ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 朱い月
- 日時: 2012/01/30 21:11
- 名前: 翡翠 (ID: FvYbH6zw)
初めまして!
翡翠と申します。
まだまだな小説です!!
それと…序章だけじゃまだなんも分からないと思います…w
【序章】
嫌味なほど明るい世界。
———長いまつげが大きな瞳とタイミングを合わせて靡く。
サラサラな髪は女の子でも憧れるだろう。
それ以外にも、彼の容姿は美しく皆が惹かれる。
「…なんで、そんな顔してんだよ」
『彼』へ声を掛けたのは、
カッコいい顔立ちに男勝りな言葉遣いの少女だった。
「…だってボクは!!」
そういって振り返る少年の瞳は
『不安』『悲しみ』
『絶望』で満ちていた。
そんな絶望に満たされた大きな瞳にため息まじりの声で返す。
「はぁ…「だってボクは」?ん?『ボクちゃん』が何かしたの??」
「っっ!!馬鹿にするなっ!」
顔を真っ赤にして怒る少年を見て、笑顔になる。
「それで良いんだよ。しょげてばっかじゃなく腹が立てば怒れば良い。
可笑しかったら笑えばいい」
優しい笑みを浮かべ少年の頭にぽんっと手をおく。
「………だよ」
「ん?」
「分からないんだよ…」
かすかに聞き取れた声はとてもかすれていて
今にも壊れてしまいそうだった。
「……」
ちょうど夕日が昇ってきた。
(河原に夕日…どこの青春ストーリーだよ)
そんなことを心の片隅で呟く。
「…それらしく、雛はハッピーエンドをむかえれるよ」
あまりにも言葉たらずで少年は理解できず顔をあげる。
「っっ…」
夕日の朱と金色の髪がとても綺麗だった。
「今…俺のこと綺麗って思った?」
ニヤニヤした顔がなんとも厭らしい。
「…うるさい。で、「ハッピーエンド」って??」
首を傾げる少年に対して吐かれた言葉はまるでプロポーズのようだ。
「…いや、雛を幸せにしてやりたくて」
可愛らしい容姿の雛に対して言うと
余計に男女逆転な気がしてならない。
「…これからどうすればいいと思う?」
「湊は…どう思う…?」
その問いかけの「意味」も「答え」も分かるが、
嘘をついた。
「…分かんねぇよ」
『罪悪感』『偽善』
「ボクは…『真実』を知りたいんだ」
どこか不安げで、だが芯はしっかりした声だ。
心臓のオトが激しく脳内へ響き渡る。
「知って傷ついたら…?」
「何を言うの。もう…十分キズモノだよ」
「笑えない冗談言うな。…壊れるかもしれないぞ?」
「そっちこそ笑えないよ…」
「壊れることができるなら壊れたい」
「…探そうよ」
「えっ…?」
「『真実』を見つけよう」
「真実をみつける…」
湊の言葉を繰り返して呟く雛の声にはどこか
「興奮」を押し殺したようなものがあった。
「み…湊も手伝ってくれる?」
震え、かれた声を絞りだし興奮に揺れる瞳で見据えられる。
「もちろん」
「よかったぁ…」
安堵の息をもらした雛の表情は先ほどより大分穏やかなものだった。
楽しみだ。
夕日が沈むのを誰よりも待ち望む。
ようやく我を示すときが来る、とでもいうように現れる『月』
底知れない暗闇でこれでもかってほどの存在感。
まだ、本当の姿は現れない。
まだ、『真実』の全ては明かされない。
一部だけ。
『月』の本当の姿は満月なのか新月なのか。
最後は「ハッピーエンド」か「バッドエンド」か。
希望 か 絶望か。
今日も『朱い月』が嗤う。
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