した手紙に封入してある。集合場所にいる係員の指示に従いスタートを待つ。


<エリア>
ノーマルターゲット  :武装した人造人間
スペシャルターゲット:超人造人間

<エリアX>
ノーマルターゲット  :融合生物
スペシャルターゲット:???

           ↓ ↓ ↓

制限時間までに生き残っていたチームは、ネクストステージ……

Re: パルチザンズ〜トーキョー〜 ( No.3 )
日時: 2011/10/02 00:24
名前: 黒井猫 (ID: HhjtY6GF)

12月に入り、東京の街に雪が降り始めた。別に珍しいことじゃない。しかし、周りを見渡すと意気消沈してしまう。
現在の時刻は11時50分。普段なら、街中には行き交う人々がいる筈。だが視界には誰もいない。東京には、誰もいない。
別に驚きやしない。最初は……まぁ、驚いたけど。あの手紙をもらって、俺はまた生きようと思った。


東京都内の大学生である谷村聖人は、19歳で福岡から上京してきた。夢の一人暮らし、彼の第2の人生が幕を上げた。
上京して大学のサークル仲間である子にプロポーズされ出会って3日で彼女に。
小さいころから夢だったテレビ局で働く夢は、アルバイトで功績を残し正社員の方の賄いですぐに叶った。
そう、彼の人生は全てうまくいっていた。恐ろしいほど、奇妙なほど、彼の人生は最高の頂点に達していた。

が、咲いた花は一瞬で散った。

上京して1年後、福岡に住む両親と中学3年生の弟が交通事故で死んだという悲報が電話で掛かってきた。
更に、家族の葬式の出席のために福岡に戻っている間に、彼女の家に強盗が入り彼女を殺した。
交通事故を起こした犯人は現在も逃亡中、彼女を殺した強盗犯も同じである。聖人は、全てを失い絶望に堕ちた。


そんな絶望の中、俺の家に手紙が届いた。
送り主は‘国’。そういう絶望の荒波に埋もれた人間を集め、何かをするらしい。後10分後の12時ジャストに。
俺は手紙を持ち、なるべく動けやすい衣類の着用と書かれていたから、パーカーにジーンズという冬には少し厳しい服装。
集合場所は、渋谷区の渋谷109。誰もが知る若者の聖地、そして普通なら人で溢れている賑やかな場所だ。だが、人はいない。
109建物前に着くと、ロビーに男女3人が目も合わせず立ち尽くしていた。
「あの……あなた方も手紙をもらって…………」
俺は109に入り、一番ロビーの手前にいた上下黒いジャージを着た高校生ぐらいの女の子に声をかけた。
「あ…そうです……あなたも、ですか?」
俺が女の子に話しかけた瞬間、残りの2人が顔色を変えて駆け寄ってきた。
「あ、あんたもか!?何か知ってるのか!?」
「知ってるなら教えてください!!お願いします!!こんな気味の悪い東京、僕は……僕は……」
ホームレスの様なボロボロのロングコートを着た年配男性、眼鏡をかけたひ弱そうな高校生ぐらいの男の子は食い気味で聞いてくる。しかし、知りたいのは俺もだ。ルール用紙も封入していたが、読んでも意味は分からない。
俺の表情を見て、2人とも深い溜息を吐いてその場に座った。
「どうして来ちまったんだろうな……だけど……金がねぇと…」
「夢のためだ……奴らに復讐してやる……」
2人は何かを呟いているが、俺には意味が分からない。しかし、この場にいる以上、全員は絶望の中にいた。
そんな中で、あの手紙をもらったのだろう。

