ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- PANTHER‐絨罪者‐CASTup
- 日時: 2011/12/27 16:15
- 名前: プラネッツ (ID: HhjtY6GF)
称号を与えられし20名の人間による、支配者を決めるGame─────。
▼ルール/RULE▼
・称号を与えられた者は、次の神を決める戦いに参加しなければならない。
・参加者以外の人間へゲームの密告などの行為が行われた場合は、その参加者をゲームオーバーと見做す。
・称号と同時に譲渡された特殊武器、特殊能力は参加者同士の戦闘で使用を可能とする。しかし、参加者以外の人間に直接
的に目撃された場合は、目撃した人間を殺害または気絶させなければゲームオーバーと見做す。
・参加者同士の戦いで死亡または戦闘不能となった参加者は能力を奪われ、ゲーム参加時からそれまでの記憶を消される。
・ゲームの途中棄権は無効。
・参加者が事故や自殺した場合はゲームオーバーと見做される。
・参加者の固有能力を他の参加者、参加者以外の人間に譲渡することは不可能。
・参加者が能力を悪用して参加者以外の人間に法律を犯させる行為を行った場合はゲームオーバーと見做す。
・規定のルールを破った者は、死ぬ。
Page:1
- Re: PANTHER‐絨罪者‐ ( No.1 )
- 日時: 2011/12/24 19:07
- 名前: プラネッツ (ID: HhjtY6GF)
‐Prologue‐
手の甲に浮かび上がった“12”の番号。
痛みはない。
だが、この数字を見る度に感じる「絶望感」と「虚無感」
突然巻き込まれた、神の座を賭けた死のゲーム。
参加者=絨罪者またの名は「PANTHRE(パンター)」
絨罪者に選ばれた20名には、特殊な能力を持つ武器と超能力を身体に譲渡される。
それを駆使して他の絨罪者を倒し、最後まで生き残った者が神となる。
言葉では簡単に済む話だが、実際はうまく事は進まない。
時間無制限の史上最悪のゲームは始まった。
逃れることはできない。
────────。
道は2つ。
殺るか─────
殺られるか─────
- Re: PANTHER‐絨罪者‐ ( No.2 )
- 日時: 2011/12/23 21:52
- 名前: プラネッツ (ID: HhjtY6GF)
-1-
目を開けたらそこは、見慣れない場所だった。
真っ白な本が敷き詰められた真っ白な本棚が、先が見えない程に延々と上まである。
神河爽利は、そんな本棚に囲まれた空間の真ん中に呆然と立っていた。
ガコン ガコン ガコン
空間の中央に浮いている内部構造が露となった大きな時計は、針が動く度に不気味な音が響き渡る。
どうして、自分がこのような場所にいるのか見当もつかない。
爽利は意味の分からないまま、周囲を見渡しながら一歩を踏み出す。
『12番目よ、そこに立て。』
どこからともなく男性の低く聞こえづらい声が、爽利の耳に届いた。
そして男性の声と同時に、空間の白い床から円盤状の白い板が浮かび上がる。
「え?こ、これに乗ればいいの?」
爽利の質問に、返答はない。
爽利は恐る恐る白い円盤に乗る。
いつの間にか、目の前の光景は変わっていた。
黒い空、白い雲、下を見下ろしても、その光景が広がっている。
爽利が周囲を見渡すと、他にも白い円盤に乗った人間たちが数十名いる。
ざっと数えて、20名。
その20名に囲まれるかのように、先ほどの白い空間にもあった大きな時計。
最早、爽利には目の前で起こる現状にどう対応すればいいのか分からない。
『ようこそ。パンタシア・ヴァニタス・スパティウムへ。』
先ほどの本棚の空間でも聞こえた、男性の低く聞こえづらい声が響く。
『君たち20の子は、神になる素質を持つ高潔な万物だ。そこで、とあるゲームをしてもらう。』
声と同時に爽利の目の前に、日本刀が浮いていた。
爽利は浮いている日本刀を掴み、じっくり観察する。
至って普通の刀だ。
鍔も、鞘も、刀身も、特に変わった場所はない……というとウソになる。
鞘に“12”という数字が綺麗に彫られており、また、鍔には“神河爽利”と古い字体で彫られている。
『今、君たちに特別な力を持つ武器、そして、身体に特別な能力を譲渡した。それを使い、神の座を奪いあえ。』
「神の……座…………」
爽利はその言葉を聞いた瞬間、目の前が真っ白になった。
「なんだ、夢か。」
目を開けると、そこは見慣れた自分の部屋、自分のベットの上からの景色だった。
カーテンの隙間から差し込む朝日の光が、眠気を吹き飛ばす。
