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逸脱の世界deviation world
日時: 2011/10/30 22:54
名前: 未来 (ID: HhjtY6GF)

一応、初心者です。なので、コメントやアドバイスを厚かましいですがお願いします。
内容は“超能力”やら“非現実的”なものが中心です。
ではでは、楽しんで読んでくれたら幸い( 一一)……。








【逸脱/deviation…中心、決められた範囲からそれること】

    その目で、現実を見極めろ─────。


casting>>003
words>>007 >>008


  ─A chapter`1´ Deviation world / 第1章 逸脱の世界─
     >>001 >>002

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Re: 逸脱の世界deviation world ( No.1 )
日時: 2011/10/22 20:56
名前: 未来 (ID: HhjtY6GF)

世界が逸脱して、何日が経つだろうか─────。


地から空へと延びる幾多の黒煙。
人が住む地は紅蓮の炎に包まれ、蒼かったはずの空は黒煙の影響で黒ずんでいる。
当たり前のように歩いていたアスファルトは、罅割れ断層が歪んで地層の断面図が露となり、簡単に歩ける状態ではない。
家々はほぼ崩れ、高層ビルは倒れ、毎日歩いていた商店街は炎の道と姿を変えていた。
港は船が派手に乗り越えて魚市場を破壊し、太平洋には無人の船が何艘も浮いている。
車道には何台もの車がミニカーのように並び、ひっくり返り、見渡す限り現実ではありえない光景となっている。
そして、日本の象徴ともいえる富士山の山肌には、旅客機や戦闘機が何機も墜落し、白と青のグラデーションを崩していた。

どうして、こんな事態に陥ったのだろう。


我々人間が、背徳的な行動を起こしたからか。いや、違うだろう。


地球の寿命か。いや、違うだろう。


神の悪戯か。いや、違うだろう。


『理由はない。』それが答えだ。今はそうしておこう。
この未曾有の事態で各国は防衛対策を練ったが、ほとんど意味のない行為であった。
どこが始点かさえ分からない。どうやって防衛しろというのだ。
やがて、時間が経つにつれて国々は崩壊の道を進んで行き、地球は姿を腐へと遂げて行く。






























せめて、それだけで終わってほしかった。































なのに、逸脱の連鎖はそれだけでは収まらなかった。


  ******


罅割れたアスファルトから噴き出す高温の熱風。
『逸脱の日』を迎えて1日が経ち、東京も光景が変貌していた。
すでに一般市民は逃げたのか、街の周囲を見渡しても人影一つ見当たらない。
しかし、そんなゴーストタウンと化した東京渋谷のスクランブル交差点を横切る複数の人影が見えた。

「右OK、左OK。直進して、目の前の建物に入れ、そこで休息するぞ。」

深緑のヘルメット、迷彩柄の防弾服の上から防弾チョッキを着て、片手にはライフル。腰には種類様々の手榴弾。そして、真剣の日本刀。
そんな服装の4人は、ライフルを構えながら辺りを警戒しつつ、目の前の高層ビルに入った。
エントランスのガラス扉は割れ、地面のガラスを音をたてながら進んでいく。
建物内に入り、ライフルに搭載されているランプを付けて辺りを見渡す。
“危険物”がいないことを確認すると、4人は安堵の息を漏らしてライフルを握る手から力を抜かした。
「今日はここで一夜を過ごすぞ。」
隊長格と思われる年配の男性は3人に言うと、ガラスの破片に砂が塗れたソファーに座りこんだ。
と、その直後に隊員の一人である高校生ぐらいの年齢と思われる若い男性が、隊長格の男性に駆け寄ってきた。
「石嶋隊長、僕の自宅がこの付近なんです…その……もし、良ければ寄りたいのですが……少し!!少しだけでいいので。」
「駄目だ。そんな質問するんじゃない、お前も身に染みているだろう?そうやって私情を持ち込み、仲間たちが死んだ。」
日本精鋭防衛特殊進撃部隊第2班の隊長、石嶋真一郎は穴だらけの朽ちた天井を見つめながら言う。




           ━日本精鋭防衛特殊進撃部隊━




それは、「逸脱の日」を迎えて構成された自衛隊の上をいく特殊自衛隊。
国内で選ばれた人間たちが政府に招集をかけられ、その部隊は出来上がった。全部で5部隊。
しかし、その内4部隊はすでに通信が途絶えて生死不明。
唯一、彼ら第2班だけの生死が衛星写真を通して確認されている。
彼ら第2班の目的は、この状況の根源の捜査と残った市民の救出。そして、“敵”となる存在を殲滅すること。


