ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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Nice to meet you,and Good bye.
日時: 2011/11/29 18:45
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

 こちらでは初めまして、伊莉寿イリスという者です。主に二次で活動しています。
私が以前書いた物をリメイク(ほぼ同じかも知れませんが)して投稿しようと思い、このスレッドを立てました。
感想等、下さると嬉しいです。

*注意*
・短い。
・駄文で急展開。
・誤字、脱字には注意していますが、あるかもしれません。
・荒らし等はお戻りください。マナーを守りましょう。

以上の事を許せる、守れる方はお進みください。


+character+

名前:冬堂 有紀 (トウドウ ユウキ)
職業:中2男子
サッカー部キャプテン。思いやりがあり、鈍感。僅かながら霊感がある。

名前:水守 瞬 (ミズモリ シュン)
職業:中2男子
元・陸上部エース。有紀の幼馴染で影響を受け、2年になってからサッカー部に入る。

名前:姫雷 風花 (キライ フウカ)
職業:中2女子
陸上部女子のエース。驚異的な足の速さを誇る。有紀と瞬の幼い頃の友達で、家が中華料理店。味覚が変だった。

名前:東 冴香 (アズマ サエカ)
職業:保健室の先生
冬堂達が通う中学校の保健室の先生。6年前から務めている。

サッカー部マネージャーS
・天野 莉子(1年) ・花園 晴香(2年)


主にこのメンバーで進みます。

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Re: Nice to meet you,and Good bye. ( No.1 )
日時: 2011/11/29 17:39
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)


*プロローグ*


世界を変えようとしなくても、———鐘の音は鳴り響く———


変わらない事を望んでも、———まるで導く様に———


自分の世界が一瞬にして変わってしまう事がある…———もしも従ってしまうのなら———



人間は誰しも、闇を抱えずに一生を終える事などあり得ない———貴女は———


その闇を抱えるわずかな時間のあいだに———知っているのですか?———










自分の人生を、その闇に染めてしまう事が無いように…———引き返せなくなることを———






サッカー部メンバーは結構純情で幼かったりする。 ( No.2 )
日時: 2011/11/29 18:14
名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)

第1話


彼女にとっての何気ない日常は、少しずつ色付き始めていた———。

「おはよう!」
「!おはよう風花ちゃん。今日も練習見に来たの?」


 薔薇色に近いものへ。

「正確には水守さんを、ですけど☆」
「「莉子ちゃん!!!」」

 何気ない日常の1ページ。
 制服に身を包んだ少女は、サッカー部でも無いのに朝練の様子を見に来ていた。マネージャーの晴香と挨拶を交わし、同じくマネージャーの莉子にからかわれ、それでも自身の入部する陸上部の朝練が無い日はほぼ毎日訪れている。そんな彼女の名は、姫雷風花。サッカー部の冬堂と水守の幼い頃の友達で、中華料理店の娘。
 恋愛経験、ゼロ。

「冬堂君、まだ来てないの?」
「そうなの^^;」

 と、会話を交わしているとようやくダッシュで走って来る姿が見えた。監督に遅れてすいません、と報告している姿が見えるが困っている様子。どうやら遅れた理由を聞かれているらしい。

「何で遅れたんだ?」
「え〜と〜、うーん……」

 準備運動をしている他の部員たちの視線も集まって来た。冬堂は必死に考えている様で、そして決心がついた様に話す。

「父さんが新聞を読んでて、それに気になる記事があるって俺に自分の考えを聞かせ様として、何とか逃げて来たんです。話、絶対長くなるって思って…そしたら父さんもなかなか譲らなくて。」
「気になる記事?」

 突っ込まないでほしかったな、と言う顔で冬堂がまた考え込む。恐らく記事がどんな物だったか思い出しているのだろう。
 ヒントとなる言葉を並べてみた。朝食の席で父親が読んでいた新聞、ようやく犯人が捕まった事件、中学生…。



「!サンザシ事件!!!」

 冬堂が口に出した事件名に、部員全員がハッとした。有名な事件である。

「連続殺傷事件だな…」
「犯人として昨日女子中学生が捕まったって…」

 口々にそう言う部員達に、監督はさっさと練習を始めろ、と注意した。冬堂も理由を言った為解放される。

「サンザシ事件ですか〜」
「莉子ちゃん、そう言えばサンザシって何??」

 風花が尋ねると、莉子は今更ですか、と半ば呆れながら教えてくれた。

 サンザシとは、事件現場に必ず落ちている赤く小さい実から付けられ、その実の正式名称はヒマラヤトキワサンザシ。似たような事件の際に続けて落ちていたことで、連続殺傷事件だと警察は認識した。

「何でも赤い実は血の海に落ちているとか…」
「あっ、朝からそんな事言わないでよッ!!!!」
「でも風花さんが聞いたんじゃないですか〜☆」

 こういう系苦手な風花と、別に苦手でも無い莉子との温度差。

「……サンザシ。」


 莉子が晴香と話しだすと、風花はそう呟いていた。




「瞬!弁当一緒に食おうぜ!!」
「ああ…、風花も行くか?」

 お昼休憩が始まった頃、水守に誘われて一瞬きょとんとした風花だったが…もちろん笑顔で「行く!!」と答えていた。
 校庭か教室か屋上か…冬堂、水守、風花がじゃんけんをして風花が勝ち、屋上に決まった。風が冷たく気持ちが良い屋上へ行くと、風花から自然と笑みが零れる。彼女は頬を撫でる風が好きで、水守が陸上部で無くなっても走ることを辞められない。
 お弁当も作る彼女の家「風雷堂」の娘、さすがにお弁当は自分で作る。中華関係なしな弁当だが、彼女は中華に見飽きてしまわない様に、あえて中華を避けているらしい。
 幼馴染み…と呼べるのだろうか、3人で昼ご飯を食べると幼い頃に戻った様で懐かしく楽しかった。風花がデザートの梨を2人に分けると、幼い子供の様に目を輝かせていた。
 弁当を食べ終えた冬堂と水守が、屋上の策に寄り掛かって町を眺めながら話をしていた。話は途中でそれてそれまくって…サンザシ事件に。風花にも内容が少し聞こえて、昼ごはんの時間なのに、と不満が呟きとなって漏れる。

 前に晴香に言われた。
 練習中、ずっと水守君のこと見てるね、と。そうでも無いと思っていたが、気付けば練習中のシーンには瞬が映っていた。ほとんど。すると晴香は、それが好きって事だよ、とくすくす笑いながら言ったのだ。そう言われてから急に恥ずかしくなって縮こまったりする事があっても、彼と一緒に居る時間が華やかに思えるようになった。
 楽しいと思う。
 言われた時のことを思い出して顔が熱くなるのを感じた。…と、何か舞っているのが視界に映る。

「…ん?」

 自分の少し上を舞う、蝶。一瞬、アオスジアゲハかと思ったが違う。青くない。

「黒と赤の蝶…?珍しい…」

 手を伸ばそうとして固まった。突然蝶が増えて円を描く様に舞ったかと思うと、視界が歪みだす。頭痛が止まなくなり頭を抑えると、闇に染まって行く視界に光を見出そうとした。

 届かない、光に手が届かない…。
 遠くで水守が自分を呼んでいる声が聞こえる。背中が打ちつけられた時には体に力が入らなかった。アスファルトの感触に、倒れたんだとぼんやりした頭で理解する。でも理解したからと言って何か出来る訳でも無かった。


 遠ざかる意識、狭くなっていく視界…瞬の顔。その奥で、黒と赤の蝶は舞い、静かに消えて行った。



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