ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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ゴミと生きてやるさ、勿論。
日時: 2011/12/13 15:28
名前: 塵 (ID: yAL.k7HO)



物心がついた頃から
このゴミだめの町にいた

毎日毎日誰かが死んで行く
イカれた町だ

俺達ゴミ同然の人間は、毎日毎日
ゴミの中から珍しい物を探し出し、売って
そのはした金で生計を立てる

当然そのはした金を奪い合う事なんて日常茶飯事だ

何年も生きていりゃ
ここの臭いなんてもう何も感じなくなる

貴族とか?金持ちとか?俺には知ったこっちゃねぇ
ただ必死に生きてるだけだ
一日一日をビクビクしながら
この町を出ようと何回も考えた
だが出てどうなる?
ハッ、知らない世界に飛び込むぐらいなら

ゴミと生きてやるさ、勿論。




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Re: ゴミと生きてやるさ、勿論。 ( No.1 )
日時: 2011/12/25 18:31
名前: 塵 (ID: arqVGlhJ)

ある日
いつも通りゴミをあさっていたら
俺の友人が興奮気味で右手の物を見せてきた

何だこれは?

真っ黒で硬くてどう見ても1円もしないゴミだ

でも友人はこれがゴミじゃないという
ピス…ルル?ピスドル?なんだっけな
まぁそんな事を言ってた

で、俺はこれは何をする道具なんだ?と聞くと
首を傾げやがった

おいおい、使い方も知らないで名前だけ覚えていても
何の価値もないだろう?

その時だ、友人がそのゴミ的なのをいじってると
バーン?ドーン?まぁどっちでもいいか

耳が痛くなるほどの大きな音がした

俺は友人の変わり果てた姿を見て吹きそうになった

ハハッ、なんだ?
一体全体どうしちまったんだ?

首がないぞ?

フラフラと数秒体を左右に揺らした後
ソイツは倒れた

次に疑問が出来た

首はどこに行ったんだ?

辺りを見回してみても
赤い液体と相変わらずのゴミだけで
首らしい物は落ちていない

オイ、首はどこに行ったんだ?
首なしの体に聞いてみても
返事はない

そりゃそうだよなぁ?
口は顔についてるものだから
俺は体を放置して首探しを開始した

始めて5分ぐらいだろうか?
色んな奴らに聞いてみたが
自分の生計を立てるのに必死でシカトしやがる

だがそんな事でいちいち怒るわけにもいかない
面倒は御免だ

とりあえずこの黒い固体のゴミ?みたいなのは預かっておこう
ピスドル?ピスタル?なんだっけ?

俺はそれを色々いじってみた
ゴミ袋でもないし、何かの破片でもない

新種?新種のゴミ?

じゃあ珍しいって事?
金になるか?
黒いものは大抵金にならない事が多いけど…

すると何か引っ掛ける所を見つけた
俺はそれに指を通しクイッと引いてみると
さっきと同じようにバーン?ドーン?まぁ
大きな音がして地面に穴が開いた

何が起こったのかよくわからない

ためしにもう一回やってみると
やはり大きな音と共に地面がポコッと開いている

何をする道具かはよくわからないが
とりあえず金にはなりそうだ

鑑定屋に見せに行こうとした時
肩をたたかれた

振り向くと俺よりはるかに年下の少年が立っていた

そいつはこの町の住人じゃないって事にすぐ気付いた
服は汚れてないし貴族でもないような不思議な格好だ

俺は首を傾げ警戒しながら少年を見つめていると

少年も俺の目をジッと見てきた

なんだ?
俺に用があるんじゃねーのか?

少年は、しばらくして俺の右手にある
ピス…ダル?を指差して「それ僕のなんだけど」と言いだした

お前の?でも見つけたのは俺の友人で
俺が今預かり中だから…つまり…これは誰のものになるんだ?

少年は、相変わらずずっと俺の目を見てくる


Re: ゴミと生きてやるさ、勿論。 ( No.2 )
日時: 2011/12/25 21:37
名前: 塵 (ID: arqVGlhJ)

何も言えずにいると
突然少年が右手を俺の黒い物体に伸ばしやがった

「…?」

当然そのまま素直に渡すわけない
俺は黒い物体をつかんでる左手を少年が届かない位置までヒョイと上げた

「…何するんですか」

「それはこっちの台詞なんだが
 いきなりそれ僕のとか言っちゃって、いきなり奪おうとするおまえが
 何するんだって話じゃねぇの?」

すると少年は、申し訳なさそうな顔してペコっと頭を下げた

「…すいません、ですが僕にも時間がないんです
 どうかそのピストルを返していただけませんか?」

ピストル?
そうかっ!!これはピストルっていうのかっ!!
ようやく心のモヤモヤが…

「あの」

「あ?」

「ピストル返して…ください」

うーん…どうすっかな…
このピストルを見つけたのが俺だったら当然返すわけねぇが
友人だからなぁ…
ってか俺友人の首探し中じゃなかったっけ?
まったく世話のやけ…

「見つけたっ見つけたっ見つけたよぉおぉおぉおぉおぉっ!!
 ギャハハハハハッ見つけたぁあぁあぁあぁあぁあ—っ!!」

ブツブツと考え事をしていると
奇妙な格好をした男女みたいなケバい奴がこっちに向かって
すごいスピードで走ってきた

待て、あのきもい格好見たことあるぞ
なんだっけな?
ピ…エロかな?
そうっピエロだっ
これは自力で答えでたぞっ俺天才っ!!


…っとそんな事はほっといてアイツ誰だ?
見つけたとか言ってるけど俺の知り合いではまずない
って事はこいつの知り合いか?

