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四つの太陽
日時: 2012/02/20 17:35
名前: ソ連共産党(ボルシェビキ) ◆0ZR7c4r.BA (ID: eso4ou16)



この物語はある程度史実を元にして作られています。
また、難しい単語などは簡単な説明を付け、歴史に興味が無い人間にもある程度理解されるよう説明を行います。
また、この物語は帝政ロシアからソビエト連邦まで、「ソビエト社会主義共和国連邦」時代からソ連解体、そして未来の世界・・・までを中心に描いて行きたいと思います。
歴史に興味が無い人も、歴史大好きマンも楽しめる様に執筆したいと思います。
それでは、遥か昔、まだ日本が民主主義では無かった頃に遡りましょう。

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Re: 四つの太陽 ( No.1 )
日時: 2012/02/20 17:46
名前: ソ連共産党(ボルシェビキ) ◆0ZR7c4r.BA (ID: eso4ou16)

「第一章 Съ нами Богъ!」

帝政ロシア時代、国民は最高指導者ピョートル一世に対して数々の感情を抱いてきた。
ピョートル一世は帝政ロシアをヨーロッパ列強の一員にするという快挙を成し遂げ、スウェーデンからバルト海海域世界の覇権を奪取し、交易ルートを確保した。その少し前の話である。 
ピョートル一世は『帝政ロシアによるバルト海海域世界の覇権奪取』を目標とし、大北方戦争に力を費やした。ご存知だと思うが、現在のロシア連邦(大統領はプーチン)は世界有数の軍事国家。中国・アメリカ・ロシアが主に有名な軍事国家だろう。
軍事と聞いてまず頭に浮かぶのは『戦争』だ。人類は古代ローマ時代から飽きずに戦争を繰り返してきた。その理由の大半が『領土』である。現在領土問題で争ってる所で有名な所を指すと、パレスチナ辺りだろうか。
皆さんは戦争に対してどの様なイメージをお持ちだろうか?私はあまり良いイメージを持たない。数々の人間が死ぬのはあまり宜しく無いものだ。
しかし、その沢山の戦争は国家の礎を建造する。科学の進歩を助け、沢山の被害者を糧に未来を作り出す。
こう説明すると、何となくイメージは変化するであろうか。
少し話がずれたが、歴史を説明する事において、『戦争』は絶対に外せない。寧ろ、戦争が歴史を作ったと言っても良い。
そしてソビエト連邦は、泥沼の争いにへと進んでしまう。だがそれはもう少し先の話だ。

Re: 四つの太陽 ( No.2 )
日時: 2012/02/20 21:46
名前: ソ連共産党(ボルシェビキ) ◆0ZR7c4r.BA (ID: eso4ou16)

「ピョートル一世、この政策は明らかに国民を不安にさせています。今すぐにやめさせるべきです。このままでは経済成長の予測が…」
男はピョートル一世の耳に囁いた。しかし、ピョートル一世の耳にはその様な声は届きすらしない。
「聞いているのですか。」
男は尋ねた。少し声に強張りを付け、ピョートル一世を脅す様な形で。
「静かにしろアンチェコフ。帝政ロシアにおいて、饒舌は死を意味する。」
「誰がその様な概念を確立させたのですか?」
「アンチェコフ。この話は終わりだ。私が定めた政策は可及的速やかに終わらせる。そして私は、戦争を起こし国民の意見を一つに纏めようと思う。まずは戦争遂行を安らかに進める為、行政改革を行い、海軍を創設する。」
「戦争、ですか」
物凄い勢いで言葉を走らせるピョートル一世を他所に、アンチェコフはえらく冷静でいた。

帝政ロシアの冬は厳しい。
雪が舞う中、ロシア全国民は最高指導者の言葉一つ一つに好感を覚える。
ここでピョートル一世は貴族に国家奉仕の義務を負わせ、正教会を国家管理の下におき、帝国における勢力全てをピョートル一世…皇帝の元に一元化した。
歴代ツァーリが進めてきた西欧化改革を推進し、外国人を大量に徴用して国家体制の効率化に力を注いだ。