「変な夢だっ……」
ふと、視界を自分の勉強机に向ける。
その瞬間、言葉を失った。
「…………夢じゃ……なかった………………のか。」
勉強机の上。
教科書やノートの山の上に、鞘に“12”と彫られた日本刀が、ポツンと置かれてあった。
- Re: PANTHER‐絨罪者‐ ( No.3 )
- 日時: 2011/12/24 19:07
- 名前: プラネッツ (ID: HhjtY6GF)
-2-
12月に入り、最近は夜明けも遅くなってきた。
朝7時前でようやく朝日が顔を出し、人が溢れ返る東京駅が橙色に染まってゆく。
通勤ラッシュのせいで毎朝の東京駅は、サラリーマンや学生、人々でごった返しとなっている。
どのホームも、白線ギリギリまで人々が迫っており、我が先にと始発を待っていた。
そんなどこでも見かける週末明けの光景を、1人の男性がぶち壊す。
「ひぇあぁァァァァ!!!!!うぎゃぁぁぁいだぁああぁぁあィィィィィ!!!!!!!!」
ホームに設置された椅子に座っていたサラリーマンが、突如、奇声を上げながら立ち上がる。
男性の奇声で駅は一瞬で静まり返り、その沈黙を破ったのは女性の悲鳴声だった。
「きゃアぁぁあぁぁぁ!!!!!」
OL風の女性は、奇声を上げる男性に突き飛ばされて尻もちをつく。
男性は頭を押さえながら奇声を発し、電車を待つ群衆の中を千鳥足で駆けて行く。
『○○番線に、▽◇×○行き急行が、通過いたします。危険ですので白線の内側までお下がりください。』
駅に響き渡るアナウンス。
駅員が鳴らした笛と同時に、猛スピードの電車が駅に進入する。
それと同時に、男性は奇声を上げながら、ホームからバランスを崩して線路に落下していく。
その場にいた全員の表情が凍りつき、落ちゆく男性の姿を目で追う。
しかし、男性は線路に落ちる前に、通過電車の餌食となった。
******
「うそぉ!!人身事故ぉ!?マジ最悪なんですけど……」
リビングで朝食を摂る神河愛利は、ニュースの臨時速報を見ながら落胆する。
「どうすんだよ。」
2階から制服姿で降りてきた爽利は、椅子に座りながら愛利に尋ねた。
「……バスで行くよ。あ〜ぁ、バス嫌だな〜ぁ。」
「どんまい。」
爽利はいつものように妹と接する。
しかし、何か違和感がある。
何かが、いつもと違う。
「お兄、右手のそれ何?」
「え?」
愛利に言われ、箸を持つ右手の甲を見る。
右手に浮かび上がった“12”という数字を見て、爽利の脳裏に先ほどの日本刀が思い浮かぶ。
「あ、痣だよ。ベットから落ちた時にぶつけたんだよ……あははは。」
「ふ〜ん……あっ、そう言えばさ、今日帰り早いんでしょ?」
愛利は朝食を食べ終え、食器を片づけながら爽利に尋ねる。
「あぁ。始業式が終わったら帰ってくるけど、なんで?」
「今日ね、昼過ぎに“ドーラーガールズ”のコンサートが渋谷であるんだよ!!2人で行ったら限定品もらえるんだ!!」
「友達と行けよ、なんで俺がアイドルのコンサートの付き添いしなきゃならないんだ。」
ドーラーガールズとは、今流行りの9人組アイドルグループである。
意味は“贈り物をする少女たち”らしい。
平均年齢17歳で、中高生に人気の存在だ。
アイドルに興味のない爽利はもちろん断り、再び脳裏に、あの日本刀を思い浮かべた。
「俺は学校終わった後に用事あるし、今日は無理。」
そう言うと、愛利の有無を聞かずに食器を片づけて2階の自室へと向かう。
相変わらず、勉強机の上には、夢で見た筈の日本刀が置いてあった。
「あいつに見つかったらやばいな……とりあえず隠しとこう。」
爽利は日本刀を持ち、ベットの下のマンガを収納しているケースの隙間に隠す。
万が一、愛利に見つかれば必ず問われる。
それを回避すための行為だ。
「こういうことは、オカルト部の奴に聞いた方が早いか。」
爽利は現在起こっている状況のことを明確に確認すべく、一つの案を思いついた。
そして、いつもより早めに学校へと向かった。
- Re: PANTHER‐絨罪者‐3up ( No.4 )
- 日時: 2011/12/25 18:16
- 名前: プラネッツ (ID: HhjtY6GF)
-3-
東京駅で人身事故が起こって間もない頃。
後部座席で乗る娘を幼稚園に送るため、朝の混んだ大通りを運転する斉木美子。
娘は後部座席に二度寝を始め、美子は運転をしながら後部座席を振り返り、娘を揺する。
「由玲、寝ちゃだめよ。幼稚園でお友達と遊べなくなるわよ。」
「ん〜だいじょーぶだよ。ふぁ〜ぁ〜……」
美子の手を振り払い、再び眠りに落ちようとする由玲。
「由玲ちゃん。いいかげんにしな…………」