だが、彼らが顔を合して、まだ約1日半しか経っていない。


人々の絆や信頼は、そんな短時間で深まり強くなるものではない。
でも、そんなことは言ってられない。
待つのは“非現実的な現実”と“絶望と闇に埋もれた世界”だけ。







        その目で、現実を見極めろ─────。












  そして、生き延びろ─────。

Re: 逸脱の世界deviation world ( No.2 )
日時: 2011/10/24 19:10
名前: 未来 (ID: HhjtY6GF)


  〜箱丸 優 side〜


朽ちた建物の奥、恐らく会議室か何かだろう。室内にはホワイトボードにロングテーブルが規則正しく並んでいる。
僕は、同じ班で一番仲の良い若森大地とこの部屋で休息をとることにした。
ライフルをテーブルの上に置き、背負っていた迷彩柄のリュックサックを乱暴に埃まみれの床に投げ置いた。
大地も同じようにし、リュックサックからパソコンを取り出してコンセントを繋ぐ。
「さ〜ってと、新しい情報は……ないか…………」
大地はパソコンの画面を見て、やや暗い表情を見せながら呟いた。
「ネット繋がってるの?」
「んあ?繋がってねえよ、俺の“超能力”忘れたのか?」



 そうだった。また、忘れてしまった。



気を抜いたら忘れてしまいそうだ。
僕たちは進化を逸脱した。人間であって人間でない存在。
ハッキリ言って、今、この状況は夢のようである。つい約1日半前までは、僕はただの高校生だったのだから。
目の前でパソコンをいじっている大地だって、同じだ。

まだ、僕たちは普通の人だった。




 ******


「逸脱の日」前日


まだ、空が青く白い雲があった頃。
都立陵駕高等学校は、この日も通常通りの授業を進め、生徒たちは平和な学校生活を過ごしていた。
当たり前のように、周りにいるクラスメイト。廊下に出れば、顔見知りの生徒やちょっと可愛い女子生徒がいる。
嫌いな授業は寝てサボり、好きな授業は積極的に受ける。昼休みは、友達と弁当を一緒に食べて談笑で盛り上がる。
そんな毎日の繰り返し。たまに、明日は何か起こるかもって思っても、結局は今日は何も起こらない日々。
しかし、あの日だけは違った。

ガラガラガラッ──────…………

僕が嫌いな現代文の授業中、教室の扉が突然開き、スーツ姿の男女が教室に入ってきた。
「失礼します。政府の者です。このクラスにいる箱丸優君を緒形総理の許可を得て、強制連行させてもらいます。」
スーツ姿で華奢な体のインテリ男性は、単調な口調で授業中の教師に言い、クラスの一番後ろの席のグラウンド側に座る僕を見た。
男性は僕を見るなり、明らかに作り笑いと分かる笑みを浮かべて、ゆっくりと歩み寄ってくる。
「さぁ、優君。一緒に来てくれ、一刻の猶予もないんだ。」
男性の後ろには、同じくスーツ姿でポニーテールの若い女性が立っている。
その女性の表情から、僕は物凄い寂しさと孤独感を感じた。
歩み寄ってくる気味の悪い男性よりも、なぜか後ろにいる寂しそうな表情の女性に視線が向いた。
「ちょ、ちょっと、困ります!何ですか急に!?」
教台にいた眼鏡をかけた現代文の教師は、男性に駆け寄り右肩を掴む。
クラスの中はいつの間にか静まり返り、僕以外の全員は男性と教師を目で追う。
「申し訳ございません。手を離していただけませんか?」
「政府の者?一体何様だ、何の理由があってズカズカと…………」
教師が右肩を掴む手に力を入れた、その時だった。

「邪魔する者は、排除できる許可も得ていますよ。」

男性は不気味な笑みを浮かべると、教師の手を払いのけ、教室のど真ん中で回し蹴りを喰らわした。
蹴りは教師の腹部に直撃し、悲鳴にならない声を出した瞬間に吹っ飛んだ。


「き、きゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


女子生徒の悲鳴声で、クラスの中にいた全員が廊下に逃げ出す。
しかし、その中でラグビー部の主将である近藤秀明、僕の友人である武井勇次郎だけが残った。
吹っ飛ばされた教師は、机を薙ぎ倒しながら床に叩きつけられ、頭から血を流して気を失った。
男性はそんな酷い行為を起こしながらも、無表情で再び僕の方を見た。
「早く行こう、犠牲者が増えるよ。」

