ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 死神と少女達
- 日時: 2012/01/11 14:48
- 名前: ミルクキャンディー (ID: LMPzgpkP)
こんにちは。いつもはコメディ・ライトか別館にいるミルクキャンディーです。
突然暗い話が思いついて書きたくなったので、ここに書きます。
みなさんぜひ呼んでいってください。
────────────────────────────────
〜プロローグ〜
昔、ある国で美しき少女達が次々と妙な死をとげる事件があった。
死んでいった少女達の体中には、鎌で斬られた様な傷があったのだ。
そして少女達の体のどこかには────────・・・・・・
魔女の印が、つけられていたのだ。
これは、今の人々に知れ渡っていない悲しいお話─────・・・
Page:1
- Re: 死神と少女達 ( No.1 )
- 日時: 2012/01/11 15:28
- 名前: ミルクキャンディー (ID: LMPzgpkP)
第一章〜薔薇の中の少女〜
今はもう無く、その上知られさえもしない国が昔にあった。
その国は富があり、人々の生活が豊かだった。
みながみな大富豪、といった所だった。
その国民の中に、白い大理石で作られた美しい、一つのお屋敷があった。
あまり周りとくらべて金持ちではなく、目立った家系でもない。そんな人たちでも目立った理由があった。
一つ目は、その美しい外見のお屋敷。白い大理石で作られていて、昼も夜も、太陽や月の光で白銀に輝くお屋敷はどんな宝石でも負けない輝きだった。
2つ目は、そのお屋敷の主人の気前のよさ。食べ物に飢えている者達に金や食べ物を分け与えた。
3つ目は庭の薔薇の美しさ。そのお屋敷の庭に植えてある薔薇は、世界一といわれても可笑しくないほどの美しさだった。色とりどりの魅力的な色。甘くて虜になるその香り。まさに薔薇の一級品だった。
4つ目は、主人が目に入れても痛くないほどに可愛がっていた美しく麗しい令嬢だった。いつも薔薇の庭に行き、美しい薔薇達の世話をするその姿はまるで、天使のようだった。
その令嬢─────マリアが、いつもどおり庭に行くと、一人の男がいた。
その男は黒きローブを身にまとい、大きな鎌を背にしょっていて、いかにも不審者、と言うのが正しかった。
マリアが勇気を出しその男に声をかけた。
するとその男は振り向き、笑顔で「こんにちは」と言った。
マリアはその男の顔を一目見た瞬間心奪われた。
その笑顔は美しく、そして人々を魅了するような微笑だった。
「貴方は誰?私の薔薇庭に何か御用?」
まだ波打つ心臓と熱い頬の意味を分からずに、マリアはその男に話しかけた。
「───・・・僕の名前はレオ。この庭の薔薇は綺麗だね」
レオ、と名乗る男はその微笑みを変えずにいた。
「そ、そりゃあ私が育てたんですもの!綺麗なのは当たり前よ」
マリアがそう言いきったら、レオは驚いた顔をし、そうだね。と呟いた。
「けど、君のほうがもっと魅力的で、美しいよ」
レオにそういわれ、マリアは顔を赤らめた。
「そ、そう?嬉しいわ」
マリアはにこり、と笑った。その顔はとても可愛く美しかった。
「・・・僕もうそろそろ、帰らないと」
レオはそう言い、庭から立ち去ろうとした。
「さようなら。また会いましょうマリア嬢」
レオは消えるように、庭から姿を消した。
その夜、マリアは自分の部屋からぼんやりと庭を見つめていた。
「レオ・・・また会いたいわ」
あの時自分に向けた笑顔を思い出し、火照った体でベットに転がった。
明日また会えますように、と神に願いながら。
- Re: 死神と少女達 ( No.2 )
- 日時: 2012/01/11 16:10
- 名前: ミルクキャンディー (ID: LMPzgpkP)
第一章〜薔薇の中の少女〜
次の朝、マリアは足早に自分の庭に駆けて行った。
(大丈夫。昨日神様にお願いしたもの・・・!)
