ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 『堕ちた世界の真ん中で』
- 日時: 2012/01/24 20:33
- 名前: Xオペレーター (ID: HhjtY6GF)
蠢く未知の病毒、進化の過程を逸脱した生物たち、有毒ガスで埋め尽くされた大空、───世界は一瞬で壊れた。
なんで、どうして、こんな状況に陥ったのか原因は分からない。ただ、全人類がいつもと変わらぬ日常を過ごしていた。
しかし、今の俺の目の前に、「平和」と「現実」という2つの言葉はない。
車道は抜け殻の車の行列が先の見えぬところまで続き、歩道は建物の瓦礫やガラスで歩くことは困難な道となっている。周囲に立つ高層ビル群の上層では、未だに紅蓮の炎が上がっている。交差点の真ん中では、木材を運んでいたトレーラーが横転し、一台の高級外車を押しつぶしていた。しかし、おかしなことに死体がない。それはおろか、人の姿さえない。
東京という日本の大都市に、俺はいるはずなのに、人の姿がない。
「・・・あぁ・・・・・・誰かぁ・・・だ・・・れかぁ・・・・・・・・・頼むから・・・犬でも・・・猫でもいいから・・・・・・・・・」
血と泥で汚れた迷彩柄の防弾チョッキ、片手には拳銃が一丁。
自衛隊隊員の青年は大粒の涙を流しながら、ゴーストタウンと化した東京で生存者を探す。だが、かれこれ3時間歩き続けているが誰もいない。歩くたびに、時間が進むたびに絶望感が増していく。
───生きているのは、俺だけなのか
青年の脳に浮かび上がる、最悪の言葉。ついに、足を止め、軽トラックが突っ込んでいるコンビニに拳銃を投げた。
そして、ガラスが散らばる地面に膝を落として座り込んだ。
「ガシャ」 ────「っつ・・・くそっ・・・・・・」
膝に刺さった小さなガラスの破片を抜き、ゆっくりと地面に座る。
「・・・・・・みんな・・・死んだ・・・隊長も後輩たちも・・・・・・父さんも・・・・・・母さんも・・・・・・・・・・・・し・・・んだ・・・・・・」
声を殺して静かに泣く。大粒の涙は頬を伝い、枯れた世界の地面に落ちる。もう、誰も慰めてくれる人はいない。
世界は、人類は甘かった。想定していたはずだったんだ。だけど、それは非現実的なことで、本気にはしていなかった。
実際起きれば、もう手遅れ。後悔と絶望と、別れの嵐。
時は2012年8月11日 俺は、世界が死んだことを悟った────。
「@作者から」
こんにちは。小説カキコ初めての者です。以後、よろしくお願いします。
誤字・脱字の多い小説になると思いますが、どうか温かい目で見守ってください。
「@注意事項」
喧嘩・荒らし・パクリ疑惑をぶっかける等の行為はご遠慮ください。
─☆彡─☆彡─ 掲示板 ─☆彡─☆彡─
※主に今後の更新について・オリキャラについてなど。
↓ここから、START。
現在 2012年8月11日 end-day
【第壱話 絶望に堕ちた世界で、一縷の希望と光はあるのか】
(登場人物)>>002
(重要用語)>>003
>>001
Page:1
- Re: 『堕ちた世界の真ん中で』 ( No.1 )
- 日時: 2012/01/24 17:03
- 名前: Xオペレーター (ID: HhjtY6GF)
【001】 陸上自衛隊隊員 雪村結太side
「うっ・・・うぅ・・・・・・」
ただ、孤独が怖い。初めて本当の孤独を感じた瞬間だった。
たまに聞こえる風の音、高層ビルの上で燃え続けている炎の音、その音が耳に届かなかったら、もう生きている実感はしない。音が聞こえることが、これほど生きることの糧になるとは思いもしなかった。
「どうしよう・・・・・・・これから・・・・・・」
手持ちは、さっき投げ捨てた拳銃一丁。あとは何もない。飴玉一つさえ、持っていない。
しかし、俺が拳銃を投げた建物はコンビニだった。
「・・・食べ物、あるだろ?」
自分に問いかけ、重い体を立ち上がらせる。コンビニの入口は軽トラックが突っ込んでいるせいで入れない。仕方なく、雑誌置き場を乗り越えて中に入った。中は、相当荒れていた。
雑誌が床を覆い、飲み物の大半が冷凍ケースから落下して散乱している。食品も、ほぼ落ちていた。
俺はパンコーナーの付近に、投げ入れた拳銃を見つけて、とりあえず拾い上げた。その時だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あっ・・・・・・・・・」
