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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 紫ナイフ
- 日時: 2011/12/15 18:02
- 名前: 枢 (ID: cebg9jtM)
「もう帰ろうよ。俺、こんな所にいるの飽きたから。」
隣の席に座っているナツメはそんな事を言いながら、私に目で合図した。
「何?何が言いたいの?」
「お前、昨日、一体人を殺しただろ。」
は…!?何が言いたいんだ、ナツメは。昨日私は一歩たりとも外に出ていないと言うのに!
「何、冗談抜かしてんの…!?それでも私の幼馴染か?」
私は突然非常識なことを言ってきたナツメに冷たい視線を送った。
先生がまたつまらない授業を言ってる、とでも言うのならまともだが、一体何を言い出すんだ!?
「…俺、見たから。」
まあ、見てて。ナツメは指先をカッターで切って一粒の血を垂らすと、こんなことを言い出した。
「ちょっと…血を出してどうするんだよ…お前何をしだすん…」
「黙れ。異世界の番人。」
「は!?お前、黙っていればずけずけと好き勝手なことを言いやがって。」
そんな私の怒りをあらわにした私の反応とは別に、ナツメはこんなことを言った。
「俺が異世界の番人って言ったのはな、お前が無意識のうちにやったことだからだ。」
そう言うと、彼は紙のようにペラペラになり、やがてひとつの紙になった。
「…なんだこれ…なんだこれ…ッ!!!!」
「彼と言う紙は透明になって見えなくなり、私脳内に入り込んでくるように新しいデータが鮮明に映し出される…。
「うあああああああああああああああ…ッ!!!!」
目が覚めると、ナツメがいた。私は机で寝ていたようだ。すると横には彼がいた。
「ナツメ…。」
「何?」
よかった。いつもの静かなナツメだ。
「巴…、俺、もうダメだ…。お前は生きろ…。」
「え…どうゆーことだよ…」
ナツメは、意識を失った。
駆け寄って脈を確かめると…
「ヤバい…死んでる。死んでる…、朝来て、授業を受けてそんな変わらない日だったのに、なんでだ…?」
立ち尽くす私を窓から入ってきた女に驚いた。
(ここ、何階だと思ってるんだよ…しかも、生徒が一人もいない!?)
「あたしの使い魔、さっさ何処かに殺っちゃって☆」
女が言う。
それも、目に表情が無い。しかも、心が無いように見えた。
ただ、読まされているだけの朗読のような、声に生気が無い感じ。
それが、笑っているからもっと恐ろしいのだ。
「早く思い出してよ巴ちゃん…。」
そして女はナツメをさらって窓から飛び降りた。
「—————・・・。」
あまりの事に、私は、私自身も得体の知れないナツメのような紙になってしまったかもしれないと、思わずにはいられなかった。
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