ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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神さまと世界と加護者
日時: 2012/03/02 16:59
名前: B・アリス (ID: m16n.Ntt)
参照: http://alice0127

 初めまして、アリスといいます。
物語を書くのは、あまり慣れていませんので、どこか間違っていたり抜けていても、
 「仕方ないなあ」という感じの気持ちで読んで下さい。
 コメントは、大歓迎ですが小生の心はプレパラートの、スライドガラスなので、そんなつもりがなくても傷つきます。
 だから、そこんとこよろしく頼みます。
 更新はできるだけ、頑張りますので…。あ、いえ頑張りますよ、本の虫の心を持って♪(すみません)
 
 基本この物語は、黒いところがあるものです。
 だからと言って期待はずれでも、気にしないでください。 
 以上です。

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Re: 神さまと世界と加護者 ( No.1 )
日時: 2012/03/02 18:24
名前: B・アリス (ID: m16n.Ntt)
参照: http://alice0127

 〜登場人物〜
 ・ラユル
 「ユニル(美の女神)の影」という星に生まれる。
 整いすぎた顔立ちと、人形によく使われる波打つような金髪から<出来損ない人形>といわれる。
 ・ルイリ
 「フォーラ(動物の女神)の絶望」という星に生まれる。
 黒髪隻眼、その左目は見たものの命を奪う。言葉を知らず、命あるものを知らない、<最強の獣>となる。
 ・フィリア
 「レイラ(心の女神)の虚無」という星に生まれる。
 あるショックで感情が荒んで、冷え切った人間になってしまった。人の心が読めるせいで、<氷の心読み>といわれている。

三人は、第千四百一億三千二百五十四万百二十七代目の加護者。 

Re: 神さまと世界と加護者 ( No.2 )
日時: 2012/04/30 13:22
名前: B・アリス (ID: m16n.Ntt)
参照: http://alice0127

 プロローグ

 昔々、数えるのも面倒なほど昔。
 人類は、何かによって絶滅しかけていた。毎日のように、地震や火元のない大火事などの、不自然な災害が多く起こっていて、その不可抗力にいまでは八割の人間が死んでいた。
そして、そんな災害の要因は「神さま」だと言われていた。

「ライラも、ホーンも…皆死んじゃった、の?」
「カリン、我慢しなさい。生きられただけでも、幸せなのよ。だから、あなたが皆の分を生きるの」
カリンの姉さんのような存在だった人。
マリーは、自分に言い聞かせるような返事をした。
「…あたし、何かあるか探してみる。マリーは着いてこないで」
その場に居づらくなったカリンは、何か言うマリーの言葉も聞かずに外へ飛び出した。
本当は、とても悲しかった。

でも、泣けなかったのだ。

泣いたりしたら、皆に申し訳ない。

 そうして、カリンは自分の心を締め上げるように、悲しみを飲み込んだ。
 そこへ、変な会話が耳に飛び込んできた。
「もう、やめてください!こんな事をしたって、負の感情しか増えません。私は、魂の思いに押しつぶされそうです!」
そんな大きな悲痛そうな声が聞こえて、カリンは立ち止まった。
「そうです。終わらせましょう。人間は十分罰を受けました。こんなことしては…」
何だか分からない言葉が、多く聞こえてカリンはその会話の聞こえる古びた掘立小屋の壁に耳を押し当てた。
 しばらくその白熱化した会話を聞いていたが、

「待って。誰かいます」
何かを言おうとした、誰かを遮って別の声がカリンの存在に気がついて言った。
 カリンは、ビクッとしてそのまま逃げ帰ろうとしたが、壁となっている木が古かったせいもあり、髪が木のささくれたところに絡まり、身動きが取れない。
 そうしているうちに、小屋の扉が
 吹っ飛ばされた。
「盗み聞きはいけませんよ〜」
「ご、ごめんなさいいいぃぃぃ!!!」
そこから顔を出した人(?)は、何か不思議な力を使って、絡まった髪をほどくと、怯えるカリンを小屋に招き入れた。
 カリンが何をしたのかは、詳しく語られていないが、おかげでこの不自然な災害はなくなり、人類に平和が戻ったという。

 そして、その人たちから監視者として
『加護者』
と呼ばれる、特別に能力のある人間をおくという契約をした。
 めでたしめでたし

[初代加護者カリン、マリン、クリンの伝記]
より抜粋

Re: 神さまと世界と加護者 ( No.3 )
日時: 2012/03/03 15:01
名前: B・アリス (ID: m16n.Ntt)
参照: http://alice0127

