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- 檻
- 日時: 2011/11/25 22:50
- 名前: ゆう (ID: 3eop5mZb)
はじめまして!ゆうです。
もしかしたら(超)お久しぶり!て方もいるかもしれません。
「魔法が使えたら…?」を書いていました!
今回は短編集になるかも??
ではでは、どうぞ!!
目次
【どっち?】
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- Re: 檻 ( No.1 )
- 日時: 2011/11/26 21:30
- 名前: ゆう (ID: 3eop5mZb)
【どっち?】
「さぁ、貴方の命の終わりの日……とうとう明日よ。言い残すことは無い?」
目の前にいる少女。年は、14ぐらいだろうか?
柵を挟んで首に繋がれた鎖を引っ張る。
「言い残すこと?そうね……そんなに無いけれど。せめて言うなら、アンタなんてこの世に必要とされていない人間よ、ってことかしら?」
「ッ!」
鎖を引っ張っている手が思わず強くなる。
——14歳の少女……マナは悪逆非道の姫に無礼をして、殺されることになっていた。
悪逆非道の姫、ラナは自分に無礼を果たしたものを次々と殺していく。
そして、とうとうマナがそれにかけられることになった。
「……時間よ」
ラナは怪しく微笑む。それには誰もが『悪』を感じる黒い笑みだった。
だが、勇ましくもマナはそれに対しビクリともせずに牢屋から出る。
「……その生意気な態度、さらすなら今のうちよ」
「? 必要ないわね。その醜い性格をさらしたほうが貴方の為じゃないかしら??」
二人とも笑みを浮かべている。
今から死ぬというのにマナは『恐怖』を少しも感じていなかった。
「最後に。姫、貴方はこれを続けるおつもりですか?」
「? 当たり前でしょ?私は気高いこの王国の姫。その私に無礼をしたなら死ぬのが普通」
その言葉を聞いてマナはニヤリと口を歪めた。
「その言葉。お忘れにならないように。……私が死んで一週間後、貴方は混乱し、そして朽ちる」
「ッ! 何ですって!?」
ラナは声を荒げる。そして、兵士を呼んだ。
「コイツを今すぐ処刑なさい!」
「ですが、まだ時間まで三十分ございま……」
「早く!今すぐよ!!」
「は、はいぃ!」
兵士は仲間の所へ飛んでいく。
「……私を許せなくなった?あぁ、残念ね。貴方の死までの期限(タイムリミット)が少なくなってしまったわね」
「冗談もいい加減になさい。ここで私が殺すわよ」
そういって、懐からナイフを取り出した。
食用ではなく、刃のついたナイフ。きっと、兵士たちの部屋から盗んだんだろう。
「姫がそのようなことをしては、今すぐ姫が朽ちてしまいます」
「うるさい!そんな憎まれ口とももうおさらばね。じゃあね」
「姫こそ。サヨウナラ……」
ラナはナイフをマナのお腹に突き刺した。
赤い血が流れる。古びた布はそれをどんどんと吸収していく。すぐにマナの服は赤く染まってしまった。
「ふふ……なんとも無いじゃない」
後は一週間後……ラナは、微かにこのマナの声がしたように思えた。
—— 一週間後。
また、幼い少女を処刑しようとしている。
今回処刑にかけられる少女はマナによく似ていた。
「……言い残すことは無い?」
「貴方は、今ここで朽ちる」
そう少女が言った途端……ラナは頭を抱え込んだ。
「? 私が閉じ込めたのに……どうして?どうして私が閉じ込められているの?」
ラナの後ろには壁。目の前には柵。
「……タイムリミットよ……姫」
マナによく似た少女……いや、マナだろうか?マナは指をパチンと鳴らす。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ラナの悲鳴が城に木霊した。それは、誰にも聞こえない。
「閉じ込められていたのは貴方の方だったのよ……姫」
END
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