ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ブバルディア 〜幸福な愛〜
- 日時: 2011/12/06 20:25
- 名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: P7KUxYiI)
はい、どうもこんにちは、九龍と申します。
また、前作で挫折しました。申し訳がありません。
今回は完結させると、誓いたいです。僕に(←
ホラー小説です。ジャンルはホラーであれば、色々です。
*注意*
・僕が嫌いな人は、帰った方がいいです。
・ホラーが苦手という人は、あまり見ない方がいいかもしれません。
・恋愛も混ざってます。
・荒らし・チェーンメールはおことわりです。
こんな僕に付きあってくださる方へ。これから宜しくお願いします。
目次
登場人物>>1
プロローグ>>2
第一話>>3
第二話>>4
お客様
ケーキ様
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- Re: ブバルディア 〜幸福な愛〜 ( No.5 )
- 日時: 2011/12/05 20:30
- 名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: dTsoj7JH)
第一話『出会い』
「俺と、ずっと一緒にいてください」
ほのかに熱を帯びた、その口調。
そして、ここちのよい、男性らしい低音の声。
それが、頭の中でぐるぐる、ぐるぐる回る。
どうして、こんなことになったんだろう。
目の前にいる青年は、真っ黒な学ランを着ている、端整な顔立ちをしていた。
黒い髪はサラッとしていて、綺麗な肌をしている。
黒い目がじっと僕を見つめる。僕は俯きながら、何があったんだ、と心の中で呟いた。
ここは墓地。墓石がいくつも立っていて、その前には、色とりどりの花束や、燃え尽きた線香がある。
冷たい風が吹く。木の墓地を囲む木の葉っぱが、ぶつかり合う音がする。
森に囲まれた、不気味な墓地。
そんなところで、こんな台詞を、しかも僕に言うとは。
僕の手を包む、温かく、大きな手。
甘い言葉を紡ぎ出す、その口。
手にぎゅっと握らされた、ブバルディア。
全てが、夢だと思いたい。
だって、僕はゾンビなんだから。
人間に、こんなことを言われたのは、初めてなんだから。
しかも、相手がこんなに綺麗な青年なんて。
僕は右半身は人間、左半身はゾンビ。
左半身は、普通の人間と同じ。
右半身は、腐ったゾンビ。
人間の弾力性のある肌とは違い、それは、泥の様な色をしている。
色だけじゃなく、感触も泥のようだ。
ゾンビの方の肌は、やわらかく、今も手の指が、全てくっつきそうだ。
彼が手に力を入れれば、僕の手は、どろりと彼の指の間からあふれだすだろう。
こんな僕が、僕とは正反対の、あんな綺麗な青年に、あんなことを言われるなんて。
「これは、夢ですか?」
顔を上げずに、僕の手を握ったままの彼にそう聞いた。
「夢……?」
彼は、不思議そうに、僕の言った言葉を繰り返す。
僕が顔を上げると、彼は優しく微笑んで、言った。
「そう思いたいなら、そう思えばいいよ。これは、夢だって」
彼の黒い目が、月明かりに照らされた。
その眼には、どこか、毒が混ざっているような気がした。
「覚めることのない、悪い夢だと思えばいいのさ」
彼は、小声でそういった。
まるで、動揺している僕をなだめるかのように、そういった。
- Re: ブバルディア 〜幸福な愛〜 ( No.6 )
- 日時: 2011/12/05 21:07
- 名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: dTsoj7JH)
第二話『戸惑い』
青年は、僕の右手首を強く握った。
そして、そのままどこかへと歩き出す。僕の頭には、青年の手を振りほどくということなど、なかった。
僕の頭は、ごちゃごちゃとしていて、整理がついていなかったのだ。
「離して」
なんて、叫ぶこともなかった。言葉なんて、出なかった。
ただ、驚きと、戸惑いだけが頭を支配していた。
ずっと過ごしていた墓地が、どんどん離れていく。
墓石も、今は小さすぎて、どれも同じように見える。
いつもは、線香や花で墓石を見分けていたけど、花も線香も、点に見えるくらいのところまで、歩いてきた。
僕等が足を地面に落すごとに、枯れ葉が乾いた音を立てる。
それが、なんだかものすごく、不安で寂しい。
だけど、僕は青年の手を振りほどかなかった。
しばらく歩いていたら、森を出てしまった。
月明かりだけに照らされていた墓地とは、大違いの世界。
電燈に照らされた、堅い道路。
人はいない。もう、人達は寝てしまったのだろうか、周りの家の電気は付いていなかった。
やわらかい土の上にあり、月の光だけを明かりとしてきた僕には、この世界はあまりにも、刺激が強すぎる。
生前に、こういうところに住んでいて、普通にこんな光景を見たにもかかわらず、僕は目を堅く閉じた。
その後のことは、何も覚えていなかった。
多分、混乱と不安と、戸惑いが膨らんで、他のことなど気にすることはできなかったのだろう。
目を覚ますと、ふわふわの白い布団が体の上にかかっている。
勢いよく飛び起き、自分が寝ていたところを見ると、枕と布団が置いてあるベッドがあった。
ベッドには、僕の腐った肉が落ちている。
汚しちゃったな、なんてことは考えていられない。
それより、重要なことが一つだけ。
ここは、いったい、どこなんだ?
