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- bad doream.
- 日時: 2012/03/20 14:01
- 名前: 程銀 (ID: 8HOrgkFF)
——悪夢は現実になるとしたら?
悪い夢を見たことがあるだろう?
ホラー的な恐怖のある夢。
不幸に陥ってしまう夢。
誰かに殺されてしまう夢。
それらが全て、あり得ない現象を伴って、現実に浮かぶとしたら?
自分達に襲い掛かってきたとしたら?
——何の力も無しに、その現象から逃げられる?
逃げるか、それを解決するか、それしか出来なかったら?
——襲われて、死んでしまうとしたら?
あなたは、どうする?
どうも。程銀です。
訳分からん小説書いちゃうよー。
超常現象に立ち向かう人たちのお話だと思うの…
目次にならない目次。
登場人物 >>2
Round1 >>1 Round1−2 >>3 Round1−3>>4
Page:1
- Re: bad doream. ( No.1 )
- 日時: 2012/03/02 19:26
- 名前: 程銀 (ID: 8HOrgkFF)
Round.1
その日、悪い夢を見た。
「ユリ、お早うっ!」
「ああ、如月さん…おはよう」
近所の同級生、如月紗江が、眠気全開の朝にも関わらず元気な声を出して挨拶をかます。
僕は曖昧な、しょぼい挨拶を返した。
如月は軽快に僕を追い越し、僕の前方で歩いている女子の方に向かって行った。
所詮は、挨拶など一つの義務に過ぎないのだ。
「ユリ、おはー」
「…遥…おはよう…」
「眠そうな声ー」
「…眠いもん」
一応仲の良い同級生、西原遥が僕の隣に居座る。
僕は眠い目を擦って、夢の内容を振り返った。
「…嫌な夢、見た」
「は?」
「今朝、嫌な夢、見ちゃってさ」
「あー…お前さ、たまに話飛ぶよな」
「…自覚はしてる…」
「で、どんな夢?」
片目を手で覆って、若干夢うつつに陥りながらも言葉を紡ぎだす。
「…何ていうかさ、変な夢だったんだ…」
「ふーん…どんな感じ?」
「…リアルにはリアルなんだけど…所々、明らかに可笑しいっていうか…あり得ない場所がいくつもあったり…。全体的に、違和感がある感じ。…常識と、非常識が入り乱れてる…生理的に気持ち悪くなる…そんな感じ」
そういう夢は、見ないわけではない。頻度は少ないけれど。
そんな夢を見た後は、大抵変な感じがする。夢の内容がカオスすぎて、頭に鮮明に残っていて、それが変に思えるのだ。
けれど、今回の夢は違った。
「…お兄ちゃんが、居たんだ」
「兄ちゃん?…お前の?」
「うん…遥、知らなかったっけ?…僕がまだ小学校中学年位の時…外国に勉強に行っちゃって…。たまに、手紙のやりとりしてる…。年、結構離れてる…10歳くらい…」
「ってことは、おれら今16で…26?」
「ん。…お兄ちゃんが、知らない人と一緒に居た…。あと、如月さん」
「如月ぃ?」
遥が如月を見る。
遥が思う如月のイメージはあまり良くない。むしろ悪い部類に入る。
如月は、とにかく一部の男子に対して気が強い。ユリのように大人しかったり、真面目であったりすれば、単にフレンドリーなだけに終わるが、女子がいう『馬鹿な男子』に対しては酷く厳しいのだ。
その点、女子には極端に甘い。男子が女子を泣かしてしまった場合、女子の方の肩を持ち、男子が何を言っても男子に同情したりすることはない。その所為で、女子からの評価は滅法良いのだ。
そして、如月の性質は、遥にも及んでいる。
「如月が、夢でなんかあったのかよ?」
「…ああ、…うん」
眉間に皺が寄る。
頭が思い出すのを拒否しているように、頭がキリキリと痛んだ。
「…殺されてた」
- Re: bad doream. ( No.2 )
- 日時: 2012/03/03 12:06
- 名前: 程銀 (ID: 8HOrgkFF)
登場人物。
御剣ユリ(みつるぎ ゆり)
主要人物。
高校二年の16歳だが、年のわりに小柄。
大人しく、クラスでは目立たないが、その分邪険に扱われることはない。
悪夢に会い、普通を捨てる。
西原遥(にしはら はるか)
ユリの幼馴染兼親友。
同級生で、ユリとは逆にかなり煩い。そのため、真面目であったりする人物からはうざがられていることも。
明るい性格の反面、頭がきれる。
後々増えるよ!
