ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 春の産声、桜の泪
- 日時: 2012/01/06 13:30
- 名前: 藤田光規 (ID: TZln3PE9)
こんにちは。藤田光規です。
今回は僕の集大成ということではりきってカキコしたいと思います
アドバイス、感想、どんどんこいやああ!!
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- Re: 春の産声、桜の泪 ( No.1 )
- 日時: 2012/01/06 14:36
- 名前: 藤田光規 (ID: 7gBpjPib)
それは突然だった。
その日は11月のもう肌寒かったと記憶している。
いつもどおり静かでとても平和な一日になるはずだった。
5時間目の授業中、僕はすっかり葉の散ってしまった校庭の桜を見ていた。1年生は運動場で体育でサッカーをしている。
だが、その平和は一瞬でこわされた。
一階のほうからドン!という強い衝撃が響き、それと同時に耳をつんざくような悲鳴が聞こえた。
二階の教室にいた僕たちは顔を見合わせる。明らかにただごとではない雰囲気、息が止まるような緊張感。数秒たって教頭の高い声が放送で流れた。
「緊急です!緊急です!!一階から爆発による火災が起きました!!火元は理科室。周辺には有害なガスが流れている可能性が有ります。速やかに運動場のバックネット側に避難して下さい。繰り返します・・・」
理科室には3年生がいたはずだ。だがもう誰も放送を聞いていなかった。どっと教室の出口へ走り出した。
僕は走らなかった。先日、このクラスで市の音楽祭で優秀賞をとったときのトロフィーを思い出したからだ。
(あのトロフィーは燃やしちゃいけない。せっかくみんなで協力して取った賞をなくすわけにはいけない。)
教室の後ろに向かって走った。もう教室にはむんむんと熱気が伝わっていた。
「貴明!!なにやってんだ!速く逃げろ。」
ドアの近くで友達の弦がいた。教室に戻りだした僕をみて驚いたようだ。両手でトロフィーをかかえてドアまで急ぐ。
「トロフィーを取りに行ってるんだよ。これは一人で大丈夫だ。ほら、逃げるぞ!」
弦は呆れた顔で僕を見た。窓の外を見るともうみんな集まっている。
「本当お前は・・・お人好しだな。いや、言ってる場合じゃねえ。走るぞ!!」
弦と僕は廊下を駆け抜けた。トロフィーを両手で持っているせいか、うまく走れない。
一階に下がると黒い煙が彷徨っているようだった。廊下ごしに理科室がみえた。大丈夫だ、三年生は生きている、と心に言い聞かせ、玄関まで走る。
やっと外に出た。新鮮な空気が懐かしかった。バックネットにいるみんなの視線が痛く感じる。
「こらあ!貴明、弦、何ふざけてんだ!」
担任が僕たちへ雷を落とす。だが僕は全く聞いていない。
「三年生は大丈夫なんですか?この時間三年生はりか・・・」
「うるさい!!」
再び雷をおとす。この担任は場合が悪くなると意地を張るくせがある、と弦がいっていた。
「俺は他のことは知らん。そこまで知りたいなら他に聞け。貴明、お前には罰を受けて貰う。覚悟しておけ。」
そう言い残して担任はそっぽを向いてしまった。とりあえず皆の列に入り、しまったな、という顔をしておく。
暫くして消防車が来た。ホースをのばし、放水する。
見かねたように教頭が声を出す。
「じゃあもう生徒は帰って下さい。同じ区路の人たちと一緒にかえり、必ず集団下校して下さい。」
すると生徒は先を争うかのように急ぎ足で帰っていった。僕は立ちすくんでいたが弦の声が聞こえた。
「なにしてんだ。貴明。帰るぞ」
ああ、と返事をし、空の体で帰路に向かった。
- Re: 春の産声、桜の泪 ( No.2 )
- 日時: 2012/01/06 17:55
- 名前: みらーさうんど。 (ID: TZln3PE9)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
ちょーす
また作ったんすねw
俺もうあの小説書くの飽きたw
飽きっぽいですけど何か(・ω・)?
だから新しい小説かこっかな〜とか思ってます〜
おもしろそうです。頑張って!
- Re: 春の産声、桜の泪 ( No.3 )
- 日時: 2012/01/07 23:18
- 名前: 藤田光規 (ID: 7gBpjPib)
弦と僕の家は隣同士だ。しかも駅や学校、商店街に近いので好条件の物件といえるだろう。家に帰ると玄関に母さんと3歳になる妹の知恵がいた。
「貴明。学校で爆発があったんだって?ケガはない?大丈夫?友達は?先生は?」
「うっさいなあ。ただでさえ面倒なのにさわがないでよ。静かにしてて。」
二階の自分の部屋まで早足で言った。ちょっと!貴明?と声がしたけど無視をした。
テレビをつける。緊急ニュースで僕たちの学校の報道があっている。
「今日2時半頃、市内の中学校から火災が発生しました。火もとは理科室で、授業中の実験で発生した水素に引火して爆発したものと地元の警察、消防は考えています。」
そんなことはどうでもよかった。ぼくは三年生の具合が知りたかったのだ。いつもは美人に見えるアナウンサーの顔が今はとても醜く見えた。
「理科室にいた教師をふくめ32体の遺体の身元を調べるとともに、保護者に連絡を取るなどして、捜査を進めています。次のニュースです。」
32はあの日いた3年生の人数である。結局は一人しかいきてはいなかった。自分が生き残って三年生はほとんど死んだ。そう思うと泣けてきた。
仲の良かった先輩は少なかったが、彼らの事を思い出すと鼻の奥が熱くなり、涙があふれ出てきた。
「お兄ちゃん・・・泣いてるの・・・」
ドアの所に知恵がいた。急いで目をぬぐい笑顔を作ったつもりだが上手くできない。
「なにか悲しい事があったの?知恵が聞いてあげるよ・・・」
「大丈夫だよ。なんともないさ。ちょっと目にゴミがはいっちゃってさ・・・涙が出るんだよ。」
知恵はなにか言おうとしたみたいだったが、僕を気遣って部屋から出て行った。
静寂がむなしい。泣いてはいけない、泣いてはいけない。窓の方を見ると黒い煙が見えた。それは僕には悪魔のように見えた。
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