ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- EndsStory
- 日時: 2012/03/02 01:56
- 名前: WhiteTiger (ID: J1W6A8bP)
No.0 [はじめに]
まんなかに銀色の街がある。大きくて、ビルがいっぱいで、空っぽのざわめきが絶えない、忙しいとこ。
その南東に赤レンガの街。捨てられた廃墟。銀色の街とは区切られてて、ゲートはあるけどあんまり好んで通る人はいない。
さらに東に東人の街がある。どっちかというと嫌われ者の、黒い目の人しか住んでないとこ。
だいたいこんな感じの世の中。
この話には、人物名はありません。
沢山の話があつまってできているけど、それぞれ、起こった順番どおりには語られません。
読み解きをたのしんで読んでもらえたらいな、と思います。
No.1 [二番目の子の憂い] >>1
No.2 [サンタクロースのゲーム] >>2 >>3
No.3 [GreatSky] >>4 >>5
No.4 [罪と罰] >>6 >>7
NO.5 [塔の上の日々] >>8
No.6 [緑の受刑者] >>9
No.7 [奇跡の約束] >>10 >>11
No.8 [オモテウラ] >>12
No.9 [呼び名1つで] >>13
No.10 [天文学の館(Ⅰ)] >>14
No.11 [天文学の館(Ⅱ)] >>15
No.12 [WonderLand]
No.13 [待っていた女]
No.14 [赤くなる]
No.15 [Ghost`s Fate]
No.16 [オバケの運命]
No.17 [自己弁護]
No.18 [形見]
No.19 [悲しみを分け合うもの達]
No.20 [Happy Haloweeeen!!]
No.21 [5人が求めるもの]
No.22 [最上階の秘密]
No.23 [Regret and Apology]
No.24 [封じられた怪物]
No.25 [ウソつき占い師]
No.26 [そのこども]
No.27 [黒のキング]
No.28 [鬼ごっこ]
No.29 [立入禁止]
No.30 [錆びた観覧車]
No.31 [白い女の子]
No.32 [金魚(前)]
No.33 [金魚(後)]
No.34 [Second Resident]
NO.35 [山茶花(前)]
No.36 [山茶花(後)]
No.37 [天界の書]
No.38 [一番空に近い所で見た夢]
No.39 [強さ]
No.40 [強さ(裏)]
No.41 [強さ(裏の裏は表)]
No.42 [人質]
No.43 [Identity]
No.44 [色の戦争]
No.45 [さがしもの]
No.46 [処刑場にて、独り]
No.47 [Black and White]
No.48 [最上階の謎]
No.49 [逃亡者]
No.50 [逃亡者達]
No.51 [紅い桜]
No.52 [怪談]
No.53 [花束をあなたに]
No.54 [納涼の夕]
- Re: EndsStory ( No.3 )
- 日時: 2012/02/10 16:38
- 名前: WhiteTiger (ID: J1W6A8bP)
この「夢」を作ったのも銀色の街の大人だった
銀色の街に住んでた親がこの赤レンガの街に俺を捨てた 死にかけの俺を拾った男
そいつは「夢」で人を殺そうとして銀色の街を追放され ここで俺に出会った
しばらくそいつは俺を養ってくれた でもそいつも現実を受け入れられずに
何やら自分を責めたり ひたすら謝ったり かと思えば怒ったり
最後なんかイカレて 俺を昔飼ってた犬と思い込んで
どっかから持ってきた首輪をはめて 家の前につないだ
雨が降ったのがせめてもの救いだった のどの渇きで死ぬことは無かった
男は今度は「犬」の存在も忘れて 家に籠もっていた 何日もずっと
時々うめき声が聞こえた 嫌な声だった 最初は良い奴だったのにな
そんな時に銀色の街から肝試しの子供が群れを成してやってきた
奴らは俺を見た途端オバケだって騒いで角の向こうに引っ込んだけど
その内の1人が言ったのだ
「あの首輪オレんちの犬のだ」
なんだこいつ なんで犬の真似なんかやってんだ そう言って奴らは
笑って寄ってたかって 殴ったり蹴ったりして 最後に首輪を引きちぎって行った
忘れもしない 1人1人のあの嫌な笑み
せっかく首輪が取れたのに痛くて1日くらい動けなかった
動けるようになったら俺は男を「夢」で眠らせてやった
お前のうめき声は二度と聴きたくないと
オレのゲームは奴らと違って画面の中じゃない
警察に見つからないよう 死の注射を配って 家に帰ってこられたらミッションクリア