「行くんじゃねえ!!優!!」

茶髪で見るから不良の勇次郎は、僕に叫んで言う。
「川野先生を……。」
秀明は床に横たわる現代文の教諭、川野の名前を呟き、男性に向かって得意のラグビー部のタックルを喰らわせる。
「図体だけの木偶の坊が。引っこんでろ。」
男性はスーツの袖口から仕込んでいたスタンガンを取り出し、タックルを避け、秀明の首にスタンガンを押しつけた。
「あがっ!?」
バリバリッっという電気音とともに、秀明は気を失い床に倒れる。
「う……な、なんだよ…………お前……」
勇次郎は一瞬にして秀明を気絶させた男性を見て、思わず後ずさる。
僕は未だに何もできず、その時はただただ椅子に座ったままだった。
勇次郎は唇を噛み締めると、近くにあった傘立てから傘を取り出し、構えて男性に向かって走り出す。
男性は余裕の笑みを見せ、呆れ溜息を吐くと、振り下ろされた傘を片手でキャッチした。
「悪いことは言わない。早く、逃げなさい。」
「ダチ置いて行って逃げれるかよ!!ざけんな、インテリ野郎!!」
勇次郎は傘から手を離し、素早くパンチを男性の腹部に喰らわせる。
が、その直後に、通常では起きないことが起きた。




「……あ……れ…………?」




男性の体が煙に変わり、勇次郎は煙に変わった男性を通り抜けた。
「悪い子は、寝てなさい。」
男性は川野同様、バランスを崩した勇次郎の背中に強烈な蹴りを喰らわせた。
勇次郎は教卓を倒し、黒板に叩きつけられて床に倒れた。

「もう、大人しく連行されなさい。」

今まで一言も喋ることがなかった女性が、勇次郎が倒された瞬間に口を開いた。
「そうだ。大人しく来い。」
男性も、女性の言葉に続けて言った。
僕は何も逆らえず、ようやく席を立ちあがって男性に歩み寄る。
「大丈夫だ。君は選ばれたんだから、生き残る確率はそこらの餓鬼よりも高い。」
この時、まだ僕はこの言葉の意味が分からなかった。
だが、すぐに知ることになった。「逸脱の日」を迎えてから、僕は男性について行ったことを後悔した。







不気味に言った男性の体からは、まだ黒い煙が湯気の様に出ていた。

Re: 逸脱の世界deviation world ( No.3 )
日時: 2011/10/27 20:06
名前: 未来 (ID: HhjtY6GF)

日本精鋭防衛特殊進撃部隊第2班……「逸脱の日」に備えて“特殊な人間”で構成された自衛隊の上をいく軍隊。



【石嶋 真一郎 / イシジマ シンイチロウ】
 能力:精神会話…相手と心の中で会話ができる。
  日本精鋭防衛特殊進撃部隊第2班隊長。元は警視庁刑事課捜査一課に勤務していた警部。年齢40歳。
  年齢を忘れさせる別格の戦闘能力を持つ。厳しくも仲間思いの一面もある。
  「逸脱の日」の前日、警視庁で事件のファイルを処理中に政府から強制招集をかけられた。
  妻と娘、息子がいるが安否は不明。家族を見つけ出すため、世界を救うために隊長として前向きに進んで行く。


【箱丸 優 / ハコマル ユウ】
 能力:未来視…1分後の未来を見ることができる。
  主人公。日本精鋭防衛特殊進撃部隊第2班戦闘隊員。元は都内の都立陵駕高等学校2年生。年齢17歳。
  戦闘隊員だが、暴力を嫌う平和主義者。優しすぎる性格から、石嶋から「一番悪に堕ちやすい」と言われている。
  「逸脱の日」前日、学校で授業を受けているところを政府から強制招集をかけられた。
  両親、弟、姉がいるが安否は不明。班内で最年少の隊員。


【西沢 洋子 / ニシサワ ヨウコ】
 能力:超聴覚…人並みよりも優れた聴覚を持つ。
  日本精鋭防衛特殊進撃部隊第2班副隊長。元は海上自衛隊軍艦‘英雄’の副艦長並びに少佐。年齢30歳。
  長身で見た目はモデルに並ぶほどであり、戦闘能力は石嶋と並ぶほど。
  「逸脱の日」の詳細や存在は3年前から知っており、班内では誰よりも前からこの状況になることを知っていた。
  そのせいか、行動中は冷静で無駄のない動きをする。両親はすでに政府の用意した安全区域に避難している。
  安全区域への避難を許されなかった彼氏を捜すために奮闘する。大地とは仲が悪く、優のことは弟のように慕う。


【若森 大地 / ワカモリ ダイチ】
 能力:電波解読…飛び交う電波を読み、情報を収集する。
  日本精鋭防衛特殊進撃部隊第2班通信士。元はニートで毎日家でパソコン生活を繰り返すダメな男性。年齢25歳。
  年齢が一番近い優と仲が良く、「逸脱の日」の存在を知っていた西沢とはよく喧嘩する。
  「逸脱の日」前日、秋葉原の漫画喫茶で漫画を読んでいるところを政府から強制招集をかけられた。
  両親はともに5年前に他界。兄は政府で働いているが、両親が死んでから一度も会話を交えたことがない。
  ダメな自分を変えるため、ダルそうにも積極的に戦闘に参加する。


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