ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 創世のクリア
- 日時: 2011/12/22 13:28
- 名前: 王翔 (ID: TlfXPTG.)
- 参照: http://www5.hp-ez.com/hp/hugen/page1
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HPに漫画版があります。
新しい話を書かせていただきます。
ジャンルは多分メルヘンファンタジーです。
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- Re: 創世のクリア ( No.1 )
- 日時: 2011/12/22 13:30
- 名前: 王翔 (ID: TlfXPTG.)
- 参照: http://www5.hp-ez.com/hp/hugen/page1
第一話
そこは、神秘的な空間だった。
赤や青の光がそこらじゅうに溢れ、透明な床はその光景を映している。
少女、クリアはその光景に戸惑いながら目の前を見た。
新緑の流れるような髪に空を閉じ込めたかのような美しい瞳。その女性は、女神と呼んでも何の不思議もない魅力を持っていた。
その女神は、クリアの姿を見据え、透き通った声をゆるやかな風に乗せる。
「クリア、これを」
女神が差し出したのは茶色い表紙の本だった。
クリアは少し迷ったが、戸惑いがちにそれを受け取った。
彼女がそれを凝視していると女神は再び口を開く。
「それは、創世の書。それを使い、あなたが世界を統べる聖王になりさい」
◆
透き通ったブルーの空が広がる空の下、新緑の葉をつけた木々は太陽の光を浴びて輝きを放ち、その木々の中央にポツンと赤い屋根の家が建っていた。
部屋の端に木製の椅子が置かれてて、そこに腰掛け、窓越しに外の世界を眺める青年がいた。
海のように深い青色の髪に、黄金の瞳。
しばらく外の風景を堪能した後、青年は部屋の中央に立つクリアに視線を移して笑顔を浮かべる。
「で、何の用だ、客人?」
クリアは少し迷ったが口を開いた。
「聖王になりたいけど、どうすればいい?」
「聖王? 君がか?」
クリアはむっとした。
それに対して青年は、クリアの持つ本に視線を移した。
「その本は……。少し貸してくれるか?」
「ん」
クリアが差し出した本を受け取った青年は本を開き、目を通す。
「創世の書か。すると、あなたが女神に選ばれた新たな指導者か」
「指導者……」
「このページを」
青年に言われ、指定されたページを見る。
そこに描かれていたのは人の絵。
その絵は青年に似ていて──。
「これは、あんたか?」
「ん、正解。この本は持ち主の見たものを記録。それを自在に扱える。例えば、人なら自分から遠ざけたり、自分の元に呼び出したり……炎なら、炎を操る。それが創世の書だ」
「そんな力が……」
「くれぐれも、奪われて自分のページを破かれたりしないように。記録されたもののページが破られれば存在も消える。例えば、ここで俺のページを破けば俺は消える」
「…………」
〈すごいデメリット……〉
「それでも、聖王になりたいか?」
「私には、これしかないから」
「ん、ならいいだろ。しかし、強い力は災いも呼ぶ。その書を欲する者もいるだろう」
「それは、分かってる……」
頷いていると、外から物音が聞こえた。
「言ったそばからか」
青年はため息をつき、木製の棚に立て掛けてあった金色の刀身に柄には白銀の羽の装飾が施された剣を手に取った。
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