「戦争だ。」
その声は国民の心に稲妻を走らせた。
1721年、ピョートル一世が『出した』戦争…大北方戦争に1721年、勝利を飾り、元老院にインペラトールの称号を贈らせ、国家名称をロシア帝国に昇格させた。ピョートル一世が帝政ロシアをここまで成長させたのはとても大きく、現在でも一部の人間にも賞賛されている。
その戦争は1700年に始まった。
ロシア・ツァーリ国はこの戦争で少なくとも約170000人の犠牲を伴った。ロシア・ツァーリ国以外にも、デンマークは約60000人以上の犠牲を受けている。
非常に大きな戦争だったというのは犠牲者の数からおおよそ分かるだろう。

「アンチェコフ。」
ピョートル一世と深い仲を持つツェサコフ一家の長、ツェサコフ=ラヴェフはアンチェコフと対立を続けていた。
ラヴェフはピョートル一世の側近がアンチェコフである事に嫉妬していたのであろう、それを知った途端にロシア帝国に対する経済的支援を中止した。これに対し、ピョートル一世は「遺憾だ。」と述べている。
アンチェコフに罪は無いのだが、周りの側近はそれを知った時、アンチェコフに対し不満を抱き始めていた。
その不満が爆発される事はなく、アンチェコフは他側近の告発という意で退職。理由は『ピョートル一世に対する陰口』というまるで子供の様なものだった。もちろんそれはただの嘘だった、という事はかなり後に知られた。そしてロシア帝国は更なる狂気にへと進んでいく。一刻一刻と、『革命』が近づいて行った。


※ - アンチェコフ等は架空の人物であり、作中で報じられるエピソードも架空です。ツェサコフ一家も架空です。

Re: 四つの太陽 ( No.3 )
日時: 2012/02/21 21:59
名前: ソ連共産党(ボルシェビキ) ◆0ZR7c4r.BA (ID: jhXfiZTU)

ロシア帝国。相変わらず冬は厳しい。
そもそも、ここまで寒いと息まで凍りつきそうな予感がする。
しかし、凍りついたのは息ではなく、国民の体だった。

ピョートル一世によるロシア帝国西欧化。これがロシア帝国の歴史を作り上げた。
西欧化計画によって、ヨーロッパ他国からやっとロシア帝国は外交関係において対等に見られるようになった。これはとても大きい。

「ピョートル一世、これは成功ですね。」
「ああ、しかし、私の体も長くはない。ピョートル二世に託すしか…ない…のだ…」

ピョートル一世による海軍増強はロシア帝国軽工業の基礎を成立させた。それは何故かと言うと、海軍増強に伴い、帆船に使われる帆布が大量に作られる必要があった。これは繊維工場の増大を起こした。
軍事面では徴兵制をロシア帝国に採用し、ツァーリに直属するためいつでも戦争に対応できる常備軍を編成し陸軍の専門学校や海軍アカデミーを設立。海外留学をさせ将校クラスの軍人育成に勤しんだ。

この通り、ピョートル一世はロシア連邦の遥か前、帝政ロシアの歴史を作り上げた偉大な指導者である事が分かる。軍事から外交…リーダーシップも高かったのでは無いか。

ピョートル一世、病により斃れる。享年52歳。
国民は悲哀に満ちた表情で宮殿の方向を向いた。
悲しみで溢れ出した涙は雪に埋れた道に垂れ、溶けて行った。
ロシアは、泣いていた。

Re: 四つの太陽 ( No.4 )
日時: 2012/02/23 20:33
名前: ソ連共産党(ボルシェビキ) ◆0ZR7c4r.BA (ID: ZFLyzH3q)

「第二章 米露戦争」

鳴り響く轟音。揺れる背景。目玉が飛び抜けそうなほど、揺れていた。

『2014年8月18日 月曜日
アメリカ ワシントンD.C.奪取
目的 ロシア空挺部隊の補給ルートを破壊及び「SEALs(・1)」の任務遂行をサポートし、ロシア空挺部隊の増援を食い止め、ワシントンD.C.を奪取せよ』

