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僕の心の物語 
日時: 2012/01/13 20:37
名前: 0埼 (ID: Jc47MYOM)

プロローグ 「夢」


目の前には白い白い花畑があった。

どこまでも続いていた。どんなに遠くを見ても白い花がある。

空は暗くて、キレイな白い花畑なのに空は濁った灰色だった。

その空が僕を追い詰めてるみたいですごく怖かった。

助けを求めようと思って人がいないか必死で探す。

探している内に、雨が降ってきて。すごく冷たかった。

その冷たさに凍ってしまいそうで、恐ろしくなって走った。

でも走っても走っても、前は白く染まっていて。

何処に行ったって、僕を助けてくれそうな人は居なかった。

頑張って足を動かすけど、なかなか動かなくて。

でも雨は激しく降っていて。

目が霞んでいく。雨の粒なのか、僕の涙なのか、わからなかった。

その時、一つの白い花と足を絡めて転んだ。

起き上がろうとするけれど、全然足は離れなくて。

雨は冷たくて、僕の目は霞んでて、空は黒くて、

あぁ、なんだか眠くなってきた。すこし休もう。

次に目が覚めた時、ここが地獄でもいいから。

すこし眠ろう。

一生目が覚めなくてもいいから。

すこし休もう。

そして僕が目を閉じようとした時、

何故だろうか、白と黒しか視界に入らないこの世界で

赤い、紅い、朱い、髪をした少年が見えた。




プロローグ 了






第一話 「花」


重たい足取りで僕の通う学校へ向かう。
暑くて暑くて、今朝見た夢を思い出す。夢の中はすごく寒かったのに、
あんな冷たい雨はいままで感じたことがない。
なのに、なんで今現在。僕を見下ろす太陽はこんなに暑いんだろう。
アスファルトに咲くタンポポがとてもキレイだった。
花は大好きだ、キレイし、香りもいいし、なにより心がないから。
花には心がないだから、踏みつぶされても水と肥料を与えれば、
また立ち上がるし。花は日光と水さえあれば生きていけるんだから。
羨ましくて仕方がない。                     



 
そんな事を考えていたら、学校の正門が見えてきた。
沢山の人が、朝の挨拶を掛け合っている。
門の外では、教師率いるその生徒達が竹ぼうきを使って
落ち葉を掃除していた。




玄関を歩いて、そのまま階段を上る。
すれ違った教師陣のほとんどが挨拶をしてきたけれど、
面倒だったのですべて素通りして教室にたどり着く。
ドアを引くと、特に何も変わったことはない。普通の光景だった。
いつも無表情な佐伯さんは日直の仕事を熟している。
お調子者の鈴木くんは昨日のテストを紙飛行機にして遊んでいる。
天然な日向さんは絵を描いている。
真面目で勉強熱心な山崎くんは今日の授業の予習をしている。
皆、皆、いつもと変わらない。
そんな僕もいつも変わらず席に着く。
「おーっす。おはよう。」
「おはようございます」
「今日暑くないか?」
「おはよう」
皆からの挨拶を
「おはよう、今日は暑いね」
と、答える。
「だよな、やっぱお前ならそう言ってくれると思ってたぜ」
なにか期待されていたらしい。
僕は、いつものように、苦笑いで返した。





「皆、今日は皆に嬉しい話しを持ってきたぞー」
「先生が教師を辞めるとか?」
きゃははとクラスの皆が笑ってるから、僕も笑っておいた。
「そんな話だったら悲しい話だろうが、嬉しい話だよ。」
皆が急に期待するような顔になったから僕も期待してみた。
「転校生が来たぞ、うちのクラスに」
それを聞いて
「マジで!」
「なぁ先生、男?女どっち?」
「可愛いかな、カッコいいかな」
皆が喜んでいたので僕も喜んでおいた
「今紹介するから、質問しなくてもいい」
「え、今居んの?」
「早く紹介して!ー」
「すげぇ楽しみ」
皆が興奮してるから、僕も興奮しておいた
「わかったから、落ち着けお前ら。えっと、入ってきていいよ」
ドアがガラガラと開く。
「初めまして」
暗く濁りの入った声が教室に響く。
「転校生の」

「空川 出雲だ。仲良くしてね」

あれ?なんだろう、初めて会うはずなのに
どこかで会ったような・・?
なんだろうこの気持ち悪い感じは。
その時

「よう、夢であったな」

紅い、赤い、髪をした少年は僕に向かってそう言った。




第一話 「花」   了






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