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やっぱり俺らロクデナシ
日時: 2012/01/03 22:24
名前: unkk ◆dzRVpxW6w. (ID: wJzAqpnE)

ちょいと嫌なことがあったら夜中の三時に出掛けてみるといい。
きっと素敵な事が起こるからね。でも条件がひとつ。

ドアを出るとき、人を殺せるだけの道具を手に持っていることだ。


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どうも、作者の名前の読みは「ゆぅえぬけぇけぇ」でも「うんこっこ」でもなんでも構いませんのでどうかどうかお気軽にどうぞ。

この小説は、思いもよらず異世界に迷い込んだ主人公が仲間達とともに…、てな感じの大変ハートフルな作品を予定しております(大嘘)

意見、感想お待ちしております。

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第1話(更新中)>>1 ←読み飛ばし推奨
第2話(未更新)

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Re: やっぱり俺らロクデナシ ( No.1 )
日時: 2012/01/03 22:25
名前: unkk ◆dzRVpxW6w. (ID: wJzAqpnE)



「だいいちわ」

2011年 10月15日
午前9時。
大小の針が決められた位置に億劫そうに移動すると、重苦しい鐘の音が部屋中に響いた。
「もう9時か」
深林の中に立つ孤城のように散らかった部屋の中央に置かれたソファ。それに寝そべった少年は一人呟いた。
いつのものかも分からないゴミを踏みつぶしつつ起き上がると、足の踏み場を探りつつ冷蔵庫の置いてあるキッチンへと向かう。
いくつものゴミを蹴飛ばしながら歩くその姿はさながら森を切り開きながら宝箱を目指す冒険者のようだった。反して、少年の実態はそれとまるで正反対に位置するものなのだが。

いわゆる引きこもり、それが今の彼である。

今の、彼である。

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高城は愛想の悪い少年だった。
誰かに何かを話しかけられても、上手い返しが思いつかないのだ。
だった仕方がないだろう、と彼は思う。
考え事をしているときにいきなり話しかけて来ておいて、気の利いた返答を期待するなんてなんてあつかましいことだろうか。いつどこでだれに話しかけられても問題なく返事が出来る奴はきっと、普段なにも考えていない脳みそすっからかん野郎か、周りばかり気にしている軟派な連中なに違いない。
高城は無愛想で、なにより自己中心的な考えの持ち主だった。
そんな彼が、なによりも愛想と愛嬌とが最重視される学生生活においてどのような位置取りをしていたのか、その答えは極めて明瞭だった。
表だって何かを言われたり、手を出したりされるような事がなかったものの、陰で彼の事が話題にあがるとき、彼の学友達はきまって醜悪な言葉を口にした。
自分がそのように言われていることに関して、高城はとくに何かをしようとは思わなかった。決して何も感じないわけでは無かったが、彼自身が周囲に対しより汚い言葉を腹の中で日常的に唱えている手前、一方的に怒り狂うのはなんだか情けないと思ったからだ。
高城の落ち着いた態度もあり、事態は静かに日常に浸透していった。
高城が恨まれ役を買うことによって、いじめも無く平和な三年間が続く。誰もがそう思っていた中、ちょっとした出来事が起きた。

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2011年 7月
夏休みを目前に控えた、○○県の某高校。あるクラスの教室に、怒声が響いた。
「高城!」
高く、それでいて芯の通った声。それだけで求心力のありそうな凛々しい若き声はしかし怒りに震え周囲の喧騒をぴしゃりと止ませてしまった。
声の主は、明石鉄也。印象通りの明朗な少年で、クラスの人気者である彼の怒りはなかなか見られた物では無いだろう。驚きに静まりかえったクラスメイト達の視線は、今や好奇の視線となり、明石と高城とをいったりきたりしていた。
「……何?」
普段なら消え入ってしまうであろう高城の小さい声を、クラス中の者達が静聴する。好奇の目は、向けられた高城をひどく苛つかせる。
高城の投げやりな返答を受けた明石は、怒りにわなわなと震えている。


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