「あの、とりあえず自己紹介しませんか?空気も重いし、12時までまだ時間があるから……できればでいいですけど。」

女の子は若干怯えながら3人に言ってきた。3人は自然に目を合し、座っていた2人が立ち上がった。
「じゃ、俺からな。名前は立花春男、見ての通りホームレスだ。元の生活に戻りたくて、金目当てで来た。よろしくな。」
立花は3人に礼儀正しく礼をする。
「ぼ、僕は小島賢太郎。えーっと、中学3年生です。……趣味はパソコン。よろしくお願いします。」
小島はオドオドしながらも挨拶を交わし、再び溜息を吐いて床に座った。
「私は水瀬莉那。高校2年生です。立花さん、小島君、谷村さん、よろしくお願いします。」
水瀬は可愛らしい笑顔で挨拶をする。ポニーテールがよく似合い、顔も整っている。まるで、芸能人のような風貌だ。
それに、立花や小島よりも冷静で落ち着いている。女性だが、一番まともで俺にとっては話しやすい。
「俺は谷村聖人。大学生、テレビ局に勤務。これからよろしく。」
俺は立花、小島に会釈をし、自然と水瀬と握手を交わした。最初は水瀬は驚いていたが、笑顔で握手をしてくれた。
「よろしく、谷村さん。」
俺はこの時、何か違和感を感じた。…………何だろうか。

「わぁーお♪本当に来てるぅー。」

俺の疑問を打ち消すかのように、ロビーの自動ドアが開いて小柄な男性が入ってきた。
確かに動きやすい衣類と書いてあったが、まさかパーカーに短パンとは…。4人は男性の服装を見て呆然とする。
「もしかして僕が最後?あっは、個性的だね〜。」
男性は小島、立花、水瀬、俺の顔をマジマジと見ながら何度も頷く。何を納得して頷いているのか分からないが。
「俺の勘だと、ホームレスのおっちゃんは何かマジィことしたね。眼鏡君はいじめかな?あんたは……相当苦労してるね。」
男性は俺の顔を覗きながら言う。なんだ、こいつは?
さすがに水瀬もキョトンとしている。男性は最後に水瀬の顔を見た。
「んー、んー……、君は何だろう。分かんないや!」
「とりあえず、自己紹介してくれる?」
水瀬は少し睨みつけながら男性に言った。どうやら、男性の失礼な態度に怒っている様子だ。
「オイラに名前なんてない。好きに呼んじゃって、ポニーテールちゃん♪」
男性は水瀬の肩をポンと叩きながら、近くのベンチに座った。

「じゃあ、チビでいいですね。」

「ごじゆーにどーぞ♪」

チビはケラケラ笑いながら言う。
立花は苦笑いをし、小島は水瀬とチビのやりとりを呆然と見ている。
俺も、どうしたらいいか分からず立ち尽くしっぱなし。



とりあえず、これが今後をともにするチームだということだ。


Re: パルチザンズ〜トーキョー〜 ( No.4 )
日時: 2011/10/02 13:34
名前: 黒井猫 (ID: HhjtY6GF)

<チーム谷村>
【谷村 聖人/Tanimura masato】
福岡から上京してきた大学生。家族を交通事故で失い、彼女を強盗に入った犯人に殺害された。その後、国から届いた手紙を受け取り、パルチザンズに参加。パーカーとジーンズを着用。

【水瀬 莉那/Mizuse rina】
東京都内の高校に通う高校2年生の女の子。理由は不明だがパルチザンズに参加。戸惑う周囲とは違い、冷静で常に落ち着いている。同チームの聖人とは仲が良いが、同じく同チームのチビとは仲が悪い。上下黒いジャージを着用。

【チビ/Tibi】
年齢不明、参加理由不明、本名不明と謎が多き若き男。お調子者で誰にでもタメ口を使う。パーカーに短パンを着用。莉那とは会った瞬間に仲が悪くなり、他のメンバーとも仲が悪い。勘で言う癖があり、また人にあだ名をつけることも大好きらしい。
例)谷村聖人→お兄さん
  水瀬莉那→ポニーテールちゃん
  立花春男→おっちゃん
  小島賢太郎→眼鏡君
  
【小島 賢太郎 /kozima ketaro】
東京都内の中学校に通う中学3年生。近視のために眼鏡をかけている。気弱ですぐにオドオドする。趣味はパソコン。

【立花 春男/Tatibana haruo】
東京に住むホームレス。お金目当てでパルチザンズに参加。


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