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- 病室の美少女
- 日時: 2011/10/05 17:13
- 名前: 晃沙 (ID: CNF3NCLC)
この病室には心臓病に喘ぐ少女が一人…。
輝きを放つ様な艶やかな肌、白く細長い美しい首…。
少女の名前は零等。
今少女は穏かな笑顔で心臓の鼓動を響かせて静かに眠っている。
満月の夜の月が美しい零等を暖かく照らして行く。
全てが白いこの部屋…。
ふわりと少女を包む白い毛布が煌かせて行った。
(ガタンッ!!)
と言う音で零等は目が覚めた。
その途端、零等が眠っていたベットの前に一人の青年が立っていた。
その青年はまるで血が染み込んだ様な真っ赤な紐を片手で持っていた。
真っ赤な紐は零等の白く細長い美しい首を包んで来た。
段々力が強くなって来る…。
零等はその恐ろしさに手を伸ばす事も、声を出すことさえも出来なかった。
徒苦しそうに喘ぎ、零等の心臓の鼓動が段々弱まって行くばかりだった。
零等は涙を一筋流して本の僅かな声を囁いた、最後の力を振り絞って…。
「辞めて……苦しい……助けて……。」
何だろう…何か今零等が首を絞められている病室の外から足音が聞こえて来る。
「何やってるんだよ!!。」
「…!!!!」
足音を立ててやって来た彼は零等の首を絞めた青年を追い出した。
「零等…大丈夫?。」
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……。」
「もう安心だ。もうアイツは来ないよ。」
「…。」
彼は苦しむ零等を優しく抱きしめた…。
「…綺麗な月夜ですね。」
「…そうだね。君は美しいよ。肌も白くて綺麗だし、優しいね。きっと、誰もに好かれているのだろう。」
零等は穏かな笑顔を取り戻した。然し…
「乃妬さん…。」
「もしかして…君は…。」
「…そうです。私は今、この美しい月夜へ旅立つ時です。」
零等がこの空へ旅立つ時が来た時、この暖かい温もりに包まれた儘で…。
「…そう。僕は君の心臓の鼓動を絶対に継いで行くよ。」
「貴方に優しく抱かれ、闇に射した月…最後の最後までこの温もりを抱えて旅立てる私は幸せです…。」
最後の言葉を口にした後、零等は目に映る笑顔が溢れた彼と美しく少女を照らした月…その輝く目は穏かに閉じて行き、零等の鼓動は静かに溶けて行った。
以上…。世界で一番美しい病弱少女の光翼零等(こうよく れら)さんの御話でした。
13歳の設定ですが実際には存在しませんよ?。
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