期待半分と不安半分の気持ちで庭に行ってみたら、黒いローブのレオの姿はどこにもなかった。
「ハ、ハハ・・・馬鹿みたい。こんな朝早くに人が来る訳ないし、第一、神に祈ったからって神がその願いを叶えてくれるなんて、ありえないもの・・・・・・」
脱力感のある体を引きずりながら、井戸で水を汲んだ。
「さぁ私の可愛い薔薇達よ。私が美味しい水を汲んで来たわ。さぁ皆で味わって飲みなさい」
そう薔薇に話しかけながら、水を捲いた。薔薇の花びらについている雫がキラキラ光る。
輝く薔薇達を見つめながら、マリアは近くの木の根元に腰掛けた。
「レオ・・・・・・・」
昨日会った不思議な青年の名前を口にする。会いたいとても会いたい会いたくて会いたくて仕方が無い。
すると、マリアの前に人影が出来た。黒いローブがはためく。
「・・・呼んだ?」
「ッレオ!?」
目の前の青年・レオはニコリと笑った。マリアは立ち上がる。
「来てくれてないと思ってたわ・・・」
「ずっと居たさ。ちょっと隠れててね」
マリアがどうして?と問うと、レオはにこやかに笑った。
「だって、僕が居なかったらマリアがきっと悲しむだろうなぁと思ってすこしイタズラしたんだ」
「えっ!?そうだったの??レオったらイジワルね!」
「ハハハ、それが僕だからね」
次の日から、レオはマリアの庭に毎日訪れた。毎日楽しくお喋りしたり、美しい薔薇を見たり、菓子を食べたりお茶を飲んだり・・・
話す分だけ、マリアのレオに対する思いが大きくなっていった。
レオもマリアに笑顔で話したり、とても楽しそうだった。
マリアは毎日がとても楽しかった。
だが、マリアはレオとの間に距離を感じていた。
レオはいつも笑顔で優しかった。理想の人だった。自分を大事にしてくれた。
だが、マリアを見るレオの瞳は『愛する者を見る眼差し』では無かった。
マリアを見るレオの瞳は、『憎む者を見る眼差し』にほぼ近かった。
それは、人間と紛い物と同じくらいの違いだった。
マリアは自分とレオの間には壁があり、それは一生懸けても超えられない壁のように感じた。マリアはそれが辛かった。
一生自分はレオに愛されない────・・・そうマリアは思った。
マリアは寝る前によく泣いた。今日もレオに愛されなかった、と。
そんな娘の様子をマリアの父──・・・この屋敷の主人、カウベロは、心引き裂かれる思いで見ていた。
そしてカウベロは、娘をこんな思いをさせるレオに一晩一晩こくこくと憎しみを覚えていったのだった。
- Re: 死神と少女達 ( No.3 )
- 日時: 2012/01/12 09:26
- 名前: ミルクキャンディー (ID: 7IaXH6Nh)
第一章〜薔薇の中の少女〜
「マリア、今日も来たよ」
「えぇ・・・いらっしゃいレオ」
マリアはいつもどおりの笑顔でレオを迎えた。お気に入りの紅茶とおいしい菓子でもてなした。
食器を運ぶマリアの腕はとても細かった。前から細く綺麗な腕をしていたが、前よりかなり細く、骨の形がうっすらと見えるほどになっていた。マリアはどんどんやつれていったのだ。
夜に泣いて、ロクに食事や栄養をとってないせいもあるが、マリアがレオを深く愛するたびマリアに病魔が襲い掛かり体を食い荒らしてゆく。マリアは、美しさはたもってはいたが、前のような健康的な外見はもうどこにも見当たらなかった。
父はレオにはもう会わないほうがいい、と言っていたが、今のマリアにはレオにあって話すしか楽しみがなかった。
あんなに大切に育てていた薔薇達の事も忘れ、毎日レオの事ばかり考える。薔薇達が枯れていくにつれ、マリアの命もどんどん枯れていった。
「レオ・・・今日はどんな話を、する・・・?」
「そうだな・・・・」
どんなに体調が辛くても、マリアはレオに対して笑顔であり続けた。
どんなに辛かろうとレオといる時間は大切にした。
荒れた薔薇庭。
やつれた令嬢。
屋敷は前までの煌びやかさは無く、そして人々からこう言われる様になった。
────「死神が住み着いている屋敷」と。
そして、令嬢の病気はピークに達した。
もうとても歩けない体となり、外に──・・・庭にいけなくなったのだ。
マリアは頑張った。また、歩けるように。また喋れるように。また──・・・レオと会える様に。
だが、それは無理な話だった。レオを思う限り、病魔はマリアの体を蝕んでゆく。
・・・前の生活に戻るには、レオへの思いを忘れなければいけなかった
だがマリアはそれが出来なかった。ずっとずっと、レオの事を思い続けた。
そして、死期が訪れようとした時、
マリアの最愛の人。レオが現れたのだ。
「あぁ・・・レオ、レオ・・・!!会いたかった・・・!!」
