ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 夕暮れヶ丘一丁目
- 日時: 2011/12/08 17:57
- 名前: 新咲 梁 (ID: VJEgN8CS)
なんか・・・違和感。
例えば、必要最低限の家具しか置いてない部屋。
例えば、肉じゃがの作れないお母さん。
なんか、ほら。気持ち悪いじゃん。
そんな部屋とかに入った瞬間「?」ってなるでしょ?
自分の部屋になれてるから。
彼女、加賀紅衣の第一印象はそんなかんじ。
登場人物紹介
笠田 碧 (10) ♂
5年前に引っ越してきた。
加賀 紅衣 (9)♀
4年生の春先に転向してきた。
原田 茜 (9) ♀
碧の同級生。夕祈の幼なじみ
寺河 夕祈 (9) ♂
碧の同級生。
Page:1
- Re: 夕暮れヶ丘一丁目 ( No.1 )
- 日時: 2011/12/08 18:08
- 名前: 新咲 梁 (ID: VJEgN8CS)
#1
「はじめまして。加賀紅衣です。」
珍しい春先の転校生は、少し恥ずかしそうに微笑を浮かべた。
教室はどよめきたっている。
彼女が居るだけで雰囲気が違うのだろう。
いろいろなところから、「あーあ、女かあ」とか「女の子!可愛いなあ、いいなあ」などという様々な声が聞こえてくる。
先ほど嫌みを言った男さえも少し嬉しいのか口元が上がっていた。
とにかく好印象。
けど、夏になっても俺はなんだか加賀が好きになれなかった。
一番男にモテた加賀。
一番の人気者の加賀。
そんな、みんながうらやましがるような位置にいて、けっして威張らず優しい。
だれもが大好き加賀。
そんな彼女を、僕は「気持ち悪い」としか思えなかった。
作り上げた薄っぺらな笑顔とか。
猫をかぶってにゃんにゃんにゃん。そんな優しさとか。
嗚咽がする。
喉に粘り着くような不快感。
ねっとりして、「それ」は5時間目までとれなかった。
「碧くん。」
加賀は僕の方を見て少し恥ずかしそうに目を伏せた。
「・・・なに?」
初めて話しかけられた。
「碧って、呼んでも良い?」
うしろで茜たち女子がキャーキャーいいながら俺達を見ている。
真っ赤な教室に二つ並ぶ影がゆったりと伸び始めるのも、なんだか気持ち悪くてまた気持ち悪さがこみ上げてくる。
「(…罰ゲーム?)別にいいけど」
女子達の高い声がさらに大きくなって、モスキートーンまでいきそうだ。
「ありがとう・・・!」
ああ、このこ、気持ち悪い。
- Re: 夕暮れヶ丘一丁目 ( No.2 )
- 日時: 2011/12/08 21:06
- 名前: 新咲 梁 (ID: VJEgN8CS)
「ねえ、みんな好きな人いる?」
放課後、ひっそりと聞こえてきた女子の声。
まあ、当たり前の質問。
聞いてはいけないものだとくるりと方向を変える。
別に、給食袋くらいどうでもいい。
2,3日洗わなくともパンと違って腐りはしない。
「私は碧君が好きだな。秘密だよ?」
聞こえてきた声の主はきっと加賀だろうか。
「笠田君かあ〜確かに、Sっぽくていいよね。」
他の女子の声も聞こえてくる。
嗚呼。先生、先生。
助けてあげて下さい。
可愛い可愛い加賀さんは、原田さんを虐めています。
ああ、哀れな加賀さん。
イジメなんて醜いだけなのに。
顔が汚ければ性格も汚いのか。
なんて。
きっとみんなは知らないんだろうな。
仲よしこよし4年3組でイジメが起こってるなんて。
きっかけは些細なことだった。
運動会で、「元」人気者の田辺さんがこけたのを原田のせいにしたからさ。
それももちろんみんな大好き加賀さんが。
きっと今も楽しい楽しい晩餐会。
嫌がる豚の皮をはがしてみんなでぺろぺろ。
星なんかも飛んじゃって。
ついでに意識も飛んじゃって。
嗚呼豚さん豚さん哀れな子豚。
醜いアヒルにぺろりと食べられるのね。
嗚呼、アーメン哀れな子豚
***別館に移動します//
Page:1
この掲示板は過去ログ化されています。