みんなみんな死んでしまえ 銀色の街なんて滅んでしまえ
少年の憎しみは このゲームだけでは収まらなかった
「夢」が底をついた日 少年は家の裏に捨ててあった 大きな鎌を手に取った
サンタクロースのゲーム
今度はサンタの赤い服を取りに行くゲームだ
赤い 赤い 赤い服
- Re: EndsStory ( No.4 )
- 日時: 2012/02/11 00:56
- 名前: WhiteTiger (ID: J1W6A8bP)
No.3 [GreatSky]
四角い部屋 四角い廊下 四角い中庭と切り取られた空 私たちの世界の全て 小さい世界
私たちは3人の科学者の元に作られた5人きょうだい 生まれる前から 生まれた瞬間 そして今も実験台
お揃いの白い服胸元には CLの文字とナンバー 01.02.03.04.05 これが私たちの名前
これさえあれば何も困らないから 私は03
黒髪に緑の目の男 赤茶の髪に青い目の男 金髪に赤目の女
前の2人は大嫌い あとの1人はちょっと好き 私たちは彼女を「母」と呼んだ
私たちはこの3人のDNAをいじって作られた特殊なクローンきょうだい
こんな風に生まれなかったら もっと自由だっただろう
01は呟いた「四角くない世界を見たい」
四角い時計 四角い積み木 四角い窓と切り取られた空 私たちの世界の全て狭い世界
01兄 赤茶の髪に赤い目 11歳 頼れるリーダー格 いつもケンカする(だって怒ってくるもん)
02姉 金髪に緑の目 9歳 病弱 不思議ちゃん 一番仲良し(てか私のほうがお姉ちゃんみたい)
04妹 金髪に青い目 5歳 明るくてアホ いつもケンカする(だってうるさいもん)
05弟 赤茶の髪に緑の目 3歳 かわいいチビ 甘ったれ(大きくなったら言うこと聴かなくなるだろな)
03私 黒髪に青い目 8歳 なんだかんだ言ってみんな大好き
- Re: EndsStory ( No.5 )
- 日時: 2012/02/10 20:52
- 名前: WhiteTiger (ID: J1W6A8bP)
ある日「母」がいなくなった私たちの部屋に食事をもってきたのは下っ端の研究員
04は「もう会えないかも」って泣いた
四角い部屋 四角い呼び出しベル 02が呼ばれた 実験だ 大嫌いな実験
自分の周りに積み上げた 四角い絵本のビルをのりこえ 02は出て行った
私たち4人はいつもどおりの1日を過ごした
午前中は部屋にいて 昼過ぎには中庭に出られる 3時くらいに部屋に戻る
毎日同じ景色 つまらないや たまに実験台になって あとは同じことの繰り返し
02は言ってた「四角くない空を見たい」
・・02の帰りが遅いな
夜になった 見たこと無いけど空には星が輝いてるんだ 04と05はもう眠った
夕方が近づくと閉じてしまう天窓 夕焼けも朝焼けも見せてくれない つまらない 眠い
突如 夜の研究所の静けさを切り裂いた叫び声に目を覚ます
延々と続く叫び 02,02,何が起こってるの?
四角い部屋 四角いドア 02が戻るのを待つ私たち おぼつかない足音
ドアが開いた 四角い廊下の蛍光灯に照らされ幽霊みたいにぼうっと光る白い髪
死んだような目の下に涙のあとがあった
02 は絵本のビルの中の特等席に 落ちるように座って何も言わなかった
しばらくして一言「うるさすぎて頭が割れそう」とだけ言って
私たちが話しかけても聞こえてないみたいで 疲れきって目を閉じた
静寂 四角い部屋の灯りを消した 04と05の寝息が聞こえる
私は眠れなかった 01は泣いてた押さえ込むように くやしそうに「俺は何もできない・・」
わたしも泣きそうになった
眠ってたはずの02が体を起こした「大丈夫・・大丈夫だよ」涙のあとを滴がなぞってた
それからみんな眠った
01は言った「四角くない世界を見に行こう」私たちは立ち上がる
私も言った「四角くない空を見に行こう」
それから研究員たちの行動や研究所の構造を調べた
曜日 天気 時間 盗んだカメラや部屋で聞こえる足音 嫌いだけど研究員に話しかけてみたり
自由になれるなら 二度と実験台にならないなら 希望に膨らむ胸
02は浅い息を繰り返し 頭が痛いとベットでうずくまってた
絶対に自由を掴もう 大嫌いな大人たちから解放されるため
そして決行の日
01が02をおんぶして04の手を引いた私が05をおんぶした静かに静かに
運良く誰にも遭わず出口についた 透明の四角い自動ドアが左右によける
生まれて初めてアスファルトを踏む 初めて研究所を出る 私たちは大きく息を吸い込んで走り出した
遠くへ 遠くへ 銀色の街の住人は近寄らないという赤レンガの街へ そこにはもう人が住んでないしきっと捕まらない
高い高い銀色のビルの群れに まだ空は切り取られたまま
本当はどんな形なんだろう 絵本の空も紙のおわりで切れてた