- Re: ブバルディア 〜幸福な愛〜 ( No.7 )
- 日時: 2011/12/05 21:21
- 名前: ケーキ (ID: blFCHlg4)
ブバルディアって花の種類なんですか。タイトルに惹かれました^^
スムーズに読めました^^先が楽しみです。
- Re: ブバルディア 〜幸福な愛〜 ( No.8 )
- 日時: 2011/12/06 20:21
- 名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: P7KUxYiI)
ケーキ様へ
初めまして。
ハイ、ブバルディアって花の名前なんだそうです。
タイトルが、シリアス系にあるまじきタイトルだったり。
コメント、ありがとうございます。
- Re: ブバルディア 〜幸福な愛〜 ( No.9 )
- 日時: 2011/12/10 13:07
- 名前: 九龍 ◆vBcX/EH4b2 (ID: 98Nvi69E)
第三話『混乱』
ここは、僕の住んでいた墓地とは、あまりに環境が違った。
僕が寝ていなければ、きっと、清潔だったろう、おひさまの匂いがする布団。
そして、シーツがキッチリしいてあるベッド。
土の匂いがしない。線香の匂いもしない。
窓際に小さい机といすがある。どちらも白いもの。
窓にはカーテンがある。厚手のレースのカーテン。
床はフローリング。冷たくて、ちょっと硬い。
こんなもの、墓地にはなかった。
彼等にとっては普通の物が、僕にとっては混乱の原因となる。
そして、さらに僕を混乱させるものがあった。
小さな机の上に置いてある、大きな手。
その手は、手首が机に生えているような感じで、その光景に違和感を覚えるはずなのだが、何故か、それが自然な風に見えた。
机から手が生えてるなんて、墓の下ぐらしの僕にとっても、非常識だ。
その手は大きくて、爪には赤いマニキュアが塗ってある。
まつ毛のような物が、手の甲にひとつ、手首には9つある。
皮膚は白い。なんだか、病人みたいに青白い。
なんで、こんな物が部屋の中に置いてあるんだろ。
そう思っていると、部屋のドアがいきなり、大きく開く。
ドアが壁にぶつかり、大きな音を立てた。その音を聞き、僕はビクッと肩を震わせた。
何事かと思いながら、いつもより早く動く心臓を落ちつかせようと、胸を撫でる。
「あ、ごめん。びっくりさせちゃったー?」
ドアが閉まる音がした。
今度は、大きな音じゃなくて、ゆっくり、ゆっくり閉まる音。
誰かが、こちらへ近づいてくる。
「ねー、聞こえてる……?」
肩をたたきながら、誰かがそう聞いてくる。
僕は胸を撫でるのを続けながら、恐る恐る、後ろを向いてみた。
すると、そこには、僕の腕を引っ張ってここまで連れてきたのであろう、あの青年。
どうしよう、何この人、なんのために僕をここに連れてきたわけ?
ここ、何処? 僕は帰れないの? 土の匂いが恋しいよ。
いろんな思いが交差して、頭がぐるぐるになる。
先ほど、青年からなにか聞かれたような気がするが、それに答えられるほど、僕は落ちついていない。
「……あの、大丈夫?」
そう言われた時、僕の混乱と戸惑いと、恐怖も、全てが混ざって爆発した。
その時の僕の頭には、きっと、恐怖と混乱しか、残ってなかった。
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