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- しにがみふたり(3狩り)
- 日時: 2011/10/24 10:58
- 名前: 狂った道化師 (ID: MCeIcGNV)
3狩り「恐怖」
「分かった!エリカさん、死神だ!!」
あの後道化師はすぐさまあの少女を始末した。何度も何度も、鎌を小さい体に振り下ろした。
……こんな人間がいるなんて聞いてないわ……。
血にまみれた鎌の動きを止めた。目の前には無残な少女の死体が転がっている。
そろそろ部屋に戻ろうかと、道化師はクルリと背を向けた。
その後ろ姿は、どれほど後ろにいる者に隙だらけに見えただろうか。
後ろにいる、死体には。
「死神って、ホント、横暴なんだね?……すぐに鎌で始末しようとする……。」
「……。」
道化師は声を出すことが出来なかった。なぜならば、あの少女にのどを切り裂かれていたからだ。
「いくら死神でも……これなら死ぬんだね?感謝してほしいね?やあっっと、君は死ねるんだから。」
ここに、先ほどまで会話していた少女の姿はない。
いるのは、日本刀を持っている15歳くらいの少女。
そして、変わり果てた姿をした道化師の姿。
「これからはあたしが死神の代役をしてあげるんだね?組織となった死神なんて、ただのお荷物だね?」
少女は嗤う。いつかの道化師のように。
道化師は喘ぐ。いまだかつて味わったことのない痛みを感じて。
「道化師と屍。初めて死神となった君たちだけで鎌をふるってくれていたらよかったのにね?何でお仲間を増やしたのかな?」
最後の力を振り絞って、道化師が少女の服をつかんだ。しかし、少女はそれを冷たくふりはらった。
「どっちにしろ君たちは用無しだね?後でお仲間も送ってあげるから、安心して逝くんだね?」
この日、この世界に存在する死神たちはたった一人の少女によって滅ぼされた。
人間たちは、このことを知らない。
最初、この世界には死神は二人しかいなかった。それが時が経つにつれ、組織となり、大勢の死神たちが人間を始末していった。
最初の死神、道化師と屍。しにがみふたりはなぜ仲間を欲したのか。
それは、ふたりにしか分からないことだ。
しにがみふたり 完
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