私たちはゲートを飛び出して 赤レンガの街に着いた
世界は鮮やかだった 研究所みたいに真っ白じゃない
みんなで緑色の屋根によじ登った 02と05は引っ張ってあげた
空に形なんて無かった ただ広く ただ広くそこにある
初めて見た夕焼け ほんとにオレンジ色だった 魔法みたいだった
どこまでも切れ目の無い空はこの世界をやさしく包んでた まるで世界の「母」のように
5人でこれから一緒に生きてく これ以上なにもいらない
けれど少しだけ思った 私たちが求めた物 それはあったかい・・「 」
- Re: EndsStory ( No.6 )
- 日時: 2012/02/10 22:10
- 名前: WhiteTiger (ID: J1W6A8bP)
No.4 [罪と罰]
〜白い空間 赤い目の娘と緑の目の娘が 記憶を消され座っていた
そこに響いた姿無き声
「お前たちは生前同じ罪を犯した よってこれから下界へ戻り自分の罪を見つけに行く
罪を見つけられれば 残った人生は褒美にやろう
自力で見つけられなければ 罪に囚われたまま生き死後は相応の罰を受ける
そして・・もし再び罪を犯したなら 即座に下界から引き戻され 永遠に罰を受ける」
白い床にヒビが入り 四角い穴があいて 2人は銀色の街に落ちていった〜
眠れない 罪を見つけるまで 私たちは眠れないみたい
〜約1年後〜
君はいつも私の話を聴いてくれない ねぇ ねぇ 私が代わりになるからお願い
病室 白いベッドの上 君は眠ったまま動かない 赤い目を開いて私を見てはくれない
心電図の単調な音 私の胸を叩いて 涙をポンプのように押し出そうとする
さっき1度だけ目を覚まして お医者さんに言った「この人の臓器はもらいません」って
両者の同意があればできるのに この銀色の街中央病院では
私がこんなに願ってるんだから 私が代わりに死ぬから
〜1人の娘が 小さなサンタクロースに「夢」をもらった
娘は眠り夢を見たかった それがたとえ永遠でも〜
君はまだ眠ったまま 君の中は今 痛みも無くウイルスに蝕まれてる
そう あの説明書に書いてあった「夢」の説明書
私がすぐ引き抜いたから 半分くらいしか注射されなかったけど 眠りから死までが伸びただけ
ごめんね ごめんね 緑の目から涙がおちる
下界に降りてから 私ずっと罪探しが嫌で嫌でたまらなかった 愚痴ばかりこぼしてた
でも君は一生懸命罪を探した 前向きな君がうらやましくて ステキな友達だと思った
ある日君に恋人ができた 誰かを想う君は輝いてた まるで何の罪も背負ってないみたいに でも
その時から 君は私の話をあんまり聴いてくれなくなって 寂しかった
世界中に置いてけぼりをくらったようで
だから 君がいない時に私たちのアパートを訪ねてきた彼に私
あなたなんて迷惑だから 二度と近寄らないでって言った 死んじゃえとまで言った
目頭が熱くなって 思いっきりドアを閉めた 彼は二度と君に会わなかった
- Re: EndsStory ( No.7 )
- 日時: 2012/02/10 22:52
- 名前: WhiteTiger (ID: J1W6A8bP)
それから君は 元気が無くなった 私みたいに泣くか愚痴をこぼしてばっかり
1週間くらいすると 君はまた元気になった けど本当は耐えてただけかもしれない
本当は そう 彼が現れる前だって耐えてたのかもしれない
それに比べて弱い弱い自分 愚の骨頂だった ごめんね
〜「夢」をもらった娘は もう1人の娘がいないのを確かめて包みを開けた
青緑の透き通った注射 こんなので人が死ぬのかと呟いた〜
まだ目を開けない君もう開けないかも知れない君1年ぶりに眠ってそれが最後だなんて
やめて心臓だってあげていいのよ
私のせいで君が死ぬなら私を代わりに死なせてよ
〜ドアが開いてもう1人の娘が帰ってきた
「何してるの!?」彼女は叫んだ〜
死のうとしたのは私の方なの 夢を見たかったのは私なの
自分を消してしまいたくなったのは私 「夢」をもらいに行ったのも私そして
止めようとした君の手に 間違って針を刺したのも私・・
ごめんね ごめんね 私はまた泣く こんなに弱虫 私なんかいらない
君に迷惑ばかりかけて だからせめて償わせて 今手術すればきっと間に合う
その時 君は目を開けた 暖かい赤い目
「あなたを身代わりにはしない あなたが自殺したことになるからね」
「でも君を殺して生きていけないよ 君が死んだら私・・」
君はそっと私をとどめた
「私たちの罪は自殺だから」
君は泣いてた「全部思い出したよ・・私のせいであなたは死んだの ごめんね」
心電図が 君の最期を告げた
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