「クソが……」
呟いた、が轟音によって声はかき消される。ここは戦場だ。一刻の猶予も与えられていない。
「ニコライ、配置に付いた。これからロシア空挺部隊の補給ルートを破壊する。」
「こちらニコライ、AC-130(・2)から監視。そちらから大きな建物は見えるか?」
「ああ、見える。それがどうした?」
「その建物の中に沢山の熱反応を感知した。恐らくロシア空挺部隊だ。そこを避けて、西のルートから周り、弾薬庫にC4を仕掛けろ。脱出はジープを手配する。サポートが必要ならいつでも言ってくれ。弾薬満載、榴弾の雨が降り注ぐぜ。」
「毎度毎度助かる。アウト」
無線が切れた。これからは部隊を先導して弾薬庫を目指さなければ行けない。
「隠密部隊デルタ、これより作戦を開始。部隊確認。ジョーンズ、フロスト、スペクター。オーケー、ゴーゴーゴー。」
隠密部隊デルタは第一目標の補給ルート破壊の為、ゆっくりと足を動かし、銃の安全装置を外した。この作戦が後に大きな影響を与えるとは、誰も思わなかった。

(・1)・・・「SEALsとはアメリカの特殊部隊。SEがSEAの海、AはAIRの空、LはLANDの陸。また、Seal(アザラシ)とかけている。最強と謳われる特殊部隊の一つ。」

(・2)・・・「AC-130とはアメリカ空軍(USAF)のガンシップ。正式名称はLockheed AC-130。元々は輸送機な為自衛能力は乏しく、フレアを出すぐらいしか出来ない。また、装備がかなり多い為『空飛ぶ砲台』『地獄からの使者』とも呼ばれる。」

Re: 四つの太陽 ( No.5 )
日時: 2012/02/25 11:06
名前: ソ連共産党(ボルシェビキ) ◆0ZR7c4r.BA (ID: ZFLyzH3q)

「前方10m、敵兵が一人。無視しますか?それとも、射殺して死体を隠・・・」
「いや、その必要は無いぞスペクター。あいつら、随分と間抜けだぜ。」
「罵倒は良いから作戦を遂行するぞジョーンズ。これは母国の為にやるんだ。」
「愛国者ってか?ふざけてんじゃねえぞ?」
「黙れ。早く任務を遂行させるぞ。」
「あ、ああ。」
瓦礫を無造作に纏め、何とか道が作られている。どうやら、これが補給ルートの一つの様だが、見張りが数十人も居る。これではステルス行動は難しい。どの様に進めるべきか。

「プランB」
「オーケー。」

MP5SD3サプレッサ(・1)を構え、一人で行動する兵士を片付ける。そして弾薬庫へのルートを東から迂回して通るというのがプランBだ。
そもそもの話、ワシントンD.C.のすぐ近くに存在する補給ルートを破壊するなど、正気の沙汰ではない。大量の兵士が配置されているのは必然と言っても良い。

「AC-130。航空支援を要請する。」
「おいおい、支援はするが、今やったらバレちまうぞ?本当に・・・良いのか?」
「ああ、やれ。今から場所の情報を送る。」
「届いたぞ。ここだな。」
我々の存在がバレてしまう事に危篤する暇などない。大切なのは迅速に任務を遂行し、母国アメリカを戦争に勝利させる事だ。優先するべきなのは任務であり、我々の存在ではない。それは、全員が分かっていた。
AC-130の航空支援を要請してから20秒後、纏められた瓦礫に身を寄せ、航空支援をまだかまだかと待ち続ける。その直後、空から恐ろしい音を立てながら榴弾が落下してきた。
プランAは西のルートから迂回して弾薬庫へ向かうというものだったが、プランBは東から迂回して進むというものだ。

「クリアー。」
恐らく30人は爆死しただろうか。『動く砲台』とは、よく言ったものである。
爆撃音はロシア空挺部隊全員を身構えさせた。警戒体制の見張りを他所に、隠密部隊デルタは東ルートを望遠鏡を見渡す。どうやら、誰も居ないようだが、早急に任務を遂行させなければ援軍が集まってくるかもしれない。弾薬庫を破壊して補給ルートを潰さなければ。
全員が、立ち上がった。


(・1)・・・サプレッサ。発砲する際に出る音をある程度抑えるもの。サイレンサーとは別物である。


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