- Re: bad doream. ( No.3 )
- 日時: 2012/03/03 19:43
- 名前: 程銀 (ID: 8HOrgkFF)
Round.1‐2
「ねーッ!ユリ、ユリっ!遥って煩いよねーッ!?」
古典の授業の後の休み時間、夢の世界に陥ろうとしていたユリを、肩を揺すってが起こした。
「んん…?」
「あー、寝てた!?ごめんごめん、でさ、遥ってめっちゃ煩いよねッ!」
成績の悪い男子とつるんでいた遥が、あんまりにうざったくて罵声を浴びせたのだ、あたしが。
「煩くねえしッ!ちょっとふざけてただけだろ!?」
「それが煩いって言ってんのッ!ね、ユリ、どう思う!?」
ユリはスローモーションに頭を起こし、眠気覚ましの目薬をワイシャツの胸ポケットから取り出して両目にうつ。
そのモーションにすらうっとりしているのに気づいて、慌てて頭を切り替える。
「なーっ、ユリ、俺煩くねえよなっ?」
「…遥、煩い」
「一蹴!?」
「ほらみろッ!!」
「ん…遥煩い」
「二回目!?」
酷い、と遥がユリの机に突っ伏す。
「ねえ、如月さん」
「あっ…と、何?」
うあ、ユリが自分からあたしに話を振るのか、何てレアな。
「最近、何か…変わったこと、ない?」
「え?何で?別にないけど…」
「そう…じゃあ、いいんだ。ごめん、変なこと聞いて…」
「いや、いいよ?」
どうしたんだ、急に。
休み時間は大体寝てて、あたしとの会話なんて殆どないのに。
家がちょっと近所なだけなのに、何か話も可笑しいし。
「何かあったの?」
「ううん、そうじゃない…けど」
「そ?」
また眠くなってきたのか、うとうとと目を瞬きし始めた。
この子の目薬による目覚まし期間は非常に短い。
「なあ、ユリ、俺ってそんなに煩いー?」
「うん。…それなのに頭いいのがむかつく」
「ひどッ!」
- Re: bad doream. ( No.4 )
- 日時: 2012/03/10 19:33
- 名前: 程銀 (ID: 8HOrgkFF)
Round.1−3
「…仕事放って帰国とか…頭、おかしいんじゃねえのか?」
とある喫茶店。
昼時の喫茶店は、軽いものを喉に流し込もうとする客でほぼいっぱいだった。
そこに、明らかに浮いた二人組み。
「だって、ユリが普通じゃなくなっちゃう気がしたんだよ、弟がそうなったら、様子見に行くでしょ」
「その、普通じゃなくなる気がする、ってのはどこから来る感覚だよ」
「さぁ?麗しい兄弟愛とか?」
「ふざけてねえで、本当にその弟が悪夢を見たのか見てねえのか確認して、さっさと仕事に戻るぞ、馬鹿」
「え?いや、悪夢を見ていたとしたら、助けるからね?」
乱暴な口ぶりの、二十代前半と思われる男が、露骨に顔を顰める。
黒いスーツを当然の様に着こなし、コーヒーを一口飲む。
「…馬鹿かお前」
「そうだよ」
もう一方の男も、黒スーツの男と同世代程。
黒いハイネックと薄手のチェックの上着と、ふちなしの眼鏡が目立った。
その男の馴れ馴れしい口ぶりが、黒スーツの男の神経を逆撫でしているようにも見えた。
「っていうか、ユリは絶対悪夢を見たよ。…証拠はないけど、確証はある。絶対だ。燈亜、頼むよ」
黒スーツの男…燈亜は、深くため息をつく。
「…もしも」
「うん?」
「もしも、その予想が外れたら…どう落とし前付けてくれるんだ、お前」
「えー…知らないよ。だって、外れたりしないし」
「真面目に考えろ、ユキ。…仕事放っただけでも処罰はでけぇんだよ。それに重ねて、手ぶらで戻ったら俺がどやされる」
「ざまぁ」
「殺すぞ」
本気で苛立ったのか、ハイネックの男、ユキを睨む。
「すいませんでした。…でもさ、じゃあ、もしも」
「…ああ」
「もしも、本当にユリが悪夢を見たとしたら?それで、ユリが悪夢の具現化によって死んでしまったりして、俺が『サークル』を抜けてしまったら?…そっちの損害の方が大きくない?」
ユキは手元にあったフォークを手にし、燈亜のコーヒーカップの近くに置いてあるガトーショコラをつつこうと手を伸ばす。
「誰がやるか」
「いいじゃんケチ」
燈亜はその手を掴んで止め、フォークを奪い取る。
「甘党」
「ガトーショコラはそこまで甘くねえ」
「あそ。…話の続きね、逆に言うとさ」
「…ん」
「食いながら聞くなよ」
「聞いてやってんだよ、いいから話せ馬鹿」
「ぼっちゃんマジ我が侭ー。…逆に言うと、ユリを助けたら、ユリは確実に『痣』を手に入れる。俺の弟だよ?それを『サークル』に入れたとしたら…どうよ?」
いい具合にケーキを完食した燈亜が、再びコーヒーカップに口をつける。
「…お前、賢くなったな」
「自分でもそう思うよ。留学当初は思い上がってたただの馬鹿だった」
「ああ」
「否定してください…ああ、でさ。ユリを助けるのは駄目?」
燈亜は飲み干したコーヒーのカップを、コン、と音を立ててテーブルに置く。
「…分かった…許可、する」
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