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欠陥腐乱TRANCY 
日時: 2011/10/08 04:36
名前: 逆パカ王子 (ID: efp5OJCb)


※作者はエレメンタルジェレイドとソウルイーターのような設定が大好きです。
武器⇔人間のようなトランス系が嫌いな方は戻るボタンを連打しよう。
むしろ賛同していただけた方は同志だ!ちょっと付き合ってくれ。

いらっしゃいませ、逆パカ王子です。
この小説は100%自己満足で出来ています。
駄作ですが、よろしければ見てやってください。
コメなどを頂けると現実逃避します。アナタが好きになります。←
過度な評価コメは見たくありません。ブロークンハートします。←
不定期更新ですが、よろしくお願いします。

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【本編】

CPⅠ≪じゃ、逝っとく?≫
>>1


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【お客様】

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Re: 欠陥腐乱TRANCY  ( No.1 )
日時: 2011/10/08 03:13
名前: 逆パカ王子 (ID: efp5OJCb)

狂気を宿した人間とは、ひと目見ればわかるものだ。
まるで視界に映るすべてがおかしくてたまらないとでも言うような好奇に満ちた昏い瞳。
暇を持て余し、どこか途方に暮れてしまったような無感情な顔つき。
全身のどこにも力をいれず、万有引力でのみ直立しているかのような怠惰な姿勢。
そして、別世界からやってきたのかと思わせるほどの、恐ろしいほどに美しい風貌。

オレの隣で、身に付けている衣服が汚れるのも全く気にせず座り込んでいるこの青年は、まさしく狂気そのものだった。

「はははっ…ははっ…」
青年はまるで幼児のようにクスクスと笑う。何に対して笑っているのか、なんて考えるなんて無駄だ。尋ねるなんて、もってのほか。
オレは眉間にしわをよせながら、ひとつ溜息をついた。
先程からこうして不気味に一人で笑っては自身の右目に覆われた眼帯をいじり、異様なオーラを放っている彼は、皮肉にもオレの唯一無二のパートナーなのだ。
彼は【トランシー】である。
トランシーとは、変形型生体兵器を意味するれっきとした軍の武器であり、最先端のナノテクノロジーが生み出した奇跡。
比喩めいた言葉で簡潔に言うのなら、それは『生きた兵器』だった。
もともと人間の身体を武器化トランスするという起案自体、非・道徳的と判断されており、当然、政府の猛反対を受けた。
しかし、軍の開発グループは極秘で話を進め、そして、その武器をとうとう完成させてしまった。
遺伝子レベルから他物体へと再構築するシステムを組み込んだ人工因子を胎児の体内に埋め込み、やがて成長した子供を軍で教育し、最強の武器に造り上げる。
トランシーの出来は、政府も目を見張るものだった。トランシーは自身の身体を思いのままに様々な武器に造り変えてみせる。それは一種の芸術作品にも似ていた。
その完成度に、政府も首を縦に振らずにはいられなかったのだろう。極秘企画としてではあったが、トランシーという新型兵器を量産することを推進したのだ。

それから今現在、未だ一般市民には極秘であったが、一部の軍の上等兵にはトランシーの存在が伝えられるようになった。
まあ、それもそのはず。武器は、使い手がいなければその本領を発揮することはできない。政府は、トランシーの遣い手を育成することを軍本部に命じた。
そしてトランシーが軍の内部で普及していくにつれ、オレたち一等兵には各自パートナーとなるトランシーが配属されていったのだ。
紹介が遅れたが、オレの名はジェラルド・ダウンズ。今年で23の歳を迎えるが、こう見えても本部の一等兵である。
そういうわけで、オレにももちろんパートナーとなるトランシーが配属されたわけなのだが。
「…おい」
「ははははは…ははっ、ははは」
「…いいかげんにしろよ」
「……ははっ…はははは」
「……」
この通りだ。オレのパートナーとなったこのトランシーの青年は、完全に頭がイカれてやがる。
彼と初めて対面したのはつい先月だったが、会って一日とたたず、オレはこの青年の不自然さに気付き、凝視した。

ザンバラに切られた白髪に、視点が合わない空虚な目。
ぶつぶつと、わけのわからない単語の断片を繰り返す口。
身体に力が入らないのか、イスに座ったままだらりと投げ出された手足。
体の至る所に乱雑にまかれた包帯と、嫌でも目に付いてしまう右目の生々しい傷跡。

惜しくも顔の造形は美しく整っていたのだが、それも違和感を際立たせただけに過ぎなかった。
その時オレは上官に連れられて彼を収容していた部屋に訪れたのだが、その青年を見た瞬間、開けた扉をそっと閉めてしまったのは言うまでもない。
はっきりいって、第一印象はサイアクだった。
『ちょ、待ってくださいよ、なんでオレがあんなメンヘラ野郎と?』
『文句言うなよ、命令だ』
『いやいやいや、無理ですって無理無理…』
『ああ、そういえば。この青年を無事うまく使いこなせたのなら、お前の昇進も考える、と本部は言っていたなぁ』
『え……それマジっすか』
『ああ、マジだ』
という上官お得意のリップサービスに乗せられた揚句、その直後この青年をパートナーにする承諾を易々と受けてしまった自分の浅はかさが今でも悔やまれる。
あの時、断るべきだったのだ。「こんないわくつき物件なんてイヤ!絶対イヤだかんな!」と、粘り強く駄々こねていれば良かったのだ。それなのに、それなのにオレは…。
「…そして冒頭に戻る、ってやつだ。ああ、畜生!ふざけんなよ、フツーに考えて無理だろうが!こんなイカレ野郎にどうやってトランスさせんだよ!もうわっかんねーよああああああああ」


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