俺が少年の方を見ると
肩を小刻みに震わせながらピエロ野郎の方を見ていた

「おい、どうした?」

聞いてみても返答はない
相変わらず震えている

ピエロ野郎が俺達にだいぶ近づいた時
突然俺の方を見て足をとめた

「何?誰?君誰?ねぇ、誰?
 友達?友達かな?
 可哀想。ソレすごく可哀想
 可哀想だね。哀れだね。酷いね。なんで。なんで。
 友達なんかイラナイ。イラナイ?僕と遊ぼうよ」

そんな理解不能な事をブツブツと言いながら俺を睨みだす
ハッこいつ頭やべぇ
格好もやばければ頭もやばいんですか、そうですか
まず関わるのはよした方がいいと。

しばらくピエロ野郎を眺めてた少年が何かを思い出したかのように
ハッとこっちに向き変え叫んだ

「そのピストルを早く僕にっ!!」

「…はー、しょうがないな。ほれ」

事情はよく分からねぇが、困ってるっぽいし
とりあえず貸しという事にしておこう
ピストルを少年に手渡しすると
ギュッと強く握って、ピエロ野郎に突きつけた

何をするつもりだ?

ピエロ野郎は一瞬だけピクッと表情を歪ませてから
二ヤァといやらしい笑い方を見せた

「撃つの?撃てるの?守るため?
 自分を?それともコイツを?
 友達を?新しくできたから守りたいの?
 無理。そんなの許さないよ
 友達を守るために僕を撃つの
 そんなに大事
 そんなに…守りたいの?
 そんな事してなんになる
 傷つくだけ
 僕も君も学んだはず」

相変わらずブツブツと呟いてるピエロ野郎は、置いといて
俺はどうしたらいいんだ
もう首探しに戻っていいか?
でもまだピストル返してもらってないんですけど…


次の瞬間
また大きな音がした
ピストルの音だ
後から聞いたんだがこれは銃声っていうらしい
どれも名前があってややこしい
音でいいじゃねぇか音で。
 
「…きゃあ」

消えそうな声でそう言ったのはピエロ野郎だった
良く見ると帽子のはしっこに穴が開いている

なんだ?何が起こったんだ?
どういう事だ?このピストルは何をする道具なんだ?


「…撃ったね」

Re: ゴミと生きてやるさ、勿論。 ( No.3 )
日時: 2011/12/26 14:22
名前: 塵 (ID: arqVGlhJ)

ピエロ野郎はさっきまでの強気な姿勢はどこにいったのか
涙目でふにゃふにゃとその場に倒れこんだ

少年は、もう一回ピストルをカチッと引いた

「…ん?アレッ!?…アレッ!?」

何回も引いてみるがカチッとしか音がしない

「…あの…もしかしてこれ
 使ったんですか?」

「あー、友人入れて3回ほど…」

「…」

少年の顔がみるみる青ざめていって
ピストルを俺に渡した
なんだ?もういいのか?
じゃあ俺は友人の首探しに…


「あ?」

なん歩か歩いた時突然少年が俺の裾をつかんできた
なんだこいつ、喧嘩売ってんのか

「…」

何か言いたげに俺を見ているが
俺にどうしろと…お前とはまったくの関係性がないんだ
って事でサイナラ

「…離してくれねぇかな」

意外と強い力で引っ張ってくる
いや、離してくださいホントに
こっちだってそんな暇じゃ…

「…に…て…せ…に…とって…」

「はい?」

「責任取ってっ!!」

「はい?」

責任?なんの?俺何かしたか?
とりあえず離してくれよ

「責任取ってください…」

「…何の」

「ピストルの弾をあなたが使っちゃったせいで
 僕の捕まる確率が30%上昇した責任をとってください」

何語?
難しい言葉を並べられたって俺は脳ナシだからわからないんです
なので離してください

「責任とってくださ…」

「離せっつってるだろがぁあぁあぁあぁあぁあっ!!」


「!?…っ!!!」



あ…思わずおもいっきり蹴り入れてしまったが…
お前が悪いんだからな、悪く思うなよ
って事でこれで本当にサイナラ
こっちもそんなに暇じゃないんです
お前が口から血を出そうが俺には関係ないんです
ピエロ野郎が殺意の目でこっちに何かを投げた事も俺には無関け…


「は?うぉわっ!!」


うぁぁぁ—っ!!っぶねぇぇっ!!
頬からちょい血が出たがとりあえず無視だ無視
ギリギリかわせたが何投げやがったんだあいつ

カランと音がした方を見てみると
斧みたいなのが落ちていた、アレは…ブッチャ—ナイフ?
こんなゴミだめの町でも時々どこから来たのか変な武器が落ちている
ブッチャ—ナイフもその一つだ、何回か見たことある
高値で売れるな…じゃなくて
あの時点で刺さってたら死にはしないが
間違いなく重症だ

「何すんだてめぇ」

ピエロ野郎に問うがさっきの殺意の目が無くなっていて
相変わらずの涙目で小さく嗚咽していた
本当にブッチャ—ナイフを投げたのか疑うだっせぇ格好だ

「おい、何すんだっつってんだよ」

「…っ…ず……」

体は十分18歳ぐらいなのに
格好はまるで5歳児だ うぜぇ…

それよりブッチャ—ナイフこっちに投げたって事は
貰っていいんだよな?ありがたく貰ってやるよ
ありがとうございます

俺はブッチャ—ナイフの方向に歩み寄って腰を下ろし…




「なーんちゃって♪」


次の瞬間ブッチャ—ナイフが爆発した


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