マリアが無理に笑顔を作る。レオは何も言わない。笑わない。ただ立ち尽くすだけ。
「・・・けどレオ、貴方変よ。いつもみたいに話してくれない。笑ってくれない。」
マリアがどんなに話しかけようとも、レオはなにも動じない。
「・・・レオ貴方死神みたい。真っ黒だし、鎌を持ってるし、私が死にそうな時目の前にあらわれて・・・ゴホゴホッ・・・そろそろお迎えが着たみたい。」
マリアが激しく咳をする。そして、また笑った。頬に一筋涙を流して。
「あぁ、最後に貴方に愛されたかった・・・」
最後の力を振り絞り、マリアはそう言い、永遠の眠りについた。
レオはマリアがいなくなった後、口を開いた。
「そうさ、俺は死神だ。悪魔に命を投げ売った見にくき死神・・・俺にマリア・・・あんたを愛する事は出来ない。」
そうもう動かないマリアに冷たくいい、また口を開いた。
「俺が唯一愛するのは゛ ゛だけだ。」
そう言い、レオ・・・いや死神は空を見て、微笑んだ。
「゛ ゛一人目の敵をうったよ」
そう言い、死神その部屋から姿を消した。
最後に、美しく安らかに眠るマリアの手に唇で魔女の烙印を残し、その烙印の近くに鎌ですこし切った。
・・・枯れた薔薇の中に、一輪だけ美しく咲いている薔薇があった。
その薔薇の色はマリアの髪色に似た、どこまでも美しい青だった。
第一章〜薔薇の中の少女〜 ─完─
- Re: 死神と少女達 ( No.4 )
- 日時: 2012/01/12 12:18
- 名前: ミルクキャンディー (ID: 7IaXH6Nh)
第2章〜星空の歌姫〜
マリアの住んでいた南部地方から西へいった所にある田舎町。
山地が多く、空気が澄んでいて、素敵な所だった。
この田舎町には金持ちが少なく、みなで助け合い、自給自足の生活をいとなんでいた。
・・・この町の一番の金持ち、町長の娘もとても美人な娘だった。
緑色の髪に青色の瞳。娘は、この町の綺麗な山々、川々のイメージにぴったりだった。
その娘は、もう一つ美しいものを持っていた。
それはその歌声。ハキハキとして、そして涼やかな音程を持つ娘は『世界一の歌姫』という称号も持っていた。
この町の名物である娘を一目見ようと、観光客が押し寄せ、ついには住み着く者も出てきた。
娘は、ずっと人に見られる日常を苦に感じていた。
・・・ある日、一人の青年が現れた。
その青年は黒いローブを着て、光り輝く『鎌』を持っていた。
南の町で追跡状が出ている『レオ』という青年では無いかと町人達は怪しんだが、青年は『レオ』という名では無かった。
・・・・・・・『ハフィール』そう名乗った。
町人はハフィールを町に住ませた。己の居場所が無い事を哀れんだのだろう。
ハフィールはよく働いた。笑顔で、なにも文句など口にしなかった。
・・・そのハフィールの性格に、娘・・・リーフは恋に落ちた。
ハフィールが来てからリーフは随分明るくなった。
得意の歌を、お気に入りの場所でハフィールによく聞かしていた。
「♪〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪〜〜♪」
星が輝くステージ美しい歌姫たった一人の観客・・・・・・
歌を歌うリーフはとても・・・美しかった。
「リーフすごいよ!とてもいい歌声だ!」
パチパチとハフィールが拍手をする。リーフはにっこりと笑う。
「本当!?やったぁ!!!」
無邪気にリーフは飛び跳ねる。ハフィールはそんなリーフをみて微笑む。
「・・・けどどんな美しい歌声でも」
ん?とリーフが耳を傾ける。ハフィールは笑顔で言う。
『君のほうが魅力的で美しいよ』
リーフの顔が真っ赤になり、ボム!と爆発した。
「ちょっとハフィールいきなりどうしたのよ・・・照れるじゃないっ!」
「ハハハ、ごめんごめん。・・・けど本当に美しいんだ。」
そういってハフィールはローブの中から一本の『青い薔薇』を取り出した。
「これを君へ」
リーフがわぁっと歓声の声をあげる。『青い薔薇』を見てウットリとする。
「青色の薔薇って珍しいわね!綺麗な青だし、いい香り!・・・けど私は青色より緑色の方が好きだわ!」
「ハハハ、緑色の薔薇の方が珍しいかも」
「・・・不思議ね。この薔薇を見るとこれをそだてた人の気持ちが分かる気がするの。とても大切に育てていたのね」
リーフがそういうと、ハフィールは首をかしげて
「そう?」
と呟いた。
- Re: 死神と少女達 ( No.5 )
- 日時: 2012/01/14 10:24
- 名前: クリスタル (ID: RIMOjgnX)
はい、どうもー。
見に来ましたよー。
レオとハフィール、どう考えても同一人物でしょ。
気付けよ、街人ー
Page:1
この掲示板は過去ログ化されています。