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しにがみふたり(2狩り)
日時: 2011/10/16 15:00
名前: 狂った道化師 (ID: jB.9aKyA)

2狩り「正体」
 道化師が謹慎を破って外に出てから約3時間。屍は仕事から帰り、道化師の部屋に向かっていた。片手には道化師の好物のチョコケーキを携えている。
「やっぱり怒ってるよね……」
室長からの出勤命令を受けたとき、道化師は一瞬だけ私のほうをちらりと見た。

あの目は絶対に怒っているときの目だ。

屍は道化師の部屋の前に立つと、控えめなノックをした。しかし中からは何も反応は返って来ない。
……怒ってるな、うん。
屍はため息をつくと、扉の中へ声をかけた。
「……道化師?チョコケーキ買って来たんだけど、食べる?」
……絶対にコレには反応するはず……。
屍の思いとは裏腹に無人の部屋から反応はあるはずもなく、屍は諦めて部屋を後にした。

 その頃道化師はというと、人間達のいる地上でスイーツを堪能していた。
「無能な人間でも、1つくらいは使えるとこあんのよねー」
周りの人から見れば、軽く引くほどの量をたいらげていく道化師。ようやく満足した道化師は、もちろん人間のお金を持っているはずもなく、代金も払わずに店を出て行こうとした。
「ちょっと、お客さん!?代金払ってよ!!」
店の定員らしき人物が道化師を死神とも知らずに、肩に手をかけた。すると道化師は無駄に有り余っている死神の力を、容赦なく定員にふるった。
「……人間のくせに、触ってんじゃないわよ……」
強大な圧力を受けた定員は耐えきれるはずもなく、その場で存在そのものを消された。

 気まぐれ同然で人間一人を消した道化師は、食後の散歩に出かけていた。公園のベンチで昼寝している猫を見かければ近寄ったり、実に死神らしくない時間を過ごしている。わざわざチョコケーキまで買った屍がこの場にいれば、確実に怒りそうだ。
 道化師がベンチに腰を落ち着けると、一人の少女が近寄って来た。年齢は大体12歳だろうか。髪は2つに結んでおり、下校中なのか赤いランドセルをしょっている。
「おねーさん、誰?」
少女が問う。道化師はこのまま答えていいものか悩んでいると、少女はさらに追及していった。
「人間じゃないでしょ?なんていう名前?」
「!!」
道化師は凍りついた。普通の人間が死神の正体を一目で見破れるはずがない。しかし、この少女はそれを一発でやってのけた。
……何者?
これは下手に正体をばらせばまずいと、道化師はまず少女の名前を聞き出そうとした。
「……人に名前を聞くときはまず自分から名乗るものよ?」
盛大に冷たい目と声を出したが、少女は気にもせずに笑顔で名乗った。
「えっとね、西野美佳っていうの!おねーさんは?」
少女の屈託ない笑顔に、道化師はさらっと偽名を名乗った。
「小西エリカよ」

 その後美佳という人間と話してみて、道化師は1つだけ分かったことがある。
……この子、とんでもなくアホね。
そう思っていい加減に話を聞いていると、美佳はまたもあの質問をしてきた。
「それでエリカさんは何者なの?」
「どうしてそんなこと聞くのかしら?」
……人間の子供っていうのはこんなにもカンがいいものだったかしら。
「うーとね、なんかエリカさんのにおいが……」
「においが?」
美佳はにこっと笑うと、道化師の正体を言い当てた。

「分かった!エリカさん、死神だ!!」



3狩りに続きます。

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