ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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日時: 2011/12/21 19:31
名前: 王 (ID: cXTyyCxG)

失ってから気づく、大切な人の大切さ———

気づけば俺の目には、今まで流せなかった涙が溜まっていた。

その涙に気付いた時、走馬灯のように過去の思い出が頭にフラッシュバックした。


———「隼斗!!」

俺の愛しい声・・・———

———「・・・・っ」

俺にしか見せなかった表情・・・———

———「・・・大好きだよ!!」

そう言って抱きついてくる愛しい人・・・———


          紫乃の全てを愛してた—————



隼「・・・っなんだ、俺、ちゃんと愛してんじゃん・・・」

いつの間にか、溜まっていた涙は零れ落ち、俺の頬を濡らした。

ちゃんと涙出んじゃん。

ちゃんと愛してた・・・

涙が出なかったのは、きっと認められなかったから・・・
現実を否定し、別の「紫乃が生きている」世界を作り出そうとした。
でも今、過去を思い出したら泣いていた。
紫乃が居なくなるのが怖かった・・・・・・

だから、泣けなかった。
泣いたら、その瞬間何もかもが消えてしまいそうで・・・

こんなバカな事しようとする俺を、許して下さい・・・




俺は、紫乃が少しでも長く生きる事を祈ることしかできなかった・・・————



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