由玲を注意していた美子は、プツリと電源が切れたかのように動かなくなった。
「……まま?」
首がダランとなり、まるで死んでしまったかのような美子の姿に、由玲は恐怖を感じて目が潤い始める。
「まま?ままったら!!起きてよ!!ままっ!!!!!!」
由玲はとうとう泣き始め、何度も美子を揺さぶる。
しかし、美子はまったく起きる気配を感じさせず、信号が赤から青となる。
「まま、信号青だよ!!!進まないと!!!」
由玲の言葉は虚しくも、後ろから鳴らされるクラクションで掻き消される。
由玲は唇を噛み締めて涙を堪えながら、必死に美子の手を掴んで揺さぶる。
「……………………はっ!?」
何の前触れもなく、美子は突然意識を戻した。
美子が顔を上げた瞬間、由玲の表情に笑顔が浮かぶ。
「まま!!大丈夫?」
「えっ、えぇ……大丈夫よ。ご、ごめんね。」
美子の様子は、明らかに意識が無くなる前と変わっていた。
目の焦点はあっておらず、動揺しているようだった。
「よ、幼稚園に急がないと、ち、遅刻しちゃうわね。もう寝ちゃだめよ。」
美子はそう言うと、アクセルを踏む。
その瞬間、由玲が叫んだ。
「まま!!!信号赤!!!!!!」
「え?」
──────。
放課後、爽利は校舎1階にあるオカルト部の部室を訪れていた。
普段は絶対に来ない場所だが、今回はどうしても頼る場所がここしかないので、渋々足を運んでいた。
部室の中は昼でも朝でもカーテンが閉め切られ、壁に沿って棚が並び、壁が見えない。
「で、何の用だ。」
オカルト部の部長を務める2年生の永地暗戒は、天然パーマをいじりながら爽利に用件を尋ねる。
「ちょっと頭のおかしいやつと思って構わない。てか、本当に聞いてくれるのか?」
「あぁ。オカルト部はこの世ではありえないことを調査している。その時点で、俺たちは頭がおかしい。」
暗戒はケラケラと笑いながら、部長机に足を乗せて組む。
「変な夢を見たんだけど、その夢に出てきた物が、朝起きたら机の上に置いてあった。」
爽利が恥ずかしそうに答えると、先ほどまで笑っていた暗戒の表情が一変し、机から足を下ろした。
「詳しく聞かせろ。」
暗戒のあまりに真面目な表情での要求に、爽利は了承するほかなかった。
今朝、夢で見た内容を詳しく且つ分かりやすく説明する。
説明を終えると、暗戒は笑いだした。
「……どうせ、頭がおかしいやつとでも……」
「同志よ。俺は“9”の称号を持つ絨罪者だ。」
暗戒はそう言うと、自身の舌を爽利に見せた。
暗戒の舌には、爽利に右手に浮かび上がった“12”と同様に、“9”という数字が浮かび上がっていた。
刺青でも何でもない。
爽利は言葉を失い、唖然とした表情で暗戒を見つめる。
「驚いてるんだろ?俺も驚いてるよ。こんな身近に2人もいるとはね。」
爽利は暗戒の言葉を聞き、我に戻った。
「2人?」
「そうだ。昼休みに、わざわざ俺の教室まで来てご苦労なこった。」
「誰?」
「加瀬春花。」
「あ、あの加瀬春花!?」
「加瀬春花」という名前を聞き、爽利は驚いた。
加瀬春花は爽利と中学からの知り合いで、子供とは思えない綺麗な容姿を持った英才。
完璧とは、誰しもが彼女のことと言う。
「加瀬も、俺らと同じ?」
「称号者番号8番。」
暗戒がサラリと答える。
「他には、誰か分からないのか?」
「知らない。でも、1人だけ疑わしい奴はいる。」
暗戒は部長机の引き出しを開け、一枚の広告を爽利に見せた。
「……馬鹿に、してるのか?」
「大真面目だ。あのパンタシアっていう空間で、俺の隣にいた奴だ。そして、調べたらここだけだった。」
その広告は、とあるパチンコ店のチラシだった。
そして、そのパチンコ店のチラシの右下に、冬には絶対に見かける人物が写ってた。
「サンタクロース?」
- Re: PANTHER‐絨罪者‐CASTup ( No.5 )
- 日時: 2011/12/27 16:16
- 名前: プラネッツ (ID: HhjtY6GF)
※ネタばれ注意
神河爽利(カミカワ ショウリ)-12番目
能力:妖刀“唖流”で斬った相手の能力をコピーして使用できる(使えるのは自身の武器を所持している時のみ)。
武器:妖刀“唖流(ありゅう)”
永地暗戒(エイチ アンガイ)-9番目
能力:影と同化して物理的攻撃を無効にする(使えるのは自身の武器を所有している時のみ)。
武器:ナックルダスター
加瀬春花(カセ ハルカ)-8番目
能力:筋力増強。相手の感情状態で威力は変化する(使えるのは自身の武器を所有している時のみ)。
武器:催涙スプレー付き十字型ブーメラン
Page:1
この掲示板は過去ログ化されています。