微かだが、店内のなかで男性の声が聞こえた。拳銃を構えて周囲を警戒し、耳を澄ませる。
しかし、声は聞こえない。
この時俺は、俺以外の人間がいる嬉しさよりも恐怖の方が大きかった。どうしてなのか、分からない。
拳銃を構えたまま、トイレの方へと足をすすめる。男女どちらのトイレにも、人の姿はない。
「・・・気のせいか。」
拳銃を構え、レジを超えてコンビニ袋を2つ取る。そして、その中にありったけの商品を入れ込んだ。お菓子にパンに、冷えていない水とお茶。そして乾電池にライターもあるだけ入れた。
満杯となった2つの袋を抱えて、コンビニを出ると車道を見渡した。生存者を探すために慎重に歩いて進んでいたが、乗り物に乗って移動したほうがよい。おそらく、この先も生存者は見つからないのだから。
車道に置き捨てられたバイクを見つけると、キーが差し込んであるか確認する。確認すると、シートを開けて、収納スペースに先ほどのコンビニ袋を無造作に入れた。
「とりあえず、レインボーブリッジにでもいってみるか。」
エンジンをかけると、アクセルを思いっきり踏んだ。
エンジン音が、東京の街に大きく鳴り響く。それほど、周囲は静かだった。
レインボーブリッジに着くと、普段は行くことのない有料の上層部へと突っ込んだ。橋の上層部も下層部も、抜け殻状態の車で一杯だ。まるで、乗っている途中に忽然と姿を消したかのような光景だ。
歩道を突っ走り、橋の中央付近で停車した。そして、東京の街を見回した。
「・・・・・・・・予想通りだな・・・・・・」
東京のあちこちから、緑色の有毒ガスで覆い尽くされた空へと伸びる黒煙。炎はそこまでひどくない。しかし、東京湾を見て言葉を失った。港を埋め尽くすほどに、フェリーや船が転覆している。一隻の大型の船は、港に座礁してコンテナ置き場に突っ込んでいた。
玩具箱をひっくり化したかのような光景である。
「ここに来ても、結局はどうすればいいのか・・・・・・・・・」
とりあえずバイクから降り、シートを開けてコンビニ袋を探る。
お茶とオニギリを取り出し、その場で食べ始めた。食欲はないが、何か食べないと倒れてしまう。
ましてや、こんなところで倒れたら誰も助けてはくれない。
「さてと、これからどうすれば・・・・・・・・・・・・」
「ぎゃぁぁぁぁあぁぁぁぁあああああ!!!!!!!」
突然の女性の悲鳴に、俺は持っていたお茶とオニギリを地面に落とした。
腰から拳銃を取り出し、停まっている車の上に登って周囲を見渡す。すると、1人の主婦らしき女性が走っている。
「お、おーい!!大丈夫ですか!!」
「た、た、助けてぇぇぇ!!!息子が、息子が!!!!」
女性は途中で躓き、倒れる瞬間に車のサイドミラーに頭を打ち付けて気絶した。
「ちょ、マジかよ!!」
車から降り、女性のもとに駆け寄ろうとしたその時だった。
「が、ァアあぁぁアアァあぁぁぁぁあァアアアァ!!!!!!」
男性の声と獣の声が混ざったような、悲鳴らしき声が周囲に響く。
足を止め、車の行列に拳銃を向けた。
「なんだよ・・・今の・・・・・・・・・」
呟いた瞬間、近くに停まっていた軽自動車が轟音を上げて、空へと吹き飛んだ。車はそのまま、海へと落ちていく。
そして、先ほどの奇妙な声の主が、姿を現した。その主を見た瞬間、俺は言葉を失った。
人間の姿をしているが、人間ではない。
血管が異常に浮き出て、全身の毛が抜け、目がかなり充血している。
しかし、俺はそんなことなど目に入らなかった。
その生物の背中には、天使のような白い羽が生え、心臓に無数の光るビー玉のような球体が埋め込まれていた。
まさに、天使の姿をした悪魔の生物だった。
「息子さん・・・・・・ご立派で・・・・・・・・・」
気絶している女性に言うと、拳銃を構えた。勝てる気はしないが、今は、生きたいという願望があった。
「殺すしかないな・・・・・・・・・」
再び車の上に登り、拳銃の焦点を未知の生物に合わせると、躊躇なく1発撃った。わき腹に、命中した。
パン!! ───「ぎゃぁぁあぁぁ!!!」
怪物の口から、人間の男性のような悲鳴が上がる。先ほどの獣混じりの悲鳴ではない。
怪物は一瞬こちらを睨むと、羽を大きく広げ、空高く飛び上がる。
そして、こちらめがけて急降下してきた。
「ちょ、お、おい!!マジかよ!!!」
パン!! パン!!