一章〜三人の過去(かげ) 壱〜
 一、<出来損ない人形>の新学期
 ラユルの朝は、規則正しい足音で目覚める。それは、習慣ではなく危機感からだ。
「朝です、起きていらっしゃいますか?」
「起きてる。…起きてるって言ってるよね?何で倒れてくるのかな?怖いからねえぇぇぇ!」
目だけを開けていたラユルは、ベッドに倒れこんでくる『等身大の人形』マリーを必死で避けた、がそのまま床に落下した。
「うぅ、痛い。毎朝、毎朝怖いんだけど華花!」
エメラルドグリーンの大きな目に、涙をためてマリーをにらみつける。
「ラユル様、私はマリーです。これでも、頑張ったのですよ?ラユル様はいつも、朝に弱いので私は悩んでいました。一生懸命『主人のための参考書』を読んで、分かったのでございます」
声に感情はなく、ラユルを連れてただ淡々と食堂へ向かう。
「…で?」
「答えは、三百六十九項にあった『人間の睡眠』に載っていたのです。『人間は命の危機を感じると必ず目覚める』、と」
ラユルの視線がマリーを突きさす。
「?、今日の朝食は、先日と同じものですが?」
「そうじゃなくて。ああ、もういいわ」
マリーを叱ろうとしたのだが、その無表情の顔を見てラユルは急に悲しくなった。
 それから朝食を食べ、学校の制服に着替える。
「いってらっしゃい、お気をつけて」
「行って来ます。じゃあ、華花家事よろしくね」
それだけ言うと、早歩きで石畳の道を通る。
「ラユル様、マリーは…」
ラユルの後姿を眺めていたマリーは、小声で何かを呟き一筋の涙を零した。
 ラユルは暖かい日差しの中、下を向きずっと石畳を眺めながら歩く。その途中で、古めかしい木の杖がしゅっと行く手を塞いだ。
「危ないんですけど。長老」
その時からのラユルの顔は、人形のように感情がなかった。
「今学期の出欠の確認当番は、わしだろう」
少しモゴモゴした、いかにも老人らしい声がした。周りの生徒は、もう確認が終わっており、ラユルの金髪が見え始めたときから、逃げるように学校に入っている。
「そうでした。ホームストリート四十三番、中等二段ラユル」
一般的に、学校は初等・中等・高等・社会教育に分かれており、初等から高等はそれぞれ三十二段ずつある。社会教育は、一年だけだが合計で学校生活は義務教育として百年。
「ふん、<出来損ない人形>が。最年少中等生とはな」
長老は風にあおられる、白い髪や髭を気にしながら表に○を書き込む。
「人形じゃ、ないです。私は、人間です」
この小さな声を、長老は無視して出欠表に目をおとす。その態度でラユルは、諦めて校舎に入る。
新学期のせいで、本日はクラス替え。
「ライ、良かったなあ!あいつと同じクラスだぞ!」
教室に入ろうとすると、男子の大きな声が聞こえてきた。ここは、中等二段特Aクラスなのだから、こんな大声で騒ぐ奴はいない、と思っていたのだが違った。
 教室に入ると、まさに『馬鹿と天才は紙一重』というか、ものすごくキャラの濃い人の集まりだった。
「おはよう、人形さん!」
すぐそばで可愛い女の子の声がしたのだが、ラユルからでは誰だか分からない。
「ふふふ、戸惑ってるね?サラは嬉しいよ?」
やっと声のするほうを見ると、茶髪で髪の短い女の子が、天井に立っていた。
「逆さまだよ?ス●イダーマンだよ?あれ、おかしいな。人形さん驚かないの?」
「人形じゃない」
そう言うと、一瞬サラの逆さまの黒い瞳から笑みが消えたが、またすぐに笑顔に戻った。
「ごめんね〜。人形さんの席は、一番窓際の一番後ろだから!」
サラは元気よくそれだけ言うと、天井を歩いて自分の席で着地した。
 ラユルは、教えてもらった席へ行く。だが、さっき教室の外まで響くほどの声を出していた少年が、座って隣の少年と話していた。
「奇跡だ、今日こそ運命の日だ!行けっ!」
バシバシ机を叩いて講義する少年のせいで、机に手のへこみがついている。机をへこまされて、黙っているわけにはいかないので、話しかける。
「邪魔」
「え?わあ!ごめんなさい!」
少年はでこぼこになった机に気がついて、必死に謝る。
「別に…」
ラユルはこの少年が、羨ましかった。この少年程度の腕力は、単に鍛えられているだけだが、ラユルほどになるととても怖がられる。
「じゃあ、ライ分かったな?」
「う、ああ」
ずっと話しを聞いていた方の少年は、曖昧な返事をした。
「あ、あの」
「何」
誰にでも変わらない返事なのだが、急にうろたえて視線を逸らす。
「これ、読んで」
いつのまに作ったのか、ライは淡い水色の少し小さめの手紙を渡した。ラユルには、訳が分からないがくれると言ってるのだから、もらっておくことにした。中には、白地に少し手書きっぽい罫線が入った紙で、
『明日の放課後、校舎裏に来てほしい』とだけ書かれていた。


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