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Ground Zero
日時: 2012/02/15 05:31
名前: ぐりずりー (ID: NgR/a8mA)

こんにちはっす、趣味で小説を書いている、ぐりずりーってもんっす。
余談っすけど、映画のグリズリーとは違うっす、あれは多分、遠い親戚っす。

この物語は俺の偏見と駄文によって構成されている物語っす。
まー、あれっすね、暇があれば読んでいって欲しいっす。
但し、おもしろいか否かは保証できないっす。
注意点はそれくらいっす、ちなみに更新速度は極度に遅いっす。
良いっすか、極度に遅いっすよ、大事なんで二度も言ったっすよ。

それじゃあ、Ground Zeroの世界に、ようこそー。

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Re: Ground Zero ( No.1 )
日時: 2012/02/15 20:36
名前: ぐりずりー (ID: NgR/a8mA)

プロローグ

「何故、このようなことが赦される…?」

濁った曇天から怒涛の勢いで引き寄せられた幾億の雨粒が、静謐の荒野を濡らす。
此処に響くのは、荒野の大地を打つ雨粒が奏でる単調な連続持続のメロディーと掠れた慟哭の叫び。
雨粒を弾く鈍い闇色の背広の肩が激しく震え、皺の刻まれた貌が、悲しみの感情に侵され、歪む。
その頬を伝って落ちたのは、荒野の大地を打つ雨粒か、それとも永らく流すことを忘れていた、涙か。

「赦されるはずがない…。こんなことが赦されるなど、あってはならないことのはずだ…」

老爺は、骨の形が見えるほどに痩せた両腕に渾身の力を込める。
両腕に強く擁いた、雪の結晶のように儚く、華奢な少女の体を。
衣服を間に挟んだ少女の柔肌の体温は死人のそれのように冷たい。
そして、縫い付けられたように堅く閉じられた瞼は、二度と自発的に開くことはない。

「嗚呼、神よ…!! 愛しき神よッ!! 救い給え、救い給えッ!! この弱く、脆い、貴方の愛された人間をッ!!」

だが、老爺の咆哮は天に届かない。
爆撃のような轟音を虚空に響かせた雷鳴が、それを掻き消したのだ。

「それが…、それが貴方の返答かッ!! 罪の無い少女に死の淵へ落とし、是とするとッ!!
嗚呼、神よ…。何故…、何故だッ!! 私が嫉妬の情に駆られるほどに人間を愛した貴方がッ!!
何故、愛するべき人間の少女に憐憫を与えないッ!! 何故、救われないッ!! 何故だ、神よォォォォォォ!!」

瞳孔の開いた紅蓮の双眸は、天に向けられながら、濁った曇天など映していなかった。
灼熱の紅い瞳が映すのは、その遥かな先。
自らの滂沱の訴えを嗤い、世界の零地点に君臨する傍観者の姿。

「奪うというのか、この清らかな魂を。堕とすというのか、この清らかな魂を、煉獄にッ!!」

刹那、虚空を引く裂く碧い稲妻が迸る。
老爺はその瞬間、この稲妻こそが天の意志…、是という冷徹な答の具現だという確信を持った。
荒野の大地を打つ雨粒の連続音と、耳に劈く雷鳴の残響。
遠退いて行く残響が嘲笑のように聞こえ、老爺は自らの無力に打ち拉がれる。
かつて、最も愛し、同時に最も憎んだ傍観者に負けた、あの瞬間と同じように。

「─────────違う」

雨粒に濡れた唇が紡いだ言葉は、この瞬間、老爺の心に滲んでいた絶望を変質させるには充分過ぎた。
昏い絶望の感情を、油が注がれたように猛る紅蓮の炎の如き、憤怒に変えるには。

「こんなことは赦されて良いはずがない…。こんな冷酷なことが真理などであるはずがない…。
清らかな魂を持った人間が、天の意志によって煉獄に堕とされるなど、あってはならない…ッ!!
それが天の意志だとするならば、神よッ!! 貴方は私と同じ、罪人だッ!!」

喉が潰れるほどに、罪人は吼えた。
叛逆者の烙印を押され、地に貶められたこの身では、叫んだ声は届くまいと知りながら。
それでも、涙するほどに清らかな魂を持った少女の不条理な死を強いた、かつて己が慕った傍観者へと。

「ならば罪と等価の報復をッ!! 仮に、それが二度目の天への叛逆と為ろうともッ!!
神よ、私を堕天と侮られるな。この罪に縛られた身の全てを懸け、再び私は楽園に戦火を呼ぼうッ!!
来たれ、我が同胞よ。来たれ、戦乱の炎よ。我が報復は我らが主の喉元を裂くまで終わらないッ!!
この焼け爛れた双翼によって、私は約束の地に赴こうッ!! そう、───────────」

────────我らが永遠の楽園(Ground Zero)にッ!!


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