パン!!
パン!! パン!!
カチャ・・・・・・
怪物は空中にあるにも関わらず、素早い動きで全ての弾丸を避けた。弾が尽きた瞬間、俺は愕然とした。
目の前に向かってくる怪物に、恐怖と絶望で足が竦んで動かない。
「ぎゃァァァああアアぁぁァァあぁああアァ!!!!!」
「わ、うわぁぁぁぁ!!!!」
怪物は両手で肩を掴み、そのまま空中で肩を離した。
「ちょ、ちょ、わぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
離された場所は、海の上だった。しかし、こんな高さから落下したら死ぬことは間違いない。
だからといって、空中に自分の命を助けてくれるようなもの等ない。存在しない。
「・・・・・・・・・せめて・・・平和な・・・・・・世界で死にたかった・・・・・・・・・」
目を閉じ、両手を拳にする。うっすら目を開けると、ちょうど真下には転覆している大型ヨットが浮いていた。
「最悪だ・・・くそったれ・・・・・・・・・」
周囲に、骨が折れる音と気分を悪くするような音が鳴り響く。
変わり果てた雪村結太の死体は、そのままヨットを伝って海へと落ちた。
- Re: 『堕ちた世界の真ん中で』 ( No.2 )
- 日時: 2012/02/11 20:33
- 名前: Xオペレーター (ID: HhjtY6GF)
▽登場人物▽
[雪村結太/Yukimura Keita] 性別:男性 年齢:22歳
主人公。新米自衛隊。世界が壊れた瞬間を覚えておらず、身辺にいた同隊の隊長や仲間、両親は死亡した模様。
レインボーブリッジ上層部にて、病毒に感染して変貌を遂げた息子だった怪物(名前未定)に襲われている母親を助けようとするも、奇襲を受けて橋から落下して死亡。しかし実際には助かっており、怪物に肩をつかまれた瞬間に病毒に皮膚感染しており、人並み外れた生命力と身体能力を手に入れている。感染した影響で、右目が弱視化した。
[リナ/Rina] 性別:女性 年齢:不明
荒れ果てた東京の港にいた記憶喪失の女の子。年齢は高校2年生ほどだが不明。服装が上下学校指定ジャージ。
結太の命の恩人で、結太と出会ってから共に行動をする。結太同様、世界が壊れた瞬間を覚えていない。喪失した記憶を思い出そうとすると、激しい頭痛に見舞われる症状が見られ、結太曰く「記憶を失う以前に壮絶な思いをしたから、脳が自然的に拒否反応を起こしている」とのこと。
- Re: 『堕ちた世界の真ん中で』 ( No.3 )
- 日時: 2012/01/24 20:34
- 名前: Xオペレーター (ID: HhjtY6GF)
▽重要用語▽
[病毒/virus]
作中に出てくる未知の病毒。感染しても何が起こるか分からない。例としては突然変異や筋力増強、弱視化など。
感染すれば治すことはほぼ不可能であり、世界が壊れた原因はこの病毒のせいと推測されている。
[天使型生物/Angel-type-creature]
後々、更新。
[狂殖型生物/Super-increase-type-creature]
容姿は人間であり感情もあるが、他の物体(固体に限る)に触れると物体を体内に吸収し、自分の細胞からその物体を可能な限り増殖させ続ける。物体の質量は一定のまま増殖されるので、質量が足りなくなると自然に止まる。
[超人型生物/Super-human-type-creature]
容姿は人間であり感情もあるが、人並み外れた超人的な生命力と身体能力が身につく。弱視作用有り。
[壊れた世界/Bieaked-world]
本作の舞台となる世界。空は90%有毒ガスで埋め尽くされ、日光や月光はほとんど届いていない。
また地上では病毒が存在し、人類の半分が病毒に感染して進化を逸脱した。
日付は2012年8月11日から変わっておらず、「時間が停止した世界」、「時を消失した世界」と呼ぶ者もいる。
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